もう終わりにしよう

私達が出会ったあの日、彼は私に一目惚れをした。
いつもなら誰にでも抱かれてしまう私が
あの日彼の誘いを受け入れなかった。
そこから私達の運命が動き出すことになった。
遠距離だった私達が会えるのは月に1.2回。
そんな日々が半年ほど続いた。
そして何でもなかったあの日に私達は結ばれた。
私に夢中になる彼を横目に変わらず息を吐くように
他の男にも抱かれ続けていた。
罪悪感なんて言葉は存在しないも同然だった。
それから半年後、
酔った拍子に神様が私に悪戯を仕掛けた。
「ねえ、今夜3Pしない?」
私の口から溢れたその言葉を彼は聞き逃さなかった。この一言であのたったの一言で
予期せぬタイミングで全てが台無しになり
歯車が狂い終止符が打たれた。
その後、誤解を解こうとしたが既に遅かった。
仲直りしたように思えたあの最後の日、
私は彼にいつもより乱暴に抱かれた。
私の首を締めながら興奮する彼の姿は
変わらず美しく儚かった。
「またね」と言った彼は嘘つきで、
神様は何よりも残酷だった。
体調が優れず気になった
私の目の前に現れたのは彼との間にできた
新しい命だった。
嬉しかったはずなのに幸せだったはずなのに
哀しみに溢れかえっていた。
私に愛想を尽かした彼は
少し前から音信不通だったのだ。
行き場のない感情だけが溢れ、
ただただ毎日お腹の子に謝り続けた。
彼の状況、私の状況どちらをとっても
産むと言う決断は残っていなかった。
結局あの子に出会い、
お別れをするまで私は孤独だった。
泣き続けたら涙が枯れるなんてそんなの嘘だった。
それから1ヶ月後、他の知り合いを通して彼と連絡が取れ会うことが出来た。
「ごめんね。ごめんなさい。」
彼はただただ私に謝り続けた。
私が欲しかったのはそんな言葉じゃなかった。
「もう終わりにしよう」最後に会ったあの日、
彼は確かに私の目を真っ直ぐ見てそう言った。
あれから1年が経った。
今夜も私は彼のことを思い出しては涙を流している。いつかあなたを過去に出来ますように。
私が本気で愛した唯一のあなたへ。

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