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全身麻酔して親知らず2本抜いた話

ちょっと痛そうな表現とか出てきます。
苦手な方はアリーヴェ・デルチ!(さよならだ)

あと画像も少ないのでイマジネーションをフル稼働していただくようお願いいたします。


【プロローグ】

右下の奥歯の辺りに違和感を感じた。
気のせいかな、とも思ったが日を追うごとにそれは痛みとなって存在感を出してくるようになった。
口を開け、鏡を見る。歯茎から白い物が飛び出している。

──これは、歯だ。

物心ついた頃には上の親知らず2本は抜いており、下2本は特に目立った動きはなかったので今まで存在を忘れいたのだが、何年も鳴りを潜めていた親知らずが突然自己主張をしてきたのだ。

【ヤブ医者診察編】

そんなわけで、痛いしこれを機に抜いちゃおう!と思いすぐに歯医者へ。特に行きつけの歯医者は無いので、その日診察していて近い所へ飛び込みで行くことに。
麻酔して抜くだけだし、ちょっと我慢すればいいかな。
そんな軽い気持ちで行ったんだけど、まぁこの歯医者が最悪だった。
レントゲンを撮り説明を受ける。
下2本とも横に生えているタイプの親知らずのようだ。

こんな平和な感じではない


若干話は逸れるが、医者は大きく分けて2種類いる。
「これはこういう物で、だからこういう処置をします。そうするとこうなって、こういう結果になります」としっかり説明してくれる医者。
もう1種類は「親知らず横に生えてますね...」とだけ説明するような医者だ。

...で!?!?!?
んなもん分かるわ!と思いつつ「抜いたほうがいいですか?」と会話フォローをすると「そうですね」との返事。
いるんだよな...こっちから聞かないと会話が成立しないタイプの医者が。はぁ。
まあいいや、じゃ抜いちゃってください。とその場で処置してもらうことに。

麻酔して20分ほどペンチよのうな器具でゴリゴリされた後
「器具が舌で押されて上手く入らない。口腔外科を紹介するのでそちらで抜いてください」と言われる。

マジで最悪だった。まるでこちらが舌で器具を押し返して邪魔したから出来ませんでした、みたいな口ぶり。アホかこっちは20分間不動の極みを発動し一切動いてないわ!
おかげさまで口内ズタズタの血まみれで右側の歯全体も(衝撃により)痛くなる始末。
これ以上関わりたくなかったのでさっさと退散。
2年前の話だけど書いてたらまた腹立ってきたな笑
消費者センターやら歯科医師会やらにクレーム入れたほうがよかったのだろうか。

あとから分かったのだが、右下の親知らずは既存の奥歯に向かって横向きに生えているプラス内側へ傾いているようなデススパイラル親知らずだったそうで。
ふつーーーの歯医者なら「わ!これ俺のスキルじゃ無理だわ。口腔外科紹介してやってもらおう」な思考になると思うんだけどさ、そのヤブ医者は「やべーこれ処置始めたはいいけどワイじゃ抜けへんぞ...うーんでも始めちゃったしワンチャンいけるかも!とりあえずぐりぐりしてみるんや...20分やったけどだめや。せや!こいつが舌で器具押してきたテイにしての切り抜けるんや!」こんなこと思いながら俺の口内弄んだんだろうな。

ここまでヤブ歯医者への悪口大会みたいになっちゃってるので、親知らずの経過に話を戻します。


【総合病院診察編】
そんなこんなで紹介状を持って総合病院へ。
レントゲンをまた撮ったのかな?記憶が曖昧だが親知らずはこんな状態。

・右下→ 既存の奥歯に向かって横向きに生えているプラス内側へ傾いている(結構水平に近い)
・左下→ 右下の親知らずは既存の奥歯に向かって横向きに生えている

特に右下がヤバい感じのやつなので、除去する方法は2つ。

①局所麻酔?なんか普通の歯医者でやる麻酔よりも強力なやつ?顔周りに作用するようなやつ。で手術するか方法。

②全身麻酔で手術する方法。

ほぼ即答で②を選んだ。
理由は「全身麻酔をしてみたかったから」これに尽きる!
今まで生きてきて気絶したことも無かったし、何より全身麻酔で手術台に寝て目が覚めたら病室のベットだった、という体験ができるのか!というワクワク感が勝った。

なんやかんやで手術は3ヶ月後に決まり、それまで痛みがあれば痛み止めを飲んで、みたいな感じだったかな?あまりこの辺りは覚えていない。
何度か通院し、全身麻酔の説明を聞いたりした。
全身麻酔のメカニズムって実はよく分からないんだって。
よく分かっていないけど、とりあえず効いてるから使ってるくらいのシロモノらしい。おいおい大丈夫か未知のテクノロジー。ワンチャン死ぬこともあるらしいが、まぁ大丈夫だろう。


【手術編】
手術は2泊3日。前日の夕方に病院入りし、その日は軽い説明を受けて終わる。術後は暇だろうなと思い、買ったきり読んでいなかった村上春樹の「1Q84」文庫版1〜6巻を持参した。

そして当日。
確か手術は15:00からだったと思う。
それまで特にやる事もないのでダラダラして過ごした。
微妙に予定が変わったらしく「14:00からでもいいですか?」とのことだったので「全然大丈夫ですよー」と返事をする。普通に歩けるのだが何故か車椅子に乗せられて手術室へと向かった。

手術の内容はというと、上向きに生えていればペンチのような器具で挟んで引っこ抜けるのだが前述の通り横たわったような状態で生えている為、歯茎を切開し親知らずを露出させ
歯を砕きながら除去していく、というものらしい。それを下2本共に行う。
うーんチカラ技。いいね。あたしそういうの好きよ。

手術室には家から持参するように言われたバスタオルを持ち込んだ。なんだろう。全身麻酔して筋肉が弛緩して失禁したときに拭く為の物なのかな、人前で失禁かぁ(*´д`*)ハァハァなどと思いながら待望(?)の全身麻酔が始まる。

コー...ハー...


よくドラマ等で見かける、口に付ける酸素マスクを付けられ「はーい、では麻酔薬(霧状らしい)を注入していきまーす。ゆーっくり吸って、吐いて、してくださいね。いきますねー」

ゆっくりと霧状の麻酔薬を吸い込む。なんだか味のない甘ったるい匂いの気体のような、変な感覚だ。

「はい吸ってー、吐いてー。吸っ




【術後病室編】
見知らぬ、天井。

(うわ!)
(意識トンダ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!)

これは本当に新感覚だった。
ミスト麻酔を2回吸ったら病室だった。

手術自体は1時間程で終わったとの事。
手術中の酸素供給の為に鼻から酸素のチューブを入れていたせいで、歯ではなく鼻の中が痛いくらいだった。
右の手の甲に点滴を受けながら、あとは安静にして翌日の昼には退院という流れ。
ただひたすら暇な時間との戦いなので、持ってきた小説が大活躍。村上春樹の新作は久々だったが、やはり面白かった。
病室は自分も含めて4人いたが、1人のいびきがスーパーうるさかったくらいで特にトラブルもなく、翌日退院を迎えることとなった。


【退院後地獄編
掛かった費用どれくらいだったかな。手術代や入院費など合わせて9万円くらいだったと思う。加入している生命保険で5万円ほどカバーできたので、まぁ全身麻酔という貴重な経験ができたのは良かった。望んでやるようなものでもないのだけれど。

通常、親知らず抜歯後は顔が腫れるのはデフォルトで、あとは2-3日、長くても痛みや腫れも引いてフィニッシュすることがほとんどらしい。
僕の場合は下2本抜いたので、当然左右両方が腫れ、顔はマジで四角くなった笑

sushi



退院し、近所のスーパーでパックの寿司を買い、ささやかな退院祝いしちゃおうぜウェーイなどと思い寿司をいただきま〜す!したところで...


さてサブタイトルに〝地獄〟の文字があるということは、経過がよろしくなかったということで。

本当に今までの人生おいて一番辛い1ヶ月だった。


「寿司が痛い!!!(寿司が痛い!!!)」

分かりますか?
寿司を食べて歯が痛むこと、ありますか?


痛い。とにかく痛い。
上記したように通常は2-3日、長くても1週間ほどで痛みは緩和されていくはずなのに、何故か術後2日頃からどんどん痛みは強くなっていく一方で。手術というよりはもはや工事のような施術内容なので、やはりその衝撃が他の歯や神経に伝わり、痛みが発生するようなこともあるようなのだ。
物を噛んだ時の痛みだけではなく水も沁みるようになっており、ぬるま湯くらいの温度にしないと飲めない、口に含めない有様。
まぁ術後だしな...と思い1週間は我慢した。
さすがにこれおかしいぞ?と思い病院で診てもらったが、特にこれだ!という異常は見られず。

色々と調べた際に「抜歯した際に出来る穴はゼリー状の血液で覆われるのだが、それがうまく作用せず骨が露出し、そこに物が当たり痛みが発生する」ドライソケットなる症状があることを知る。
でも口内は切開した箇所は糸で縫われているので穴は無し。
その糸に食べカスなどが付着し若干化膿している、みたいなことは言われたがその後も大きな改善はみられなかった。

あとは上の親知らずを抜いた場合、視神経等に影響し痛くなる、なんていう記事も見かけたが今回は下の歯だからなぁ...まぁとにかく原因は分からないまま痛みだけが持続していくこととなる。


【食事編】
この1ヶ月間、何を食べていたかというと

命を繋いでくれて、ありがとう

・ゼリー飲料(飲む)
・おかゆ(飲む)
・肉まん(舌と上顎ですりつぶす)
・蒸しパン(舌と上顎ですりつぶす)

以上!!
これらの食べ物、もう一生分食べた。

あと水、常温でも沁みて飲めないのでポットにお湯を入れて持ち歩き、水とブレンドしぬるま湯にして飲用、歯磨き。当然歯磨きした時の刺激も痛みとなる。


【未来永劫痛みに苛まれるのか編】
術後1週間あたりは何か食べたり飲んだりすると痛い状態だったが、2-3週間あたりになると常時痛い状態に変わっていった。
ロキソニンを毎日2錠飲み痛みを紛らわせながらの生活は神経がすり減っていくのが実感できた。
およそ飲み始めてから1時間ほどで鎮痛効果が現れるが、だいたい効くのは4時間ほど。朝8時頃に飲んで、9時-13時に鎮痛、14時に飲んで、15-19時に鎮痛。当然効いていない時間は我慢するしかない。
本当に意味が分からないのは、それが除去した歯(のあむた場所)だけではなく歯全体の痛みとなって襲ってくることだった。途中眼球の奥にも突き刺すような痛みが発生したこともあった。
術後4週間目、痛み止めとして飲んでいたロキソニンが効かなくなってくる。
それまでは4時間ほどは鎮痛効果があったのだが、この頃になると耐性ができてしまったのか2時間程しか効かなくなっていた。かといって飲みまくるのも危ない気がしたので、4日3錠には増やしたがひたすら痛みに耐えるしかなかった。



【痛みの数値化】
初期虫歯(あれ?ちょっと痛いな)の痛みが100とすると
治療中虫歯(いってぇー歯医者行こう)の痛みが300。
で、今回術後の痛みは波があるが350〜1000くらい。

こう書けば痛みの度合い少しでも伝わるかな?
それが1ヶ月続きました...本当に辛かった。



【健康は素晴らしい】
地獄の1ヶ月が過ぎたあたりで、割とスッ...と痛みは異世界へと帰っていき、また平穏な日々を取り戻すことができた。
水道からの水を直接飲めることも、歯で食べ物を噛むという当たり前に行っていることも、なんて素晴らしいことなのかと痛感した。

極上の味(バフ付き)

痛みがほぼ消えて初めて食べたのはカレーメシ(シーフード味)だった。めちゃくちゃ美味かった。1ヶ月分のバフがかかったカレーメシは細胞に染み渡るような感覚を覚えた。
今食べたらふつーに美味いなー。くらいだったけど笑


そんなわけで「親知らずを2本同時に抜いたら原因不明の痛みに1ヶ月続いたんだが!?」などという安いラノベのタイトルみたいなお話でした。

平和が一番

今まで潜伏していたとはいえ、自分の体の一部である親知らずを躊躇なく殺そうとし、そして殺し(てもらっ)たことで親知らずに呪われたのかなぁ...などと非現実的な理由のほうが納得できそうなできなそうな出来事でした。

じゃあね!🦷


【オチが無いので】
最初に行った歯医者、つぶれろ!

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