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秋と冬が混じった季節

景色は黄色だった。
今年の紅葉は少し遅いように思う。
12月半ばの今頃になって、銀杏が美しかった。

自転車に乗れば冷たい向かい風に吹かれ、
車に乗れば銀杏の葉がフロントガラスを叩いた。

思い出すのは雪の日だ。
雪が降る中、そんな状況下では初めての車の運転だった。
雨粒とは違う、白く大きな雪がフロントガラスを絶えず叩いた。
石が飛んできたのかと私は怖くて、びくびくしながら
なんとか避けられないものかと無茶なことを考えつつ走った。

銀杏の葉の方が怖くはない。
サイズは大きいが、飛んでくる量はせいぜい2、3枚だし、
絶えずぶつかってくるわけではなく風が吹いた一時だけだ。
ばちばちと正面に当たる様子は、
小さな生物が必死で飛びかかってきているようでどこか可愛らしい。

道路の両脇は黄色く積もり、
見上げれば黄色の中に差し色に赤が入った樹々が風に揺れている。
強風注意報など出ていただろうか。
記憶は曖昧であっても、風は容赦なく次々と葉をふるい落とす。
それでも上空にはまだまだ在庫はりますよと言わんばかりに
ゆさゆさと優雅に揺れてみせる。

秋と冬が混じったこの季節はとてもきれいだ。

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