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もうひとつの生き方


わたしの初めての海外旅行が終わった。

普通なら大学の卒業旅行やら新婚旅行やらで海外に行く人が多いのだろう。わたしの場合は学生時代は全く関係のない成人してからの仲間たちと、初めての海外は中国の上海になった。上海に行きたいと強く熱望したわけでもなく、ふらっと誘われてふらっとついていくことにした。
行きますと答えたのは単純な理由で、20歳のころ養成所の声楽の先生が「借金をしてでも20代のうちに海外に行っておけ」とクラスのみんなに言っていたから。わたしは30歳になってようやく海の向こうに行けた。

“大人はこんな遊び方ができるのか”と思った。わたしも大人を10年やってきたはずなのにね。
世の中はこのワクワク行動を学生のうちから経験するらしいし、わたしは随分と世間一般から外れて生きてきたのだなと改めて思う。
わたしのこれまでの人生は勉強バイト勉強バイトバイト仕事バイト勉強仕事仕事で、その生き方の中で今回初めて、世の大人たちはこういう娯楽経験によって仕事を成り立たせているのだと知った。別の生き方の醍醐味を知った。

前置きはこれくらいにして、旅の感想を。
めっっっっちゃくちゃ疲れたし、めっっっっっちゃくちゃ楽しかった。大大大大満足だ。あーーー疲れた。疲れた。楽しいことってこんなに疲れるのかぁって感じ。

ありきたりな感想にしかならないけれど、これまでの30年間で当たり前としてきたことが当たり前ではない世界があることを肌を通して体感した。感じたことのない匂い味、見たことのない景色動き。これまでがちっぽけだったとは思わないけれど、日本ではない場所の1つを見ただけでこんなに違いがあるのだから、世界はとんでもなくデカいんだな、と。うーん、どこまでもありきたりなことしか言えないや。


ところで、わたしがこの娯楽のために働きたいかというとやっぱりそうではないみたいだ。わたしはどこまでもナレーションのために生きたいらしい。この娯楽と比較したときに、より大切にしたいものを再認識できたことには大きな意味があった。
他の選択肢を知らないままこの生き方を選択するより、選択肢を知った上で自分の生き方を選択したい。そして他の選択肢を知ることで自分の選択をより間違いではないものにしていきたい。知らなかった価値観を今後の自分に溶かして、意味のあるものにできますように。
いや、もうなる気がしてる。早速、今日街で外国の方に優しくできたし。新宿の道案内ならどんとこいよ。

それにしたって、中国語はおろか英語だって分からないのに、完全に言葉が通じない場所に行けたんだから、日本国内なら何でもできる気がしてくるね。分からない言葉を発してぼったくろうとしてくるタクシーのキャッチの怖いお兄さんたちを5人まとめて振り切ったくらいなんだから。日本でなら何だってできる。国内なら話す言葉が通じるんだから、できないわけがないとさえ思えてくるよ。

これからの人生は、楽しくて疲れることをしていきたい。疲れないことは自分の枠を超えないことだから。率先して疲れよう。


おおすかちゃんを!あなたの力で!生かしてたもれ!✌︎