沖縄はどこか寂しさが漂っている気がする
懐かシリーズ32
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明朝6時50分。
昼過ぎに起きていた私にとって、今日の朝はとても早い。
まだ頭が覚醒していない状態で眠気と現実の間をバスに揺られながら身が醒めるのを待つ。
そして、窓に移る沖縄の景色をボーッと眺める。
沖縄にきてから、私はどこへ行くにもバスを利用していた。
普段バスに載っている時は、あまり感じなかったが私はどうやらバスが好ましいらしい。
いや、バスそのものが好きかといったら違うかもしれない。
バスの中で携帯をいじれば秒で車酔いを起こして気持ち悪くなるし、長時間乗り続けると腰が痛くなって足も浮腫む。
だから多分、バスそのものじゃなくて、静かに一人ボーッと窓から高速で流れる景色を見ているのが好きなのかもしれない。
家族でも友達でもない車で、ただ一人ポツンとバスに乗る。
何も喋らなくていいし無責任な感じがする。それが良い。
沖縄では、常に私が暮らしていた町との違いを無意識に探していた。
あ、幼稚園児がバイクの後ろに乗って登校するのか、とか看板が古い店がほとんどだなとか。
沖縄は家の壁が白い。
ほとんどの家の壁が白い。そして屋根はオレンジ。
東京も白い壁の家があるけど、こんなにもあたり一面白色の壁の家の景色は東京にはないだろう。
東京はビルも多いし、ビルの色は大抵灰色だから街並みは白ではなく灰色系だ。
沖縄は一年を通して温暖な気候だ。
太陽の日差しも強い。
だから、家が暑くならないように白色の壁にして太陽の光の吸収を抑えたのかもしれない。
もしくは、気持ち的な問題で「灰色より白色の方が暑苦しくないから」かもしれないが。
そうした、白い壁の家をバスから眺めていると何故か少し寂しい気持ちになってくる。
何故だろう。
私はバスから眺めながら考えた。
信号機が赤色でバスが止まる。
ふと、窓から映る白い壁の家を眺める。
その家をよく見ると、白色がはげていて黒っぽくなったり、汚れがついて黄ばんだりしていて、少しボロい印象を受けた。
その家の隣を見るとこちらもさっきと同様に少し寂れた印象を受ける。
そうか、太陽の光を吸収しないように白色にしているけど、白は汚れが目立ちやすい色でもある。
だから、白色の家はどこか黄ばんでいたり色落ちしていてそれが集まって少し疲れている印象を街全体から私が感じたのかもしれない。
寂しさの原因はこれか。
ネイルもそうだが、真新しいものは隙がなく、元気に見える。
きっちり塗られたネイルは綺麗で元気に見える。
逆に少し剥げてたり落ちかけていると、寂れて元気がないような印象を受ける。
どちらも個人的には好きだが、私は沖縄のどこか気怠げな雰囲気が好きだ。
東京は新品って感じの店が出たり入ったりしているが、沖縄は新品の店があまりなく、昭和にタイムスリップしているような感覚になる。
完璧な白色じゃないモノたちが集まって、景色を作っている。
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