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【洋書多読】How to Meditate(190冊目)

『How to Meditate』を読了しました。

292円と安くなっていたのもさることながら、いま僕が東京で通っているメディテーションスタジオで8月から始まるクラスの課題図書になっているためです。

それに先立ち、予習がてら読んでおこうと思いました。

瞑想の本であり、人生の指南書でもある

本書は一言でいうと、瞑想の本でもあり、人生の指南書でもあるといえるでしょう。瞑想をしていない人も、苦しみや悲しみをどんなふうに乗り越えたらいいか?具体的にはそれをどうやって自分の糧にして精神的に成長していけばいいか?ということが書かれています。

もちろん、瞑想をしていないとピンとこないような記述があることも確かですが、その語り口の柔らかさのせいで読み進めていくことができるでしょう。

英語自体も、イージーリーディングに適したようなとても優しい/易しい英語です。語彙が若干難しいと言うか抽象的なのはトピックの性質上仕方ないことですが、そこを気にせず読んでも十分楽しめると思います。

一方で、これから本格的に瞑想とかチベット仏教を習ってみたいな、と思っている人の入門書の役割も果たせると思います。もちろんこれは「座り方」「瞑想の仕方」の解説がメインの本ですから、専門的な議論には若干耐え得ないところもあると思いますが、そこはまた別の書籍に譲るべきでしょう。

人柄がにじみ出ているような英語

著者のPema Chodron氏は全米にマインドフルネス・メディテーションを広めた功労者の一人です。

70年代にチベットの高僧が米国に渡って瞑想を広めたのが第一世代。その時代のお弟子さんたちが現在全米でメディテーションスタジオを展開しているのですが、Pema Chodron氏もそんな世代の一人です。

Pema Chodron氏の先生は、スティーブ・ジョブズも影響を受けたと言われるチベット人の高僧Chogyam Trumpa師で、うちのメディテーションスタジオは主にこの先生の著書と、その愛弟子であるDavid Nickturn氏の本を中心に理論を学習していきます。

もちろん、David Nickturn氏の英語も(ネイティブだから)読みやすくて素敵ですし、Chogyam Trumpa師もチベット出国後は英Oxford大学で宗教学を修め(修士)たひとですから、その英語力は確かなものです。

でもSpiritual Pathをストイックに突き進むお二人のお話は、時に読者である僕たちを突き放し、置き去りにします。難解なメタファーや抽象的な話が多く、時に読むのをやめてしまいそうになります。

でも、この『How to Meditate?』はそういうことはなくて、瞑想ビギナーが「悟り」を開くまでに瞑想実践者が経験するような心理的なプロセスを、とてもわかり易くて柔らかな英語で解説してくれています。

あたかも著者のキャラクターが滲み出ているかのようです。

初めて座るときから悟りまでの道のりをわかりやすく追体験させてくれる

Chogyam Trumpa師から流れる系譜をたどるメディテーションの多くは、癒やしとか気分が良くなったりするようなのとは真逆の、本当に辛くて厳しい修行の道になっています。

『How to Meditate?』では、修行中(練習中)の生徒たちが抱くであろう疑問、経験するであろう苦悩とか葛藤について、ご自身の経験からとてもわかり易く解説してくれています。

読みながら、最初のうちは「あぁ、こう言うときもあったなぁ」という感想だったのが、徐々に今、まさに自分が経験している葛藤の話になりました。それはあたかも自分に寄り添って僕の話を聴いてくれているかのようで、読んでいて涙が出そうになりました。

そこからさらに読み進めると、いろんな苦しいことが一気に晴れて、この世の中が違って見えてくるという「悟り(enlightenment)」の境地が不意におとずれると言うんですが、それまでに練習性が経験するであろう様々な困難にも真正面から言及してくれていて、まだその域には遥かに達していない僕は背筋が伸びる思いがしました。

瞑想に興味のある方はぜひ読んでみてください

そんなわけで『How to Meditate』をご紹介しました。

瞑想に興味のある方はもちろん、その入門書としてぜひ読んでみていただきたいです。英語でそのまま読んでも全然楽しめると思います。

興味のない方にとっても、辛い思い出や悲しい出来事、怒りの感情といった人生におけるマイナスの出来事とどう向き合って、どう乗り越えていくか?という示唆に富んだ一冊になっています。それが綿々と続くチベット仏教にルーツをもった哲学に拠っているということもまた、僕が安心して本書を読み進められた理由の一つでした。

著者にお会いしたことがあるという方にお話を伺ったんですが、すでに妙齢であられるにも関わらずとても精力的に活動されている一方で、全身から穏やかさとか気品が溢れ出る、とても素敵な淑女という印象を抱かれたようです。

そんな方の著書。日本で言うところの瀬戸内寂聴さんの本を読んでいるみたいな、そんな感じなのかなぁ?と思ったりしました。

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