アイドルという光と闇〜トラペジウムを観た〜
トラペジウムという小説は、乃木坂46の1期生だった高山一実さんがかきあげたアイドルという存在についてを描いたものだ、ということだけ知っていました。
大学4年生だった頃バイトしていたスーパーマーケットで、レジ仲間が乃木坂のかずみん推しで、私は48グループ全体が好きで、あまりお客さんが入らない夜帯で被って、ラストの締め作業をしながらアイドルについて語らったことを思い出します。
トラペジウムも、ずっと読もうと思い続けて数年たってしまっていました。
そんなトラペジウムが、Clover Works制作で映画化するときいて、始めに思ったのは「なんでアニメ!?アイドルものなら実写のほうが合ってそうなのに……」でした。
とはいえ原作を読んでいる訳でもないので、ふーん、そっかーこれを機に原作読もうかな、なんて思っていたら封切りしてしまって、あ〜先に映画観るか、と映画館に足を運びました。
ここから、諸々ネタバレありで感想を書いていくのですが、観てない人は本当にトラペジウム、みて欲しい……
アイドルを好きな人、アニメが好きな人、映画が好きな人、自分が嫌いな人、叶わなかった夢がある人、みんなみんな観て……
※以下ネタバレあります※
そもそも、映画を観るぞ、とはおもっていたもののはやくみにいきたい、と思ったのは、Twitterで下記のつぶやきをみたからでした。
まじで「どんな編だよ」すぎて気になりすぎて……
とにかく気になりすぎて、平日に仕事の休みが取れたのでゆっくりとみにいきました。
全体の感想としては「まじでキレイに映像化してもらったな……」と「これの原作がアイドルなのヤバすぎるな……」です。
アイドルとして、高校生として、ひとりの人間としての夢、幸せ、人生について輝いた映像と音楽とで描ききっているのがすごくて、、、
まず、入りの主題歌「なんもない」の時点で映像が綺麗で、意味ありげで、、、
いや、今見直すと方位磁針壊さないでよの気持ちとゆうちゃんオーディション落ちてるのここで描かれてるやんとかすっげー……すっげーいろいろ描かれてんな……すごい……
そして東西南北の可愛い子と出会いつつ工藤真司とも出会い、自分の夢にむかってこの人たちを利用していくわけですが……
いやいやまってくれ工藤真司好みの顔すぎる
高専のあまり冴えない男の子として描かれてるはずなのにめちゃくちゃかっこいいじゃん……
初登場の頬染めるあたりとかもめちゃくちゃ可愛く描かれていて癖でしかない
好きすぎる
この柔らかくて押しに弱そうなところも好きすぎる
ユーフォの瀧先生に通ずるものがある
それは置いとくとしても、この東ゆうの自分勝手さ、すごくアイドルっぽくて、こういう人じゃないとやっていけないよな……というリアルな感じがめちゃくちゃよくて……
「女の子は絶対にキラキラした服を着てアイドルになりたがっているはず」という思い込みで全てすすめているのも、それにまわりが振り回されつつ受け入れてるのも、本当に……
その思い込みのせいでどんどんみんなとの距離が離れてってるのがすごい痛い
どこまでちゃんと捉えていいのか分からないのですが、ゆうちゃんとそれ以外の西南北ちゃん、いろんな場面で線を引かれてるように感じて苦しくなる……
日向にいるのと影にいる(だいたいゆうちゃんが影にいる)のとか、柱で別れてるとか、すごくて……
ゆうちゃん、ずーっと本当に物語が他責で進んでて、「私が見つけた3人だから可愛くて注目されて当たり前!」ってずーっと思ってて、なのに自分にはなんの取り柄もなくて、でも練習は人一倍頑張る、努力する、考える!っていうアイドルに一番必要なものを持ってて……
あと予告か何かでやってた「アイドルになるために決めていることがある、彼氏は作らない、SNSはやらない……」ってやつ、目的意識が高くて本当にすごい……
アイドルとして過ごしていくうちにみんなの心が壊れてくの本当になんか……これがリアルなんだろうな……って感じで凄かった
彼氏が発覚したみかちゃんに真っ黒な目で「彼氏がいるなら友達にならなかった」って言い放ったところ、いや、言うのは分かってたんですが、ずっとゆうちゃんと「友達」というところにこだわってたみかちゃんに向かって言うのがエグすぎたし、くるみちゃんが壊れて泣き叫んでるところとかもアイドルとして今後頑張れば大丈夫って声かけようとしてるのもズレすぎてるし、そこで「アイドルって楽しくない」ってみなみちゃんに言われて「は!?」ってなるのも怖すぎるし、みかちゃんも泣き出して地獄になって、まじでそこにたどり着くまで全員アイドルとして生きていきたいと思ってるはずって思ってるゆうちゃんが素直すぎるのとアイドル崇拝しすぎてるのとで本当にすごくて……エグすぎ……
アイドルになるためにたくさん犠牲を払って、アイドルになれなくて親に支えられてるシーン、「私って嫌なやつだよな」って認めたゆうちゃんの成長、本当によくて、これがなかったらきっとこの映画ダメだったと思う
ここで「そういう面も、そうじゃない面もあるよ」っていうお母さんのセリフもめちゃくちゃいいし、その後主題歌がCDになるって古賀さんから言われたり、その音源を夢が叶うってちさちゃんに言われながらラジオで流されたりするのきいて、なんかゆうちゃんの全てを抱きしめてあげたくなる不器用でまっすぐでわがままで愛しい女の子で、アイドルとしての素質しかないじゃん……
だから1人だけ生きたマイク渡してもらえて、そのせいで1人だけ下手扱いされて苦しくなるのもまじでエグすぎ……
ずっと同じ海の見える高台で4人で集まって練習してたのもすごくよくて、あまりに青春で……
雨が降っても、晴れても、有名になってきても、高台から見える景色と散歩してる人は変わらなくて、彼らの努力の軌跡と、何も変わらず受け入れてくれる場所と、本当によかった……
そこで喧嘩別れしたはずのみんなと再会して、未来について語り合うのもよかったし、それぞれの未来で、アイドルとして過ごしてよかったって昇華できてるのもよくて、それでもゆうちゃんはまだがんばるっていう姿も良くて……
そういう意味で、4人でアイドルとして歌ったのが「なりたいじぶん」だったのが本当に説得力があってよすぎました……
最後、2曲目って言ってた曲を完成させて歌ったのもエモすぎたし、絵として美しすぎて泣いたし、最後おとなになってみんながそれぞれの夢を叶えて集まって工藤くんの写真展に来てるのもよかった……
工藤くん、本当にずっとゆうちゃんの野望を静かに受け止めてくれててよかったし、その間に自信つけてイケメンになってたのもよかったし、最後「デート出来てよかった」っていうのもすごくよかった……
幸せになってほしい……
本当に彼のおかげできっとゆうちゃんは勇気をもらっていたし、「彼氏を作らない」と決めていたから付き合わなかったけど目標がアイドルじゃなかったらきっと、2人は恋仲になっていたんだろうな、でもその未来を選ばなかったのもアイドルになりたかったからなんだよな、というのがすごく……よくて……
話についてはすごくよいところばかりだったんだけど、映像としてはとにかくずっと光の色が綺麗だった……
「人って光るんだ」っていうアイドルと光、そして光が強くなるほど濃くなる影、それを視覚的にも感じられて、本当に映画館でみてよかったとおもう映画でした。
ストーリーも分かりやすく組み替えられてて、本当に丁寧に映画にしてもらっていて本当に本当に素敵だった……
細かいところの会話からも「あれ、あそこと繋がってるかも」って思えるような場面が散りばめられてて、本当によかった……
エンドロールで流れた曲がみんなが最後に完成させた曲だ……って気づいたとき涙ボロボロでマジでもうキツすぎて、エンドロールで作詞高山一実ってみたとき天才すぎて死ぬかと思いました
本当によすぎる
青春の苦しさも、アイドルとしての苦しさも、全てが詰まった歌詞すぎて痛い
東西南北を青春切符で旋回中……本当に天才すぎ
もう一回観たいけど、苦しすぎて、重すぎて、また観に行くにはもう少し心を癒してからでないと……って気持ちになっています。
とりあえず、本も読んだので、このあと読書感想文もかきたいと思います。
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