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表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬を読んで。

まず最初に、まだ読んでない人は絶対に先に読んで欲しい。
どうしても内容に触れないと感想は書けないので、こんな人間の感想より先に新鮮な若林さんの言葉を受け取ってから読んで欲しい。

今回の本はあまりにも引用なしで感想を書くのは難しすぎた。
本当は原文まんま引用したい綺麗な文章がいくつもあるのだが、頑張って回避しながら書いていこうと思うと、どうしても自分語りが多めになってしまった。
そこはご了承頂きたい。

僕は、若林さんの著作を読むと素直に"こんな人間になりたい"と思う。
昔、生き方のヒントを得ようと自己啓発本や心理学の小難しい本を読んでいたときは、生き方が上手な人間と自分の差を見せつけられてる気がして、劣等感を増幅させてしまうことも多かった。
だが、彼の本に出会ってからそういう類を読むことが一切なくなった。
僕が求めていたヒントを、似たような道の何歩も先を歩いてる彼が示してくれてる気がしたから。

"コロナ後の東京"の章に、自分を車に擬えて捉えるシーンがある。
要約すると、生まれつき車体に違和感を抱かない人はスムーズに道の上を運転できるので周りの景色を楽しむ余裕があるが、僕らのように車体に違和感を持つ人間は何度も何度もボンネットを開けて欠陥を探さないと気が済まない。これを自身の内面を徹底的に見つめる作業と重ね合わせていた。
これに痛いほど共感した。

友達に、器用に生きてるよねとか生き方上手だよねとか言われることがあるけど、とんでもない。
僕もスムーズに車を運転してるように周りに見せかけてるけど、実際は何度も脇道に逸れてこっそりボンネットを開け、故障を治そうとしてきた。
この作業を必要としないでずっと外の景色を楽しんでるやつをずっと羨ましがってた。
なんなら、今だって羨ましい。
どうして僕は内面を必死に覗いてるんだろう。欠落が治らないんだろう。

でも、分かった。
きっとまだ内面を覗き足りてないのだろう。
若林さんの生き方にヒントはあるが、僕と彼は別人だ。
きっと僕には彼と別の欠落があって、それは似ていて非なるものだ。
それが分かるまで必死にボンネットを開けて隅から隅までくまなく探し続けるしかない。

その果てに、彼が手に入れた「欠落を一生抱えていくのだろうなという諦念と、その先で大切な価値に出会うだろうという感謝」が僕の中に湧いてくるのだろう。

そこまで自己内省が行き届いてないから、自分に自信なんて出てこないし、他人からの人格否定に簡単に心が揺らぐ。

だから、揺らいで当然だ。
もっと覗こう。もっと自分に鞭打って、外の景色ばかり見ている人間に脇目もくれずボンネットの中を探そう。

そういう温かくて前向きな気持ちになれた。
何度も彼の言葉に、生き方に救われてる。

解説の松永さんも凄まじかった。
彼自身も若林さんの様に生々しく生きて、その生き様がこんなにも、胸にきて呼吸が苦しいくらい、涙が滲んで文字が読めないくらい、僕の心を動かしてる。

純粋に、こうなりたい。
どんなに遠回りしても、どんなに馬鹿にされても、どんなに悩んでも悩まなくなっても、こうなりたい。
自分の傷も全て曝け出してありのままで生きれる人間になりたい。
自分の傷を恥ずかしがらない、そんな弱くて強い人間になりたい。
なりたいよ。

でもどうしたらいいか分からなくて、未だに自分の内面ばかりを覗いてる俺みたいな人間なんて周りにいなくて。
孤独で、怖くて、俺が間違ってるんじゃないかって、ずっと疑問抱えて生きてて。
それでも、その先にはきっと何kmも先を走ってる彼らが出会えた大事な価値とか、血の通った関係があるんじゃないかって思えるから、今を辛うじて生きてる。

ありがとう。
松永さんや若林さんのいう通りだ。
健康に生きるから、健康で生きてくれ。

ありのままの生き様を、どんな部分でもいいから、俺に見せてくれ。

俺が勝手に手本にして、勝手に人生を充実させるから、どうか健康に生き続けてくれ。
お二人とも本当に大好きだ。ありがとう。

駅中のドトールで、周りの人間がドン引きするくらい泣きながらこんな文章書いてる社会不適合者なんて生き辛いに決まってる。
みんな課題やったり、仕事しにきてる中で俺は何をしてるんだか。
あの、ごめんなさい、そこのパンツスーツのお姉さん。睨まないでください。
鼻かんだら出ていくんで、本当にすいません。

広げてた荷物をまとめながら誓う。
そんな醜くて歪な自分が信じれなくても、孤独に寄り添ってくれる彼らを信じて、俺は生きていく。

こんなかっこよく決意を書いても、打たれ弱くて傷つきやすくてそれでいて多数派にも賛同できない僕はすぐに悩んでしまうだろう。
それはもう目に見えてる。
ナナメの夕暮れに感動してからだって何度も何度も何度も悩んで苦しんで今生きてるんだから。
そう簡単に変われるなんて鼻から思っちゃいない。
それでも、それでも。
こうなりたいと思う、その気持ちだけは本物で。それだけは揺るがないから。
だから、今くらいは。
ドトールでギャン泣きしてる今くらいは、こんなことを書かせてくれ。

きっと事あるごとにこの本は読み返して、その度に新鮮に魂を震わされる本になると確信した。
1日に2回読んで2回とも泣いた本はきっと後にも先にもこれだけだろうと思った。

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