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他に優先すべき世代があった?!コロナワクチン接種後の高齢者にお願いしたいこと

コロナワクチンの大規模接種が始まりました。
高齢者と基礎疾患のある人だけでなく、64歳以下の人々への接種もとうとう始まりました。

そもそもなぜ、高齢者が優先的にワクチンを接種できたのでしょう。誰も異論がなかったことをあえて考えてみると、隠れた弱者があぶり出されてきました。

先にワクチンを接種できた高齢者は、「早く接種できてよかったね」で終わらせるのではなく、ワクチンが優先されなかった世代に、思いをはせてみてください。

健康な高齢者には、お願いしたいことがあるのです。
それは、若者への支援です。

■コロナワクチン接種、優先順位の基準について

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誰もが知っていると思いますが、ワクチン接種の優先順位は以下の通りです。(参考文献:「新型コロナワクチンQ&A」厚生労働省)

・1位:医療従事者など
・2位:65歳以上の高齢者
・3位:基礎疾患を有する者、高齢者施設などの従事者

医療従事者は治す側の人たちなので、1位であるのは当然かと思います。
なので、2位以降について考えてみました。

・全ての人命は平等だから。

多くの国にとって、全ての人命は平等かと思います。となると、平等な命は、なるべく多く救うことが正義と考えられるでしょう。高齢者が優先されるのは、重症化しやすい・死亡しやすい確率が高いからです。

高齢者を優先するのは、死亡者数と重症化した患者数の最小化が目的です。
ここで注目したいのは「重症化」という言葉です。これは「身体上の重症化」を指しているでしょう。つまり、心の問題は取り上げられていない、ということです。

・身体医学と精神医学

多くの人は体調を崩すと、内科や整形外科などのうち、いずれかの病院に行くかと思います。すると、医師は患者の身体面の不健康や異常に対し、治療を行います。

しかし本当は、患者は身体面だけでなく、心理面、社会面で支障をきたしている場合もあります。でも多くの場合、身体面の症状に対して治療されるでしょう。それは、医師が身体面を重視する身体医学に基づいた臨床をされるからです。

一方、精神医学は、身体面・心理面・社会面、全ての面を考慮する医学であります。(参考文献:「精神医学とは」中外医学)

精神医学は症状が身体面だけではないので、第三者から見ると、症状が理解しにくく難しい分野です。心理面、社会面の障害については、時間をかけたヒアリングが必要になります。患者さんの症状が今だけのものか、それとも長く続いているのか、経過観察をします。判断の対象が心理面や社会面など抽象的なものなので、診断は医師の主観に基づくものになります。

なので、多くの人の理解を得られるかというと、そうは言えませんし、時間もかかります。そこが、精神医学の難しいところでしょう。

結果的に、臨床医学は身体医学が主流となり、今回のワクチン優先順位の基準もまた、身体医学が基準になったのかと思います。

■若者の2割が、要治療のうつ状態

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先日、若者の2割が要治療のうつ状態という衝撃的なニュースがありました。(参考文献:「若い世代2割以上「治療が必要な抑うつ状態」コロナ感染拡大で」2021.6.2 NHKニュース)

精神医学の観点から考えれば、2割の若者が健康を害していると言えます。ここに、隠れた弱者が存在していると考えます。

・若者の環境は孤独になりやすい

コロナによって引き起こされた孤独に、多くの若者はさらされています。若者に限らず、全ての世代がそうですが、若者を取りまく環境は他の世代よりさらに孤独かもしれません。未就労の若者も多いでしょうし、仕事のような強制的なつながりをまだ持っていない可能性があります。

また「使いこなせるから」とオンラインやネットを主なつながる手段にしてしまい(国も推奨していましたが)、言葉に出せない感情や雰囲気をお互いくむような機会を失っている可能性もあります。

オンラインでは相手の空気感まで、伝わりづらい側面があります。しかし、こういった非言語的コミュニケーションは、かなり人間的な部分であり、無意識に人の心を支えていると言えます。

・若者は問題解決能力がまだ低い。

高齢者が同じように孤独だとしても、若者ほどフラストレーションがたまらない可能性があります。もちろん個人差もあると思いますが、若い人たちより体感時間が短いのでじっと待つことが若者より難しくないかもしれません。

さらに、人生経験が長い分、自分自身のことを知っています。自分を知っていると、自分に特化した休息や対処法を見つけやすい可能性があります。

一方、若者は人生経験が少ないので、そのあたりは高齢者より下手かもしれません。仮に「コロナが落ち着くまで、自分時間を自己投資に使おう」と前向きに捉えられたとしても、自身をまだ知らないと、何が自分にとって合うことなのかを見つけるにも時間がかかります。

淡々とやれる人ならよいですが、多くの場合、誰かに励まされながら、助言をもらいながら続けたり挑戦したりするのではないでしょうか。そのコミュニケーションがないと、「やっぱり無理かなあ」とコロナが醸し出す閉塞感に感情が引きずられ、本人は力を失っていくかもしれません。体感時間も高齢者より長いため、なおさら無力さを感じることでしょう。

■高齢者は、若者の支援を始めよう。

これからは、子どもたちのメンタル問題も噴出してくるかと思います。今は元気でも、子どもは心の問題を発現させるまでに時間がかかると言われています。

メンタル疾患も他の病気と同じように、個人にも国にも良いことはありません。ですが、みんなで改善や予防ができる病気でもあります。

ワクチンを接種した高齢者は、若者への支援を始めてみるのはいかがでしょうか。

・できることから始めてみよう

ボランティアが良いかと思います。子どもが好きなら、子どもの送迎ボランティアに応募するのも良いでしょう。家事が得意なら、家事スタッフとして就職し、若者たちの生活を手助けする方法も良いかと思います。そうしながら、若者へ語りかけ「コロナは本当に大変だったね」と共感しあうところから始めてみるのはどうでしょうか。

若い世代から吸収できることも多いと思います。人の悩みはいつの時代も大体同じです。かつて高齢者も抱えた同じ種類の悩みを、若者はどう感じたり解決したりするのか、聞いてみるのも面白いと思います。そして「自分のときはこうしたよ」と話してあげたり、一緒に考えたりできれば、彼らの孤独は和らぎます。

それは立派な若者の支援となります。

・国に働きかける政治運動も良い

特に働きたくないし、人の役にも立ちたくない。そういった高齢者には、政治運動も良いかと思います。

ニュージーランドでは、精神疾患・子どもの貧困・DVの3つの問題に多額の予算をかける「幸福予算」を作る施策が始まっています(参考文献:「世界初・ニュージーランドが始めた幸福予算」2019.11.1 オリックス)。個人の幸福を国が支援をする動きが、ニュージーランドでは始まっているのです。

「日本もそのようにすべきではないか?!」という運動をするのも、これからを生きる若者への間接的な支援に繋がるかと思います。

■アフターコロナでは、新たな人生を。

高齢者より下の世代には、これから何十年という人生が待っています。彼らが生きる世界は、コロナ変異株と急激に進んだオンライ化がもたらす「不安と孤独な世界」なのです。今回のコロナがきっかけで精神疾患を患い、長期間その病気に苦しむ人もいるでしょう。

コロナによって作られたディスタンスを高齢者の方々の足で縮め、若い世代と共に生きていくのはいかがでしょうか。

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