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8年越しのラブレターfrom田舎の中学2年生

僕は8年以上、オードリーのオールナイトニッポンのヘビーリスナーです。つまりヘビーリトルトゥース(矛盾した響き!)です。

当時僕は中学2年生。おばあちゃんのお下がりのラジカセ(CDも聴けない)を自室に引き取ったのをきっかけに、夜更かししてラジオを聴きながら勉強したり、雑誌を読んだりして過ごす夜が好きでした。

今思い返すと、自室にTVも、自分用のパソコンも、当然スマホも与えられていなかったあの頃、自分一人で楽しめる娯楽は活字を除けば本当にラジオだけでした。僕の同世代でもスマホを持っていたり、ipod touch(懐かしい!)を持っている奴もいた中で、アンテナの角度を調整し、つまみを捻ってAMをこそこそ聴いていた僕は当時から絶滅危惧種でしたでしょうね。

それまで土曜の夜は福山雅治の魂ラジ(23:30〜25:00)を聴いたら寝ていたのですが、ある夜、そのまま起き続けていると始まったのがオードリーのオールナイトニッポン。TVが好きで、お笑い番組も好きだった僕はなんとなく、寝落ちするまでそのまま聴くようになっていきます。

成長期の僕はだいたい眠気に負けて2時前までしか起きられません。だから当時の記憶は必然、オードリーのオールナイト名物、若林さんの45分間ノンストップOPトークのみです。しかし、これに僕は魅了されていきます。

若林さんの話は、リアルなTVの裏話や、30代小心者男子のリアルな社会生活の話のオンパレードでした。私服がダサいと言われて悩み、バラエティで求められる振る舞いが自然にできず悩み、番組のコーナーMCを任されて悩む姿に、芸人ってそんなに色々考えてTVに出てるんだ、と驚きました。

そして若林さんと仲の良い、同世代の売れない東京芸人たちのダメダメエピソードも毎週語られます。思春期の僕はそれに笑いながら、芸人の世界における「ダサい」「おもしろい」といった価値観を珪藻土バスマットのように吸収していったのです。知らなかったナナメ目線を手に入れ、大人に近づいたような気持ちになっていきます。

今の芸人は小粒だとか、破天荒さのかけらもなくてつまらないとか、そういうことを言うおじさん世代は一定数いる(と思う)けど、伊集院さんがたけしさんのオールナイトに興奮し、春日さんが伊集院さん・電気グルーヴのオールナイトに興奮したように、若林さんから聴く業界裏話・馬鹿話・クズ芸人話で確かに2012年当時中学生の僕だって興奮していたのです。芸人のあり方も、芸人ラジオの存在感も、今も昔も変わらないすごさがあると僕は思っています。

ラジオの若林さんは、おかしなことを言います。キャラで演じられる範疇を超えています。それを知ると、TVで猫を被っている若林さんがおかしくて仕方なくなります。そしてTVでたま〜にラジオのような狂気や熱量が炸裂していると嬉しくなります。はい、あっという間に若林ファン爆誕です。

オードリーのオールナイトニッポンは昨年10周年を迎えました。10年間TV界に奉公し続けたことで、春日さんは唯一無二の「春日」というポジションを確立し、若林さんは40前後の芸人では最も安定したMCの位置を獲得しています。DJ松永さんが「10周年武道館ライブはオードリーの10年の歴史の壮大な伏線回収だった」と言っていましたが、本当に今のオードリーは歴史に裏打ちされた脂の乗り方をしていると思います。

10年の奉公の結果、TVのメインの作り手たち(今の30〜40代)が、若い時に新人として一緒に番組を作ってきたオードリーを今度はメインに据えて、オードリーの良さ、面白さをちゃんと出せる番組を作ろうとしていると僕は感じます。それも、若林さんがラジオで、TVに出ていて思うことをその都度その都度正直に吐露してきた結果勝ち取ったものだと思います。

大学生になった今、若林さんの実は泥臭い芸人としての戦い方を、僕はとてもかっこいいと思います。今の自分が本気で思うことを、熱のままにリアルタイムで表現する。それに勝る説得力や伝播力はないのではないか、と。

今僕が、自分が普段思うことや、好きなものについてとにかく書いてみようと思い立ってこのnoteを始めたのも、きっとこういう価値観を若林さんにもらったのが大きいと思います。

オードリーについては書いても書ききれないのですが、オードリーのオールナイトニッポンには、たくさん笑わせてもらい、お笑いを好きにさせてもらい、辛い時に元気をもらってきた感謝がある、ということだけはちゃんと書いて残して今日は終わります。

最後まで読んでくれた方、いらっしゃったらありがとうございます。


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