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そのさよなら、代行します。#テレ東ドラマシナリオ案

【あらすじ】
人がさよならする意味ってなんだろう。
そんな悩みを抱えて働く鈴木ゆうた。
彼は人のさよならを代わりに伝える「さよなら代行」をしている。

「りささん、またさよなら代行の依頼ですか・・・」
そんなゆうたのもとへ、いつもさよならを依頼してくる佐藤りさ。
彼女は「さよなら」が言えないという。
なぜりさはさよならが言えないのか。
そもそもこの仕事ってなんなんだろう。
「さよなら」を伝える意味がわからなくなっていた。

そんな時、ゆうたのもとにさよならの依頼がくる。
なんと、さよならを伝える相手は「佐藤りさ」
果たして、その依頼主とは?
りさがさよなら言えない理由は?
そして、人がさよならをする意味とは?
これは1人のさよなら代行が、さよならの意味を知る物語。

【登場人物】
鈴木ゆうた(26歳)…さよなら代行
佐藤りさ(27歳)…さよならが言えない女性
伊藤まこと(35歳)…ゆうたの先輩、ベテランさよなら代行
りさの母…回想のみ登場

【シナリオ】
さよなら代行の事務所、電話が鳴る
ゆうた「はい、こちらさよなら代行です!」
りさ「もしもし、りさです。」
ゆうた「ああ、りささんですか。またさよならの代行の依頼ですか?」
りさ「はい…。」
ゆうた「もーいい加減自分でさよなら言えるようになってくださいよー!」
りさ「すいません。」
ゆうた「打ち合わせはいつもの喫茶店でいいですか?」
りさ「お願いします。」

ゆうたNA:俺は鈴木ゆうた。さよならを言えない人の代わりにさよならを代行する仕事をしている。最近は「なんでこんな仕事してるんだろう。」と思うこともある。
さっき電話が来たのは依頼人は、佐藤りささん。さよならが言えず、よく代行をお願いしてくるのだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー喫茶店、いつもの席で座って待つりさ。そこにあきれ気味のゆうたが来る。
ゆうた「お待たせしました、それで?今日はどういった依頼ですか?」
りさ「今付き合ってる人に、さよならを言ってほしくて」

ゆうたNA:りささんは美人である。ただ、グイグイこられると断れないらしいのだ。

ゆうた「自分で言わないと彼氏さんかわいそうですよ?恋のさよなら代行って結構揉めるんですからね!」
りさ「お願いします!ゆうたさんにしか頼めないんです!」
ゆうたNA:男は美人のお願いに弱い。
ゆうた「毎回お相手に怒られるのは僕なんですからね!」

ゆうた、誓約書を出す。
ゆうた「ではいつも通り記入をお願いします。」
りさ「ありがとうございます。そろそろ定額プランとかできませんかね?」
ゆうた「できません!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー場面が事務所に変わる
ぐったりしているゆうた、上司のまことが声をかける。

まこと「おーおー、ぐったりしちゃって。どうした?」
ゆうた「またりささん関係です。」
まこと「あー、だいこんさん?」
ゆうた「だいこんさん?」
まこと「代行依存、略してだいこん。」
ゆうた「あー。とりあえず、そのだいこんさんの彼氏にさよなら代行に行ったら、どういうことだ!なんでりさが自分で来ない!お前は浮気相手か!って言い寄られて」
まこと「おーおー、大変だなぁ。よし、飲みに行くか。」
ゆうた「えー、飲みたいだけでしょ。それにそんな気分では」

会話の途中で画面チェンジ
場面は居酒屋、少し酔ってるゆうた

ゆうた「やってられないっすよ!」
まこと「おーおー、言うねぇ。この仕事嫌いか?」
ゆうた「そりゃ他の仕事と比べて楽だとは思いますよ?定時で上がれますし。でも最近思うんです、この仕事、つまりさよならを言う意味ってなんだろうって」
まこと「ほー。」
ゆうた「先輩はどう思ってるんですか?この仕事」
まこと「俺はいい仕事だと思うぞー、さよならは人に必要なことだからな。」
ゆうた「さよならは人に必要?どういう事ですか?」
まこと「それは自分で探さないと。わかったらお前も一人前だな。」
ゆうた「けちな先輩だな。」
まこと「おい、聞こえてるぞ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー次の日、事務所でゆうたに電話がかかってくる。


ゆうた「はい、こちらさよなら代行です!初めての方でも大丈夫ですよ!はい!さよならを言うお相手のお名前を伺ってもいいですか?・・・え?佐藤りさ?」

りさに電話をするゆうた。
りさ「もしもし?」
ゆうた「りささん、今からいつもの喫茶店に来ていただけますか?」
りさ「あれ?私また代行お願いしてましたっけ?」
ゆうた「いえ、今日はりささんにさよならが来ています。」
りさ「私に?」

いつもの喫茶店、ゆうたが待っているところに到着したりさ

ゆうた「いきなり呼び出してすいません。」
りさ「いえ。私にさよならを言いたい人がいるってことですか?」
ゆうた「そうです。」
りさ「心当たりないけどな…。」
ゆうた「3年前に亡くなったお母さんからです。」
りさ「え…?」
ゆうた「正確には、お母さんのお姉さんが代理できました。お母さんのさよならを伝えてほしいと」
りさ「おばさんが?」
ゆうた「はい、おばさんからお母さんのことをうかがいました。本当は、あまり干渉していけないんですが、りささんから聞かせてくれませんか。」

少し躊躇しつつも、話始めるりさ。話にあわせて回想シーン。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーりさの回想

私のお母さんは癌でした。発見された時にはもう色んなところに転移していて、余命も半年。家でみんな囲まれて最後を迎えたい、というお母さんの要望で、家で療養していました。

もともと明るいお母さんで「半年好きなことだけするぞー!」と振舞ってた。
でも私、知ってたんです、夜1人で母さんが泣いていたことを。

1ヶ月、2ヶ月と日が経つにつれて、お母さんは弱っていきました。ほぼ寝たきりの状態のお母さんを見てるのは正直、怖かった。段々別れが近づいてる気がして。

ある日、弱っていくお母さんを見るのがつらくなって、おばさんにお願いして友達と出かけたんです。おばさんも「毎日大変だろうから。」と引き受けてくれた。
そしたらその日にお母さんの容体が急変して、そのまま…。

回想終わる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゆうた「そうだったんですか…。」
りさ「それから、別れが怖くなってしまって、さよならが言えなくなってしまったんです。」
ゆうた「・・・」
りさ「さよならが怖いんです。」

ゆうたから手紙を差し出される。
りさ「これは?」
ゆうた「お母さんの部屋から見つかったものみたいです。お母さんからのさよなら代行のメッセージです。」

手紙を読み始めるりさ。お母さんのNAで手紙が読まれる。

お母さん「りさへ。優しくて逃げ癖があるりさだから、おそらくお母さんの最後を見れないと思うので、手紙を書きます。実はお母さんもさよならが苦手です。だからこうして手紙に書いています。何より別れはつらいし、悲しい。でも、人はさよならをしないと前に進めない。楽しかったことや嬉しかったことを、素敵な想い出にするためにさよならをする必要があるんだとお母さんは思うの。そうしないと、せっかくの想い出が足かせになっちゃうしね。だから、お母さんはちゃんといいます。りさ、さよなら。これからは、空の上からずっとずっと見てるから。りさがいい旦那さんを見つけて、いい家庭を築いて、楽しい人生を送ってくれるといいな。たまにはお母さんのところに報告に来てね。」

泣いているりさ。
りさ「お母さ~ん。」

泣いているりさでフェードアウト
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
場面は事務所になる。ゆうたと上司のまことが話している。

まこと「そういえば、最近だいこんさんから連絡ないね」
ゆうた「だいこんさんは自分でさよならが言えるようになって出荷されましたよ。」
まこと「おーそれはなにより。」
ゆうた「先輩、俺わかりました。さよならは、別れでもあり始まりの言葉でもあるんですね。だから俺たちは前を向いてもらうために、さよならを伝えてるんです。」
まこと「ほー、なるほど。」
ゆうた「そして、さよならって言われる方はつらいとばかり思ってました。でも。言われないと相手も悲しんでしまう。実は言われない方が悲しんだなって。」
まこと「おー、一人前になったじゃないか。」
ゆうた「これからは胸を張って、さよなら代行を名乗ります。」
まこと「よし、じゃ今日はお祝い飲みでもいくか!」
ゆうた「ただ飲みたいだけでしょ。まあ、行きますけど」
まこと「よしいくぞー!」

●エンディング●

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