大杉谷について
富山の黒部峡谷、新潟の清津峡とともに日本三大峡谷に数えられる大杉峡谷。大杉谷はこの大杉峡谷を含む、水と緑に恵まれた秘境の山地であり、国からは「吉野熊野国立公園」に指定、世界的にも「ユネスコエコパーク」として認定されています。
自然
大杉谷は屋久島と比較される多雨地帯であり、昔から「弁当は忘れても傘は忘れるな」という言葉があるほど。この壮大な雨量が、深いV字峡谷、個性豊かな滝、「嵓(くら)」と呼ばれる巨大な岩壁、美しい自然林や苔を生み出しているのです。日本一の清流「宮川」も、この豊かな水の恵みの一つです。
植生
大杉谷から大台ケ原は、標高差約1400m。8.4℃の温度差が生じ、低山帯から亜高山帯までの植物相が分布しています。シダ植物と種子植物合わせて約900種ほどの植物が生育しており、これは日本の植物約4000種のうちの1/4にあたる数。多様な植物が作り出す、山の表情の変化にも注目してみてください。
歴史
大杉谷を流れる宮川の下流は伊勢湾に達します。この地理的関係ゆえ、大杉谷は安土桃山時代から江戸時代にかけて計7回、伊勢神宮の式年遷宮の材木を産する御杣山(みそまやま)として活用されました。
大杉谷で切り出された材木は、増水期の川の流れを利用して伊勢神宮まで届けられたのです。ぜひ当時の杣人の努力や工夫を想像しながら、登山道を歩いてみてください。
登山道
大杉谷登山道は、三重県大台町と奈良県大台ケ原を結ぶ中級登山道。大杉峡谷の7つの滝と11本の吊り橋を超え、自然林の森を抜けて大台ケ原に至る、見どころ満載の登山道です。
特に、2014年4月の全線開通まで10年間通行止めになっていた七ツ釜滝~堂倉滝のエリアは、秘境大杉谷の最深部。日本の滝100選に選ばれている「七ツ釜滝」はもちろん、台風災害により生まれた新名所「崩壊地」も、登頂欲をかき立てられる絶景です。
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