『シンプルで伝わる英語表現』オススメです!
基本的に読書は洋書の多読にしている僕ですが、一応日本語の本もほそぼそと読んでいます。こう見えて、結構読書家なんです。
そんな僕が仕事の合間やスキマ時間にちょこちょこ読み進めているのが『シンプルで伝わる英語表現』という本です。
この本、英語学習者の方にホントにおすすめです。もうご存じの方もたくさんいらっしゃるとは思いますが、今日はこちらをご紹介してみようと思います。
文化の違いから「自然な英語」を解説してくれる
「ネイティブはこういう時にはこう言う」みたいな本や情報ってそこらへんに掃いて捨てるほどありますが、本書が優れていると思う点はこちらです。
1.著者の先生がすばらしい
2.わかりやすくて頭に入ってくる
3.すぐに使える表現満載!
1.著者の先生が素晴らしい
本書の著者は倉林秀男先生とおっしゃる方で杏林大学外国語学部の教授です。『ヘミングウェイで学ぶ英文法』などの著書があって、書店で見たことがお有りの英語学習者の方も多いんではないでしょうか?
先生の研究はちょっと面白そうで、もし授業が受けられるんなら僕も受けてみたいといつも思っています。詳しくはこちらをご覧ください。
英語のハノンの横山先生や中村先生を始め、多くの英語界隈の先生から大きな支持を得ている先生が著者であるということ。これが僕が先生を信頼する1つ目の理由です。
2.わかりやすくて頭に入ってくる
そしてこの『シンプルで伝わる英語表現』とにかくわかりやすくてスルスルと頭に入ってきます。
ちくま新書から出ていてかばんの中に入れていてもあまりかさばらず、空いた時間にさっと読めるのも◎。Kindle版もあります。
各チャプターは4〜6ページぐらいでちょっとした隙間時間に読み進めるのにむちゃくちゃ適しています。
ビジネス、プライベート、SNSの投稿など、細かいシチュエーションが設定されていて、各チャプターで「こういう場面ではどういう表現が適切か?」を4択で選ばせる問題形式になっているんですが、これがとっても面白いです(後述)。
面白いと思うのは「日本語と英語における発想の違い」に即して解説してくれている点。ここは先生の専門である研究分野における経験知が大いに活かされている部分かと思います。読んでてとっても安心できます。
3.すぐに使える表現満載!
私事ですが、先日外国の企業のrecruitment teamと英語でメールのやり取りをする機会を得ました。ちょっとしたアルバイトにエントリーしたんです。もちろんオール英語です。
その時ちょっと僕の方の不手際で提出物に不備があって、メールで再提出を促されたんですが、どういうわけか、先日応募用に作成したアカウントがうまく機能してくれません。
で、取り出したのが他でもない本書でした。ここに書かれたい英文をちょいちょいといじって、サクッと先方とやりとりさせてもらいました。
まあ偶然といえば偶然なのかもですが、細い状況設定に即した実例文さることながら、本書が基本的に「英語表現と日本語表現の違い」に焦点を当てて書かれているおかげで、載ってない表現を書くときも「じゃあこう言う時はこうかな…?」って応用が効くんです。
もちろん本書を一冊読み終えただけで英語が堪能になる、というものではありませんが(そんな魔法はどこにもありません)、教養として、英語を運用しながら仕事をしている人間は知っておいたほうが良い知見が満載だ、というのを実感した次第です。
シチュエーションとそれに付随した4択問題がリアル!
さて実際の内容ですが、本書の帯に採用されている例題
「お先に失礼します」という英語、どれが適切でしょうか?
① I'm sorry for leaving early.
② I'll see you tomorrow.
③ Have a good evening, everyone.
④ I have plans tonight, so I'm going home.
と言う本書の問題を使って考えてみましょう。
もちろん、勘のいい方は①ではない、ということはおわかりだと思いますが、ではどうして日本では「あなたより先に帰ります」という事実認知的言明を持って「お別れの挨拶」とするのか、そういう言語習慣が英語話者にはあるのか?という考察をメインに説明がなされるのが面白いです。
ちなみに僕はフィリピンで2年半ほど働いていたので、フィリピン人の同僚が②か③を言いながら帰っていくのを知っていたので答えはわかります。ただ、どうしてそういうのか?なんて考えたこともありませんでしたが、その根拠が示されているのが「ほー」となります。
その他「遅刻しそうな時」などのシチュエーション設定がたくさんあるんですけど、面白いのは「誰に向けて発しているか?」までが考察の対象になっていることです。
同じ「遅れそう」にしても、ビジネスで初対面で合うクライエントと、ある程度関係性ができているクライエント、上司、同僚など、言う相手によって表現は変わります。当たり前ですね。
本書はこのように「どのような場面で/誰に対して」それをいうか?というのを前提に論じられていて、正解の理由だけでなく、どうしてそれが不正解(不適切)となるのか?についても解説されています。この解説がシンプルでくどくなく、でもとってもわかりやすいんですね。
シチュエーションはビジネスだけにとどまらず、「SNSでキレイな風景をアップしたときに添えるコメントととして適切なもの」とか、結構ありがちなのにも関わらず改めて問われてみるといまいちはっきりとした答えが言えない、みたいなのが満載で、これも「へー」の連続でした。
「テオリア」シリーズも一緒に!
それから倉林先生といえばなんと言っても『英語長文のテオリア』は外せなさそうです。
本書は、最近僕がその必要性をとみに痛感し始めている「精読のクオリティ」をあげるのに一役買ってくれそうな雰囲気がビンビンします。書店なんかに行くと結構平積みされていますが、見るからにおすすめです。
これが難しいと思われる方は『英文解釈のテオリア』から学習して、『英語長文のテオリア』に移行してくのも良いのかな?と。
ある程度英語が読める人であまりお勉強お勉強したくないけど読解力もあげていきたい、という方には前述の『ヘミングウェイで学ぶ英文法』などの『〇〇で学ぶシリーズ』がおすすめです。こちらも同じ倉林先生の著書です。
個人的には「黄リー教』→(『英文解釈のテオリア』)→『長文読解のテオリア』の順でステップアップしていくのがいいんじゃないかな?と思ってますが、いかがでしょうか?
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