ボーッと突っ立っているだけの仕事

ボーッと突っ立っているだけの仕事なんてないと言う人がいる。そう言われるのはボーッと突っ立っているだけに見えるからだろう。

今にはじまったことではない。というか、私はそれで結構いい思いをしてきた人間なのかもしれない。

たとえば教室で私がボーッとしていると「◯◯さんかわいい~」と話すクラスメイトの声が聞こえ、気づかないふりをする。そういうことが多かった。そして"かわいい"私はおそらくそのお陰で失敗しても見逃されることが多かったように思う。

勘違いしないてほしいのは、この場合の"かわいい"は珍獣にたいするそれということだ。

パンダをかわいいという人は多いけれど、それはグリズリーとか北極熊みたいに強くなさそうだからだろう。「あんなふうになりた~い」という人だって、本当に体が白黒になったら嫌だと思う。そういうことだ。

でもまあ言われないよりはましだと思って私はできるだけおとなしくボーッとしていた。中学校でも高校でも。そのかいあってか今でもアホ面でボーッとしているのが得意だ。

という回想を今日のアルバイト中していた。それ以外は「同じ姿勢で立っていると足より肩が痛くなるんだなあ」と考えていた。

そんな働きかたで大丈夫か心配かもしれないが安心してほしい。今日の仕事は美術モデルだったから。ボーッと突っ立っているだけの仕事だ。

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