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虐待されていた私が年老いた毒親と縁を切って思うこと

「なんであなたに筋を通さなきゃいけないの?」

これは、つい先日、70近い母親に言われた言葉です。

「確かに虐待はしたけれど、愛情もかけたのに!」
「昔のことをずっと引きずってるなんておかしい」
「あなたも人の親ならもっとおおらかになりなさい」

そんな言葉が後に続きました。

老後の面倒をみて欲しいという話だったのですが、それなら虐待について筋を通して欲しいと思うのは、そんなに悪いことでしょうか。

私は、親と縁を切ることを選びました。

たったそれだけのことで?と思うかもしれません。ですが、私は殴る蹴るなどの暴行とひどい暴言を浴びせられて育ちました。それを踏まえてもこれを「それだけ」と思うかどうかは、人それぞれだと思います。ですが私にはそれを容認することはできませんでした。

さて、前置きが長くなりました。

何が言いたいかというと、シニア世代は体罰が「虐待」であるという罪の意識が薄いのではないか、ということです。

虐待の相談件数は、年々右肩上がりに上昇しています。どの程度増えているのかというと、児童虐待防止法施行前の平成11年度に比べ、平成26年度は7.6倍です。

【出典】厚生労働省「 児童虐待相談の対応件数及び虐待による死亡事例件数の推移」より

グラフを見ると、相談件数に応じて検挙数も伸びていますが、死亡児童数は横ばいであることがわかります。

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【出典】厚生労働省「 児童虐待相談の対応件数及び虐待による死亡事例件数の推移」および警察庁「令和元年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況」を参考に筆者作成

このため、死亡するような深刻な虐待は、今も昔も同じように表面化していると考えることができます。ですが、相談件数と検挙数の増加については、今までは水面下でおこなわれていた虐待が、表面化してきているだけと言えるのではないでしょうか。

なぜなら、私への虐待は、他の大人たちの目に触れたとしても「躾が厳しいだけ」とスルーされていたからです。

いま「毒親」という言葉が流行っています。「毒親」とは、子どもを支配したり傷つけたりする毒のような親のことです。特徴としては、過干渉や虐待などで子どもを管理する傾向が強い点が挙げられます。

私の親も間違いなくこの毒親でしょう。でもきっと、自分が毒親だという認識はありません。むしろ、ひどいとなじられるのは私の方です。

ですが、それこそが毒親の特徴なのです。

■あなたも毒親になっていませんか?

日本の特にシニア世代には、親を愛せない子どもは人でなしで、毒親でも大切にするのが当たり前という考えがあるように感じます。逆に親を愛したくても愛せない子どもの苦悩は、なかなか理解されません。

良く聞く「あなたが心配だから」「あなたのためだから」という言葉も、子どもからすれば毒のような言葉です。

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このため、子どもに「自分はできない子どもだ」という意識を植え付けたり、大人になってからも就職や結婚に口を出し、子どもを思い通りにコントロールしようとしたりする親も、毒親と呼ばれます。

「あなたのために人生を犠牲にしたのに」や「あなたさえいれば何もいらない」という言葉も、子どもにとっては呪いになる場合があります。

親子関係にはほどよい距離感が必要です。その距離を見誤ると誰でも毒親になってしまう可能性があります。

■毒親でも子どもと和解する道はある

では、一度毒親になってしまったら、子どもからは嫌がられるだけで、どうしようもないのでしょうか。

結論から言うと、取り返しがつかないということはありません。子どもに決定的に見限られない限り、やり直すチャンスはいくらでもあります。

自分が支配的な親である可能性に気付き、子どもに嫌われていると感じたら、まずは自分が毒親であると認めるところから始めましょう。

そして、子どもへ心からの謝罪をしましょう。「子どもへ謝罪なんてプライドが許さない」というなら、あなたは間違いなく毒親ですので、もう一度自分を見つめ直すことをおすすめします。

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どの親も子どもに「悪いことをしたら謝りましょう」と教えます。それは、親自身にも当てはまるのです。

心から謝罪ができないのなら、いつ子どもに見捨てられても文句は言えないと思ってください。そもそも毒親は、子どもに大きな傷を負わせているのです。

本当に悪いと思っているのなら、心から謝罪するくらい自然にできるはずですよ。

■子を持つ親になって思うこと

ところで、私も子を持つ親です。

子どもができたら親の気持ちがわかる、という人もいますが、私は全く理解できないままです。どうして我が子を殴れるのでしょうか。「産まなきゃよかった」なんて言葉を平然と言えるのでしょうか。

そして、言うことを聞かない子やうまくできない子は、虐待されても仕方ないのでしょうか。それは本当に躾として必要でしょうか。

子どもを育てていて思うのですが、子どもはまるで天使のようです。親の失敗も、やさしく笑って許してくれる心の広さがあります。

だからこそ、そのやさしさに甘えてはいけないのです。天使のような子どもに誠実に向き合うには、親も間違えたら謝罪することが必要だと思います。

老後をトラブルなく孫に囲まれて幸せに暮らしたいなら、これを機会に毒親を卒業してみるのはいかがですか?

心から謝罪すれば、子どもはきっと許してくれますよ。

参考文献:
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000108127_1.pdf
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000098.000025872.html
https://www.savechildren.or.jp/jpnem/jpn/pdf/php_report201802.pdf
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2017/documents/0189_06.pdf
https://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/hikou_gyakutai_sakusyu/R1.pdf


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