🦙アイドル可愛いって言うの嫌🦙

一年前くらいのこと。

彼が、「俺newjeansが好きなんだよね」と言った。知っている方も多いと思うが、今やKPOP界を牽引する大人気アイドルグループだ。

5年前ぐらいに付き合ってた元彼が、乃木坂の西野七瀬ちゃんが好きだった。その時、うっすら嫌だなと思ってたことを思い出した。

付き合ってる時からあまり関わりが深い恋人ではなかったから(恋人とは？という話にもなってくるけれど)、
私がわざわざ「嫌だ」と伝えることはなかったし、なんなら彼から好きだと公言されたこともなかった。彼のストーリーに京セラドームが写っていたとき、京セラで今日何が行われるのかいち早く調べ、それが乃木坂のコンサートだと知り、今でも「京セラ」という言葉を聞くたびにその時の事を思い出すくらいには引っかかっていたのだけど。

好きな人の好きなもの

こう考えると私は常に「好きな人の好きなもの」に敏感だ。

一年前の私はちょっと前に深い関係になった人と別れたばかりで、そこからすぐに出来た恋人が今の彼である。
恋愛にトラウマがあり、「こんなに今優しい人でもいつか私の元を離れていくものなのだ」という確信に近い諦めを持ち合わせていた。
それも「好きな人の好きなもの」(=敵になり得るもの)に敏感な理由の一つかもしれない。

最初は5年前の乃木坂と同じぐらいの感情だったのが、彼がnewjeansを口にするたびに「彼は目の前にその子が現れたら私よりその子を選ぶんじゃないか」「単にアイドルとして好きというより、恋愛として好き(できるならキスしたい)と思っているんじゃないか」と思い詰めるようになった。

好きな人の好きなものを好きになれる人は、心が広いし強い人だ。周りは関係ない、彼と私、という信頼関係をしっかりと確立して見失わない前提で、「好きな人をより理解したい」「好きなものを追いかける楽しい時間を共有したい」と思える優しい人でもあると思う。

だから好きなものを泣いて奪うのは違う。
恋人というものは、趣味や別のプライベートを持ち合わせた完結した1人の人間の、+αの存在でいるべきだとも思う。

こう言う時ネットは便利だ。世の中の感情が醜く目まぐるしく行き交う場所という意味で、自分が思ったより最低ではないという気持ちになることができる憩いの場所でもある。
同じどろどろとした気持ちの人やしっくりくる意見を探し、感情の因数分解をしてみた。

分析結果

「嫌」という感情を(恥じは一旦忘れて)細かく表現すると、

①私に言うのと同じぐらいの熱量、もしくはそれ以上の"思わず漏れてしまう"感じで「かわいい」と言っているのが嫌。

②有村架純ちゃんを好きなことにはもやもやしないのに、アイドルが好きなことにはなんかもやもやする。つまり、自分より年下でかわいい(彼が好きなタイプの「丸顔童顔度」が強い)から嫉妬している。心の底では「好きなタイプの女」として勝ち目がないのでは？と思ってしまう。だから、恋愛対象として好きなんじゃないかと不安。

③目の前でかわいいを言いまくる思いやりの無さも嫌。

④でも「彼の好きなものを奪う女」にはなりたくない。

つまりまとめてしまうと、
あんたが1番可愛い！恋愛としては魅力を感じないし、目の前に2人並んでても絶対にあんたを選ぶ！
と言ってくれれば万事解決ということである。

※ちなみに、ネットで出て来た気休め達がこちら。
①「好きな物」と「好きな人」は別。
好きな人には好きなものの話をついしたくなってしまうものだ。(気休めにしか聞こえん)
②動物のかわいいと同じ感覚。(でも実際生身の女だから嫌なのよ)
③好きだから気を引こうとして言ってる。(そんなやつだったら付き合ってない)

実際は、恋人は欲しい言葉をくれる生き物ではない。言ってほしい言葉を自覚しておくだけでも冷静になれる気はした。

自分の考え方を変えるしか解決策はないんじゃないか。でも本当はこんなことは関係なく、私の「直感」として嫌という気持ちが出てきてしまうのだ。自分の気持ちや考え方の訓練をすることが根本の解決になるのか？それすなわち遠回りして「我慢する」という結論に辿り着いただけではないか。

では、考え方だけではなく状況も変えてみるとしたら、【分析結果】をクリア出来る行動はどんなものだろうか。

行動施策

①「私の前で女の子を褒めると嫌な気分になる」と伝えた上で「思っていてもいいけれど私の前では話さないでほしい」と伝える。

②彼のアイドルに対する気持ちを観察する。
「アート作品として見るのは良いけれどキスしたいはアウト」という基準がわかりやすく納得したので、この基準を持っておく事にする。

③そしてこの行動施策の最終手段(まじで嫌になった時に投下する時限爆弾)として、「ここまで考えた事を全部話す」という可能性も持っておく事にした。
ただそれは前述した「好きな人の好きなものを奪いたくない」という私の信条に反するので、③の投下タイミング=別れるべきかもしれないとも考えた。

特に②はしっくりきた。私はそもそも「アイドル可愛い」と言われる事以上に、単純に「私より魅力に感じている人がいる」という事実から嫌だったらしい。
性格悪いと言われるのを全く恐れないのであれば、「他の女を可愛いって思ってるの最低でしょ、心の底から1番に私を可愛がれ！」ということなのだ。

まったく私という人間は

ぐるぐるぐるぐると思考を巡らしていくうちに気づいたこともある。

一つ目に、(これを読んでる方もお気づきだと思うけれど)私は極端に自己肯定感が高い。
彼氏が私を1番に可愛がっていないという状況を、何より私のプライドが許していない。「私のことを1番に可愛がってくれる人なんてきっと世の中たくさんいるのに、なんで彼氏のあんたがそうじゃないんだ」とかも思っている。自己肯定感が低い人は、自分のことを好きと言ってくる人のセンスを疑ってしまい蛙化現象が起きるらしいが、その真逆のタイプである。私は私のことを好きではない人を好きではない。

そして二つ目に、(これは自分に対してさえ隠している感情だが、)魅力のある人にとても嫉妬している。わたしの人生のモットーは「可愛く生きる」だ。これは単純に容姿ということではなくて、どちらかというと愛嬌に近い。ただ、アイドルはどちらも最高峰級に持ち合わせていて、しかもその魅力が世界に発信されている。そんなわたしの目指す人生の完成系のような存在に嫉妬しているのだ。

エピローグ

と、実はここまでの内容、まさにどろどろの闇の感情にハマっていた当初まとめたものである。

とてもしょうもないエピローグを先にお伝えすると、③の時限爆弾投下OKの境地まで辿り着いたのだが到底別れる勇気はなく、結局「アイドル好きであることが嫌」という気持ちを正直に伝えたのみとなった。
彼の反応は、そんなに嫌だったの！？という驚きと、「自分は君が思っているほどアイドルへの熱量を持ち合わせていない、そもそも別物すぎて比べるなんて無理だ」というものだった。
しかもこの数ヶ月後、彼より私の方がどっぷりKPOPにハマり、私のせいで「かわいい」と言えない彼の前で「かわいい」を言いまくってしまっている。
(「私の前で他の女の子を褒めたら私もイケメンを褒めるぞ」と伝えたので)
(タイトル写真は好きなグループの限定盤を開封する私の手元です)

newjeansも大好きだしよく聴く。楽しい時も寂しい時も、リラックスしたい時も、爽やかな気持ちの時もエモい気持ちの時も、いつでも聴ける曲の雰囲気がいい。彼が好きだと言っていたハニちゃんもすごく可愛い。
自分の方がハマっている状況だと、あんなに気にしていたことも案外気にならなくなってきた。

こうやってどうにも出来ない感情もぐるぐると巡らしながら過ごして、自分の感情の行き場を無理くり方向転換して、過ぎてしまったら客観視して、大した事なかったのになぁなんて思って、今日はまた別の事にちょっともやもやしたりしながら生きている。