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行き先のない手紙と読まれないnote  『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』雑感

こんにちはと初めまして。おすぬです。

アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』をちょこちょこ見ています。
残すは最終章の劇場版のみ。映像も音楽も美しくて、それぞれのエピソードに静かな感動があります。

見た方も多いと思いますがざっくり概要。
「兵器」として育てられた少女・ヴァイオレットが、戦争の終わったあとに「代筆」の仕事を通して人間らしさに目覚めていく物語です。

代筆=書くこと、手紙=書かれたもの。
noteを書くことにちょっと通じると思いませんか。


代筆ってなんぞや?

劇中では郵便配達会社のなかで手紙の「代筆」が行われます。「ドール」と呼ばれる代筆のいわば専門職の女性たちが、タイプライターでガシャンコガシャんコ文章をタイプするのです。
(ちなみに物語は架空の国、架空の時代、架空の言語という設定のよう。蒸気機関車、複葉機、街灯がガスから電気へ変わる、などを考えると現実の第一次大戦後に相当する?第二次大戦後だろうか?)

ドールたちは依頼者からの依頼で手紙を代筆するのですが、依頼者の話を聞いて文章をつくるって、広い意味でライターですよね。インタビュアーでもあり、カウンセラーとかコーチングのコーチのようでもある。

最初ヴァイオレットは軍隊の伝令のようなそっけない堅苦しい文章しか書けなかったのですが、依頼者から怒られたり同僚のドールからアドバイスをもらいながら少しづつ人としての心情を理解して成長していきます。


手紙は願いや慰霊の依り代(よりしろ)となる

このアニメの世界での手紙の扱われ方が面白いです。

特別番外編「きっと"愛"を知る日が来るのだろう」では、オペラ歌手から依頼を受けたヴァイオレットが、倉庫に保管されている大量の手紙の存在を知ります。戦争のために受け取り人も差し出し人も不明の行き先のない手紙でした。そこには相手に届くことのなかった「愛してる」があふれていました。

テレビ版の最終話では航空祭という空から手紙をばら撒くイベントが出てきます。
亡くなった人、もう会えない人に改めて手紙を書き、飛行機で空に届けるのです。実際には飛行機から手紙をばら撒くわけで、受け取り人がいない手紙を散骨のように昇華させているようにも見えます。灯籠流しにも似てますね。

ヴァイオレットの同僚や上司は、未来の自分や、まだ見ぬ自分の娘に手紙を書く人もいました。まるで願いを書いた絵馬タイムカプセルのようです。
慰霊の依代(よりしろ)にしろタイムカプセルにしろ、そこにあるのは「愛してる」の思いです。


読まれないnote、過ぎ去ったnote

ひるがえって書かれたnoteはどうなっていくのでしょう。
今この瞬間にも、インターネットの格納庫?に次々に収められていくのでしょう。
アカウントを消さない限り永遠に。

読まれても、読まれなくてもおそらく等しくデータとして認識されるけれど。
コメントでのやりとりやリンクや通知はデータの世界で銀色の糸のように見えるのだろうか。

手紙のように実体はないけれど、思いの依り代になりうると思いたい。
読まれないnoteであっても。



余談になりますが。
有名人が亡くなって、本人のブログのコメント欄はしばらくはそのままだけどやがてブログを閉鎖しますとニュースになることがあります。
人が亡くなったあとのブログやSNSのアカウントはどうするのか、というテーマは近い将来きっと問題になりますよね。(山田孝之と菅田将暉の『dele』というドラマはまさにこれがテーマだった)。

電話も年賀状も来ないからあの人どうしているのかわからない、という状況から、SNS更新の有無でお互いの生存確認をする未来が来るのかもしれません。





ライティング✖️ランニング 参加してます。お疲れ様です。


書く部 参加してます!


画像は note活動休止中 様 からお借りしました。

それではこれにて!ありがとうございました。

(ライラン53日目)

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