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【洋書多読】Ready Player One(230冊目)

Ready Player One by Ernest Cline
 
総語数: 136,048 words (by 英語多読におすすめ! 定番の洋書・児童書 75選)
 開始日:2023年9月18日
 読了日:2023年10月5日
 多読総語数:9,254,723 words

『Ready Player One』はコンピューターネットワークの世界が現実の世界に置き換わりつつある近未来を描いたSFです。スティーブン・スピルバーグ監督で映画化もされています。

主人公の男の子はネットワークでつながれた仮想世界「OASIS」の中に散らばっている数々のミッションをクリアしながら謎を解き、そのの創始者である人物が残したという莫大な遺産を狙う「ハンター」です。

しかしながらネットワーク上で彼が築き上げていく名声とは異なり、現実世界での彼の生活は貧しく惨めなものだったりします。

バーチャルな世界の中で自分の理想的な自我を人工的に構築し、その自我に相応しくふるまおうとする主人公たちの様は、はしなくもSNS上で「映え」なんかを意識する現代の風潮を描いているような感じがして、少し悲しいものがありました。

物語自体は、近未来を舞台にした仮想世界のPRGといった趣です。

作中では1980年代くらいにヒットしたゲームやアニメ、「スター・トレック」などに代表されるSFなどが多数フィーチャーされていて、まさに僕世代(1975年生まれ)の人間にとってはとても懐かしいものになっていると思います。

本作はアメリカのものですが、作品の中には「ウルトラマン」や「ギャラガ」だとか「パックマン」といった日本人の僕たちにもおなじみのものが登場しますので、その点からもとても楽しく読みすすめることができました。

英語レベルは中の上。それなりに手強いです

しかしながら英語レベルはそんなに易しいものではなく、ネット上の評価もだいたいYLレベル6.0〜7.0くらいになっているようです。多読中〜上級者向け、という感じです。

難しい理由は「単語」でしょうか。コンピューター関係の単語は馴染みのない人には結構難しいでしょうし(僕もそうです)、そうでない単語についてもSVLリスト1万語レベルを超えてきそうな結構ハイレベルなものが頻出します。

SVL1万語レベルなんてネイティブからしたら小・中学生が知っていて使いこなすレベルの単語なんだそうですが、日本人学習者を含むノンネイティブにとってはいわゆる「TOEIC900点以上・英検一級レベル」の難単語となりますので、本書を読みすすめるのはなかなか骨が折れると思います。

加えてこの手のフィクションに頻出の「句動詞」が、読みにくさに拍車をかけます。句動詞を知らなくても、使われている前置詞/副詞のより細やかなニュアンスをつかめる・知っている方は意味を推測しながら読めると思いますが、このあたりは英語に対するセンスや生の英語に触れた経験がモノを言ってくるところなので、大学受験や資格試験対策として比較的カチッとした英語を学習をしてきた人にもやはりまた、ちょっと厳しいかもしれません。

1970年代以前生まれのコンピューターギークにオススメの一冊

そんなわけで、一般的な英語学習者の方にとってはなかなかタフな本書ですが、1980年代のカルチャーを知る方や、前述のアニメや映画、コンピューターゲームに馴染み深い年代の方にとっては懐かしさと面白さで最後まで読めてしまう、そんな感じの一冊かなと思います。

英語レベルも一筋縄ではないですが、幸いなことに文章自体はとてもシンプルかつストレートで変な挿入句や修飾語句はあまりありません。それなりの語彙力がある40代以降くらいの英語学習者向けの一冊、という感じです。もちろん、当時のカルチャーやコンピューター関係に興味があるという若い人にもオススメの一冊です。

13万語以上という長さに見合うストーリーの面白さは十分にあると思います。若干読み手を選ぶ感はありますが、手に取ってみる価値はありそうです。

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