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暑さに鈍感なお年寄りたち

年々暑さが増していると感じるここ最近。

都内で気温30℃を超えた先日。電車で、首に冷却剤を巻く高齢者を見かけました。熱中症対策のようです。一方、向かい側には、30℃を超えているのに長袖で厚着している方も。奇しくも、同年代くらいの方でした。

「あれ、同じ電車内だよね?この差は一体……?」「熱中症で倒れるのでは……?」とつい心配になってしまいました。見た目にも暑さを感じるので、「人は人」だと思いつつも、なんだか気になってしまったのです。
気になって調べてみると、人は年齢を重ねるごとに気温の変化に鈍感になるそう。

思い出してみると、高齢者と過ごすとき、冷房がすごく効いてる部屋なのに「暑い暑い」と言われたことがあります。高齢者自身が暑くないと思っていても、もし気温が高い日だったら、気づかないうちに事故のリスクが上がっているかも………!?

今回は、そんな話をしたいと思います。

■なんで気温の変化に鈍感になるの?

高齢者が、暑さや寒さに鈍感になるのは、「体温を調節する機能が低下する」ことが原因だそうです。汗をかきにくくなり、同時に汗の量も少なくなります。

・暑いとき

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血圧を下げ、皮膚の血流を増やして体内の熱を逃がそうとします。高齢者の場合、暑くても皮膚の血流量が増えにくくなります。

・寒いとき

血圧を上げて、皮膚の血流を減らし体内の熱を保とうとします。高齢者の場合、この機能が十分に働かず、体内の熱を逃がしてしまいます。そのため体を冷やしやすくなります。

暑さや寒さに弱いというよりは、温度センサーの感度が鈍くなり、暑さや寒さを感知しにくくなる、といった方が的確かもしれません。

暑さを感知できないと、皮膚の血流量は増えず、身体に熱がこもりやすくなります。結果、高齢者自身は暑さをそこまで感じていないのに、熱中症になってしまうんです。暑さを感じていないから、若者と比較すると熱中症対策も遅れがちです。

参考:体温調節機能が低下してくる|高齢者の体温(テルモ体温研究所HPより)

■急激な温度変化で気をつけたい事故

体温調節機能が低下してくると、急激な温度変化での事故が増えるんです。急激な温度変化で気をつけてほしい事故はいくつかありますが、「ヒートショック」や「熱中症」は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

・ヒートショックとは?

急激な温度変化が起きると、身体は血圧を上げ下げして温度変化に対応しようとします。高血圧や糖尿病、脂質異常症などによって動脈硬化が進行している高齢者は、この変化に注意する必要があります。

急な血圧の上昇による心筋梗塞、致命的な不整脈、脳梗塞や脳出血が起きることがあるんです。

反対に、急に血圧が低下すると、めまいやふらつきが起きやすくなります。最悪の場合、意識を失って、転倒や溺死につながることも。

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こういった事故をまとめて「ヒートショック」と呼びます。

ヒートショックが起きやすいのが、冬場のトイレ、洗面所、お風呂など急激な温度変化のある場所なんです。毎年、ヒートショックが原因で亡くなる方も増えています。

参考:【未然に防げる】ヒートショックのしくみと予防法まとめ(LIFULL介護)

・熱中症にも注意!

「熱中症って少しのお出かけじゃならないんでしょ?」と思っている人ほど、注意してほしいところです。熱中症は時間の長さや場所を問わず起こります。散歩や買い物など短時間のお出かけ、室内でも起こることがあるんです。

真夏の暑い日は高齢者に限らず気をつけたいところですが、特に体温調節機能が弱まっていると起こりやすくなります。自分が暑いと思っていなくても、意外に気温が高くて熱中症に……なんてことも。

初夏は肌寒い日と暖かい日があり温度変化が激しいですし、夏は建物と外との温度変化がありますので、夏を通して対策をとっていく必要があります。

■温度変化で体調を崩さないために

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お風呂やトイレ、近所への外出……日常の中で意外と多い温度変化。小さな体調の変化が大きな病気につながることもあります。

できることなら体調を崩さず元気に過ごしたいですよね。温度変化で体調を崩さないためにできることはなんでしょうか?

・こまめな水分補給をしよう

水分補給は、暑い時期・寒い時期問わず効果的なんです。

水分が少ないと、体内の血液濃度は濃くなってドロドロに。そこに汗をかくと、どんどん血液中の水分は失われていきます。なので、こまめに水分補給をすることが大事です!

まずは、起床時や入浴前、コップいっぱいの水を飲むのを習慣にしてみましょう。

・客観的な指標を持とう

自分の「寒い」「暑い」という感覚だけに頼らず、客観的な指標を持つことも大事です。

例えば、天気予報のチェックや温度計の設置。客観的な指標があると「今日は暑いから薄着にしよう」「寒くなりそうだから部屋の温度を調節しておこう」と対策が取れますよね。

客観的な指標がないと自分の感覚だけで判断して、暑い日に適切な対応が取れず、熱中症につながってしまうかもしれません。

・室温にも気をつけよう

エアコンが苦手な方、そもそも自宅に設置していない方もいらっしゃるかもしれませんが、室内でも熱中症の恐れがあります。室温が28℃以下になるようにしておきましょう。

また、部屋間で温度変化が大きい場合、ヒートショックを引き起こす原因にもなります。小型ストーブやサーキュレーターなどを使って部屋間での温度変化を小さくするのも重要です。

・周囲の人にも様子を見てもらおう

いくら気をつけていても、熱中症やヒートショックといった事故は起こる可能性はあります。周囲の家族や友人などに気をつけてもらうのも良いかもしれません。水分補給や服装など、気をつけて声をかけてもらいましょう。

■暑さや寒さ対策をして健康に過ごそう

体温調節の機能が低下してくる高齢者の方々。気温変化に合った対策を取っていくことで、事故のリスクを下げることができます。

50歳以上限定のシニアコミュニティアプリのおしるこアプリを使って「今日は暑いね」なんて声をかけあっていくのも良いですね。

日常生活でできることばかりなので、これからの暑い季節、気をつけていきましょう!

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