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【洋書多読】The Pupet Show(194冊目)

M.W. Cravenというイギリスの作家の人気作『The Pupet Show』を読了しました。

本作は「The Gold Dagger Award」(ゴールドダガー賞)という、英国推理作家協会が主宰する文学賞を2019年に受賞しているそうです。『ストーンサークルの殺人』という邦題で日本語に翻訳されています。

先日、東京の紀伊國屋書店アネックス(洋書専門店)に行ったときに、店内の色んな所に面チンされていました。この前に読んだ『It Ends With Us』と並んで同書店推しの一冊だったようなので、Kindle版を購入して読み始めることにしました。

物語のあらすじ(ちょっとエグいです)

主人公のWashington Poeという、ちょっとアウトローな感じのする刑事が、周囲の人間と協力し合い、時に対立しながら、前衛を震撼させる猟奇的な連続殺人事件の解決に挑む物語です。

その殺人事件というのが、イングランドに点在するストーンサークルで連続して焼死体が見つかるというもので、その焼死体は他殺体です。つまり、誰かが火あぶりの刑で人を殺しているということです。

ただ単に焼き殺すだけでなく、徹底した準備によって焼かれた死体は損傷が激しく、全身の99%が激しく焼かれています。

では残りの1%の「焼けていない部分」がなんなのか?というと、切り取られてた男性の局部で、その切り取られた局部は焼死体の口に突っ込まれた状態で発見されるという。これが連続して起こる殺人事件なのでした。

4人目が殺されたところで、ひょんなところからPoe警部がこの事件に関わることになるんですが、ここからあとの展開がものすごいです。局部を切り取られた焼死体が…というのがはるか遠くに霞んでしまうくらい、次から次にいろんな展開が待っていて、「よぅこんな話思いつくなぁ」と感心しながら読みました。

しかも最後の最後、本を閉じる瞬間まで物語が展開し続けるので、本当に読む手が止まりません。これもまたすごいなぁ、と思いました。

すごいなぁと思った理由については、以下に記します。

英語が難しいのに、何だか読んでしまう

というのもこの英語、児童書の多読を中心にして英検一級まで言った僕としては、レベル的にちょっと難しい英語でした。正直、最初の方で多読三原則の一つである「難しかったら投げる(読むのを止める)を何度もしようと思ってしまったからです。

単語の意味はよくわからないし、イギリスのFBI(らしいです)が話す表現はやっぱり独特です。

でもわからないなりに毎日1時間から1時間半くらい読んでました。っていうか読めてしまったんです。しかも最後の方は結構ドハマリしてしまいました笑

理解度的には多分70%もいってなかったと思います。意味を取りそこねたまま「飛ばして(つまり多読三原則に忠実に従って)」読んでいるうちに、場面が変わっていたり、話が完全に次の展開に行ってしまっていたり、ということがしばしば起こりました。

だからニュアンスはもちろん、細かい部分の理解とかは正直に言ってできていないと思います。でも、それでも大まかに把握できている話の展開が十分面白くて、どんどん先に行ってしまえる、そんな感じでした。

あと、多分英語のリズムというか、文章がこなれている感じであまり読んでてしんどくないのも良かったです。とにかく難しいのは「単語/句動詞+話し言葉」の類だけで、高尚な文学作品のような修辞的な表現がほぼなくて、文構造は自体はシンプルなものが並んでいるので、単語の意味さえわかればスイスイ読めてしまいます。

この辺は大衆作家(という言い方は失礼かもしれないけれど)のミステリーを多読することのメリットだと思います。

と言っても英単語のレベルは完全な「英検一級レベル」です。しかも、英検一級レベルの単語を「前提として」知ってないと読めないレベルだと思います。でも、チャレンジする価値はめちゃくちゃあると思います。だってこんなに面白いんだから。

というわけで、激しくオススメしたい一冊

というわけで、読了後の興奮覚めやらない状態での『The Pupet Show』のレポートをお届けしました。

最近イギリスの作家の小説でアタリを引くことが多いなぁ、と思う今日このごろ。今回の『The Pupet Show』はその中でも白眉だったと思います。

それに、この小説との出会い方が僕は好きです。アマゾンが普及する以前は、本って街の書店に行って買うものでしたが、時に自分が予期しなかったような本を手に取っちゃうとか、もっと気持ち悪い言い方をすると「本と目が合っちゃって」思わず購入しちゃうとか、そういうフィジカルな出会いがあったんです。

今はAIみたいな広告が勧めてくるのを無意識のうちに買わされている感じがあります。それはそれでハズレを引かないという点で随分合理的なショッピングの方法だとは思いますけど、今回の『The Pupet Show』との出会いがそうだったように、フィジカル本とのふれあいとか交流を求めてしまうのは、どこか人との出会いに通じる所があるような気がします。

Zoomで仲良くなったらやっぱりいつか直接交流したくなるし、直接交流することでしか見えないことってあるじゃないですか。洋書だってやっぱり手にとって選びたいときもある。

僕にとって今回の『The Pupet Show』と作家のM.W. Cravenとの出会いって、それに近いものがあったとと思うし、その出会いによって、新しい作家のことを知れて、新しい多読の世界の扉をまた一つ開いてもらったと思います。

やっぱり、時々は書店に足を運んで、自分のフィーリングに従って本を選ぶ、という経験ってしないといけないなぁって思いました。


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