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大学ファンド 「チーム甘利」深まる疑惑文科省が関係否定するも資料に甘利氏の名前



2022年5月23日【2面】

 10兆円の大学ファンドの関連組織のなかで自民党の甘利明前幹事長に連なる人物が要職を占めている「チーム甘利」問題の疑惑が深まっています。衆院文部科学委員会で問題を追及した日本共産党の宮本岳志議員に文科省が釈明にきたものの、その説明が「チーム甘利」の存在をいっそう裏付けるものだったからです。
 宮本氏が委員会(4月27日)で追及したのは『文部科学教育通信』2019年11月11日号に載った甘利氏のインタビュー。政府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の議員だった橋本和仁氏から東京大学の総長候補として五神真氏を、CSTIの事務局長として上山隆大氏を紹介され、親密な関係を築いたことを「チーム甘利」の言葉とともに語っています。
 その後、五神氏は実際に総長となり、東大を「経営体」にする改革に着手。事業成長の元手となる大学債の発行要件緩和を政府に働きかけて実現するなど、年間3%の事業成長を認定要件とする大学ファンドからの支援獲得の下地づくりともいえる経営路線を進めました。


強力な発言権も

 橋本氏は現在、大学ファンドから大学への助成を担う科学技術振興機構の理事長。上山氏は支援対象大学の選定などに強力な発言権を持つCSTI唯一の常勤議員です。
 宮本氏の追及に末松信介文科相はまともな答弁ができず、委員会が文科省に報告を求め、後日理事会に報告されることになりました。同省高等教育局の担当者は5月12日、理事会報告に先立ち、国会議員会館の宮本氏の部屋に説明に訪れました。
 担当者は、大学ファンドの出発点は「チーム甘利」ではなく、自民党「知的財産戦略調査会」の18年5月の提言や、CSTI専門調査会の19年10月の議論だと説明。議論に先べんをつけたのも安宅和人慶応大学教授だとし、その証左として毎日新聞の記事(5月12日付、インターネット配信)を持参しました。

存在浮き上がる

 ところが、当時の自民党知的財産戦略調査会の会長は甘利氏。CSTI専門調査会の会長は上山氏で、五神氏もメンバーです。
 持参した「毎日」の記事には、安宅氏のファンド構想に当初財務省が反対するなか「党重鎮の甘利明元経済財政担当相らがファンドを後押しして潮目が変わった。菅義偉首相(当時)が、渋る財務省側の提示を『甘利さんが言っていることと全然違う』と突き返したこともあった」などと書かれています。
 「チーム甘利」の影響を否定するはずの説明が、「チーム甘利」の存在を余計に浮き上がらせる結果となったのです。

大学に競争強いる時代錯誤の政策

宮本議員の話

 大学ファンドの支援を受けるのはごく一握りの大学だけです。新自由主義からの転換が求められているときに、大学に弱肉強食の競争を強いる時代錯誤の政策です。選ばれた大学も事業成長が最優先になり、もうからない学問は切り捨てられます。この誰も幸せにならない政策が「チーム甘利」によって進められてきたことが、文科省の説明でも明らかになりました。引き続き国会で追及するとともに、全ての大学で雇用や研究費に不安を感じず、安心して教育研究に打ち込める環境を実現するため力を尽くします。


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