雑記 (2020年4月)

大学院進学のために引越し等でバタついていましたが、ひと段落&大学休業により時間が出来たため、ぼんやりと思ったことを記します。


ミルクボーイの変化

ミルクボーイが学生M-1の頃からフォーマットを変えていないことは有名ですが、如何せん参考映像がありませんでした。

しかし、テレビ露出の増加に伴って昔のネタ映像も放映されたのは嬉しいことです。


昔のネタを見て思ったこと

あれ、今と同じくらい面白くね?


ミルクボーイの過去と現在を比較することで、ウケるネタについて考えさせられました。


ミルクボーイの現在のネタと言えば、「コーンフレーク」や「最中」等、タイトルから既に分かりやすいです。

それに対して過去のネタは、現在のネタの発展形といった印象を受けました。
(その女持ち帰れる・持ち帰れないみたいな感じだった気が……)


過去のネタももちろん面白いんですが、現在のネタの方が明らかに分かりやすいです。

ただネタを分かりやすくする(ネタの次元を下げる)ってのは難しくて、その分ひとつひとつのワードチョイスや大喜利強度が求められます。

何か数学でも『多次元だと使える道具が多いが、3〜4次元になると道具も少なく証明が困難』みたいなこと聞きますよね。
(昨日ABC予想が証明されたって記事で読みました。タイムリー!)


・広くウケるネタはとにかく"分かりやすい"
→ キーワードを設ける / タイトルが簡潔
・ネタの次元を下げる
→ ワードセンスや大喜利強度が求められる


Next 偏見の料理人達

偏見は笑いにおける重要な要素です。
爆発的な笑いも生まれますが、時にはダダ滑りします。
博打です。


ミルクボーイなんかはあるあると偏見の漫才ですが、偏見の度合いが絶妙です。

予選からずっと1位のミルクボーイですが、インタビューでは「決勝はダダ滑りする可能性もある」との旨の発言をしてました。

これは冗談や謙遜ではなく、偏見を扱うことの危険性を充分理解しているから出た言葉だと思います。


M-1ファイナリストで言うと、ニューヨークも普段は偏見が多く散りばめられたネタをやってますよね。


そんな偏見を扱う漫才をするニューカマーがアツいです。

① 赤もみじ
僕の記事でも以前紹介したコンビ。
マジでいつ売れてもおかしくない。
ann0もかなり面白かった。
結構ラジオ聞く方だけど、その中でもかなり上位に食い込む回だった。

赤もみじは、阪田さんの発言に対して村田さんがものスゴい熱量で突っ掛かるフォーマットです。

その突っ掛かるってのも、何故か共感してしまうような偏見で構成されており、見た目とは裏腹に非常に巧みなネタをやっています。

マセキからライブの動画が定期的に上げられますが、ここ1年はマジで毎回代表作レベルのネタで、仕上がりがエグいです。

逆に今売れないともう無理なんじゃないかってレベルの完成度。売れてくれ〜


② 銀兵衛
こちらもマセキ。
2人とも僕と同い年で、しかも元々は今僕が住んでいる仙台で活動していたはず。
ティーライズってのがありまして……

赤もみじが「共感してしまう偏見」を扱うのに対し、銀兵衛は「意味不明な偏見」を扱います。

笑いは共感によって生まれますが、銀兵衛の偏見は意味不明、なのに面白い!

ボケの小松がひたすら意味不明な偏見を熱弁し、聞き手のあゆむがツッコみもせずただただずっと聞くってフォーマットです。

小松の熱弁もそうですが、あゆむの聞く姿勢もまた絶妙なんですよね〜。

2月のマセキライブで掛けた「Gカップ初詣」は、そんな銀兵衛のフォーマットにテコ入れをした新しい形になっています。

銀兵衛も見つかったらいつ売れてもおかしくない!がんばれ〜!


変なおじさん

志村けんさんに対する評価としてよく挙がるのが《老若男女に愛される》という点です。

テレビやインタビューでは当然のように言われますが、これって言葉以上に難しいことなんですよね。

しかし、それを理解している人があまりいないなと感じたため、それについてを。


『紳竜の研究』で島田紳助さんは自身のコンビ 紳竜についてこう語っています。


俺らはネタを作るにあたってターゲットを同年代(20〜30代)の男性に絞った。[要約]


『紳竜の研究』はマーケティング的発想が随所に散りばめられており、このターゲットを絞るというのもマーケティング的発想です。


今活躍している多くの芸人さんは、ターゲットを絞ったネタで上がってきた方々です。

そのターゲットは

年齢別 
・チビッコ
・中高生
・10〜20代女性
・20〜30代男性
・40代以上
趣向別
・シュール
・サブカル
・毒舌
場所別
・Twitter
・YouTube
・TikTok

と、他にも様々です。

ターゲットを明確にすることで、立てるべき戦略の道筋が浮き上がってきます。


《老若男女》をターゲットにするってのは、正直雲を掴むような話で、戦略の立てようがありません。

しかし、志村けんさんはそれをSNSも動画サイトも何もない、テレビしかない時代やってのけています。

しかも、インタビューを拝見したところ意図的にです。


《老若男女に愛される》って、俳優やミュージシャンならまだしも、芸人で成し遂げるってのは偉業も偉業です。

感性ってのは年齢・性別で変わりますが、
お笑いの感性に関しては年齢で非常に違いが出てきます。


志村けんさんはスゴいおじさんです。


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