水の音が聴こえる


オンラインレッスンに移行かー。

ああ、、

淡々とやるしかない。

教室に到着して駐車する。
重い足取り。
パソコンもテキストもiPadもノートも入った、
重い鞄を二つ。肩にかけて。

そのとき、聴こえた。

水の音。

あれ?いつもこんなに水の音してたっけ。

教室は川沿いにある。

でも、その川の流れる音では無さそうだった。

音の元を探す。

道路。道路から、水の音が聴こえた。

ああ、きっとあの、お向かいさんの道路にある
用水路の蓋。

あそこだ。

あそこから水が勢いよくぶつかるような音が

聴こえる。

ああ、心地良い。

雪が溶けてきて、道路が見えるようになってきた。
雪解け水がぶつかりあってるのかな。



雪の降ったお正月。
実家の近くを長靴を履いて散歩していた。

降りたて積もりたての雪の感触を足裏でちゃんと
感じるために。

そのときも、ある地点で、水が流れる音に気づく。
水音のなかでも、この音は特別好きだなあ、と。



ある日の雨。

すごく嫌いだった雨が、悪くないなと思える
ようになったのは、

雨の音と雨の日の雰囲気が、
考え事をする自分に心地よく合致して、
落ち着くと気づいてからだ。

考え方もめちゃめちゃ前向きってわけではなく
自信なさげな、答えが見えていない自分。
その思考の狭間狭間に、雨音が入ってくる感じ。

空から降ってくる雨が、私に一体化してくれる感覚。

水辺が、大好き。

小川が流れていて。
お花が咲き乱れ、
野原一面クローバーだったりする。
ぽかぽか陽気の。
そんなところで平和にのんびり、
なにも心配せずに、
(きっと明日の天気とか、心配になるとは思うけど)
自由気ままに過ごすのが、私の願い。

I wish I lived near a beautiful water place.


水の音に、こんなにも敏感になったのは、
きっと、水の音のBGMを、
アパートの部屋で流すようになってからだ。
近くのTSUTAYAでCDを借りて、
MacBookに入れた。音質が、良すぎて、
外にいないのに、心地いい水の音を聴ける。

そういえば、実家の部屋の裏には
山があって、その手前には用水が通っている。
夏には蛍も遊びに来る。

夏はよく、窓をあけて寝ていたから、
自然と、用水の流れる音を聴きながら
眠りについていたらしい。

天気の良い日は、窓をあけて
宿題をしていたから
そのときも、木々が揺れる音と水の流れる音を
聴きながら、勉強していたのだ。

というか、住んでいるところは畑や田んぼがたくさん
あって、いたるところに用水が流れていた。

意識していなかったけれど、
きっと登下校中、歩きながら。
友達との会話の他に、水の音も聴こえていたのかな。


中学校は丘陵の麓にあった。
6月には丘陵の梨畑が白いお花を満開にし
白い絨毯のようになる。

高校は、海の近くにあった。
いつの日か、潮の香りが校舎を漂っていた。

留学先のホストファミリーの家は
ビーチから徒歩3分の立地で、通学路からいつも
海が見えた。
毎日毎日、海辺をひとり、散歩した。


社会人1年目、一人暮らしをした街。
海に面していた。
海に流れ込む川沿いを自転車で通勤した。
気持ちよかった。


私はきっと、
住んでいるところに当たり前のようにあった、
有り余るくらいの自然と、そして水音と、
共に生きてきた。

私はきっとこれからも
水辺や水の音を愛してやまないだろう。


水の戯れ 曲名知らずに初めて聞いたとき
不思議な感覚に陥ったことを覚えている。

完全に、水なんだよ。

水が戯れている様子が、はっきりと、
描写できるくらい。

心地が良い。


県内と市内の感染状況を踏まえて、
今年度3度目、
英会話教室でのオンラインレッスンへ移行が決まった。

運営も、自分の担当レッスン作成も
手間がいつも以上にかかるし、
そのわりには対面レッスンほどの質を出せなかったりして
好きではない、オンライン。

でも、水の音を聴きながら
自分を取り戻しながら。

乗り越えていくしかないのである。

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