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ガルシアへの手紙

今回は本の紹介をしてみたい。

「ガルシアへの手紙」
エルバード・ハバード/アンドリュー・S・ローワン
訳・解説 三浦 広

暇潰しに短時間で読める本がないか、と近くの雑貨屋で見つけた本。世界的ベストセラーなんだそうな。なので、ご存知の読者も多いかもしれない。
内容はいたって簡潔だ。ネタバレにもならないので書いてみます。

どの部類かというと、啓発書だと思う。が、一部 短編ドキュメンタリーとして楽しめる頁もある。
まあ、人間力を養える内容だ。それも、単純な根本的なことについてしか述べていないので、余計に説得力はある。

衣食住の営みに欠かせないすべてに当てはめることもできる。本書では仕事に取り組むにあたって、が大きく訴えられてるが、自分はもっと広く当てはめられるとおもう。また、面白いのが自分の個人的思考なのだが、日本的なのだ。

背景は「アメリカ-スペイン戦争」が起きた1898年頃。
当時スペイン領だったキューバの反政府軍・独立運動のリーダー ガルシア将軍へ、当時のアメリカ大統領マッキンレーが秘密書簡を渡すことをローワンに託すことに始まる。

この命懸けの任務をローワンは引き受け全うするわけだが、この本が伝えてたいのは その粗筋や物語ではない。
任務を引き受ける時のローワンの立ち居振舞いや任務遂行時から完了までの困難をローワンが口にしなかった、という人間性についてなのだ。

我国の武士道じゃん!と 一蹴してもらっても構わない。自分も心の片隅でそう思いながら読んだ。

この ローワンの身におこった話を、ハバードが啓発書みたいにして出版したものなのである。で、三浦 広が訳と解説を入れたのが本書だ。
いい本だ。
100年前も今も人間の性質は変わっていない。
本書でもすぐに述べられるが、仕事を例にとってみよう。

あなたが部下に○○についてやってくれないか、と言う。
すると 大抵の言われた部下は
「どうやってやればいいですか?」
と聞き返してくる。
もし、聞き返された質問に答えたとしよう。すると
「そのやり方をするには何が必要ですか?」
「その必要なものはどこで手に入りますか?」
「いつまでにやればいいですか?」
「間に合わなかったらどうしますか?」
と続く。

うん。わかる、わかる、非常に良くわかる。
自分も仕事に有能とは思わないが、お前ら少しは恥ずかしいと思わないのか?
少しは己で考えて己の力でやり遂げて、達成感を味わいたいとは思わないのか。

自分が常日頃感じているのは、上のような部下(または同僚)は、何かあった時に責任をとらされはしないだろうか、ということだけ考えてる蚤の心臓君なのだ。

責任とらされるってほどの内容でもないことにビクビクしてるのだ。よって、会議でも発言もしない。まあ、バックボーンにもよるが、だいたいの一般人はそれか、それに近い性質を持っているのだろう。だから、ハバードは100年前にこの本を出版して、社会を良くしたかったのだろう。いや、社会でなく人々にこの本を読んでもらうことで有意義で幸せな生活を送って欲しかったのだろう。

ローワンは日本で言うところの侍魂の持ち主だ。
日本はハバードが本書を出版する前からこの精神を教育していた。平民とて武士道はなくても和の精神は縄文時代から継がれ持っているものだ。今の我々も。

「ガルシアへの手紙」を読んで
「うちの国は昔からその精神を持つように教えられてました。アメリカも我国と同じ精神を教えていたんですね。共に人間が真の幸せを築けるように勉強していきましょう。」
と思える人が多ければ幸いである。

日々の仕事、いつもあいつだけ難儀してる、いつもここは散らかってて誰も片付けない、いつも私だけ難儀してる、いつも。。。
そういつも思うならローワンに笑われないように自分から行動しよう。
もっともローワンはそのようなことで人を笑ったりはしないだろう。

ちょっと違うが

損のできる人間になってみよう!

夕焼け

いつもの事
電車は満員
そしていつもの事
若者が座り年寄りが立っていた。
うつむいていた娘
年寄りに席をゆずる
礼も言わず年寄りは次の駅でおりた
娘は座ったが
また別の年寄りが
娘の前に 娘の前に
娘はうつむいたが
また年寄りに席をゆずる
礼を言って年寄りは次の駅でおりた
娘は座ったが
二度あることは三度と言うとおり
別の年寄りが
娘の前に
かわいそうに娘
うつむいて
うつむいたまま
席をゆずらず
次の駅も次の駅も
唇を噛みしめ
辛い気持ちで
娘はどこまで
行くのだろう
唇を噛みしめ
辛い気持ちで
やさしい心に
責められながら
美しい夕焼けも見ないで
唇を噛みしめ
辛い気持ちで
美しい夕焼けも見ないで

吉野弘の夕焼けという詩

ローワンに笑われないように行動しよう。もっともローワンはそんなことで人を笑わないが。


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