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「重複子宮」の私が妊娠と出産をするまで

私は、生まれながらにして「重複子宮」という子宮の奇形を持っています。
この子宮の奇形にはさまざまな種類があり、タイプによっては不妊や不育症、流産率の高さに繋がると言われています。

私は生まれつきの重複子宮で、小学生の頃に偶然知ることとなりました。当時から子どもは出来にくいかもと言われていましたが、30代後半に入り、幸運にも1人目タイミング法(36歳)、2人目自然妊娠(38歳)と、年子で2人の赤ちゃんを授かり、また妊娠中も出産後も、トラブルなく過ごせています。

本当に幸運に恵まれたことだと思うのですが、重複子宮は不妊に悩んで初めて自分が当事者だったと知る女性も多いと聞きます。
そこで私の体験と知識を少しでも参考になればと思い、まとめてみたいと思います。

重複子宮とは


「重複子宮」とは、本来ハート型の子宮が、てっぺんのくぼみ部分で2つに分裂し、2つの独立した子宮が存在する先天性の奇形です。これに伴い、私の場合は子宮口も2つあるそうです。

「先天性の奇形」なんて聞くと恐ろしく感じるかもしれませんが、子宮の奇形は基本的に何か悪さをすることはあまりなく、よっぽど生理等日常生活で不都合がなければ、治療もしないそうです。
こうした特性から、妊活をスタートさせ、なかなか授からないなと思って病院受診後、初めて自分が子宮奇形だったことを知る人も多いそうです。

また重複子宮以外にも、子宮奇形には色々タイプがあり、子宮や子宮口だけでなく膣も2つに分かれている人もいれば、子宮は2つに分かれていないものの、てっぺんのくぼみが強くなった双角子宮などがあります。


このように、「子宮奇形」にも多数タイプがあり、またタイプによって妊娠時のリスクも変わるそうです。

こと妊娠に関する話で言えば、重複子宮は奇形の中でも流産や早産のリスクはまだ低く、また妊娠も問題なく可能と言われています。
とはいえ、普通の子宮よりも注意深く見る必要があることは言うまでもなく、また私が通っていた不妊クリニックでは、「とはいえ流産するリスクは高いから」と、事前に釘を差されたのを覚えています。

私が重複子宮に気づいたキッカケ


私が自分の重複子宮に気づいたのは、小学6年生ごろでした。ある日起きたらベッドで大量の出血をしていたんですよ。それで病院通いが始まり、色々検査したり治療したりする中で、子宮が2つあるねってことを当時言われました。どうやら、まだ月経やホルモンが整っていないこともあり、片方の子宮に月経血がたまり、一気に出てしまったようです。

また重複子宮と合わせ、私は右側の腎臓もありません。難しいことは分からないのですが、腎欠損と子宮奇形は同時に起きることがよくあるのだそう。小学生頃に気づくのは恐らく稀に早いのではないかと思いますが、妊活を始めて気づく人もいれば、生理時に腹痛や大量出血など大きなトラブルによって病院受診をし、重複子宮と言われるケースも多いと聞きます。

重複子宮の妊娠


※ここからは、医療従事者でもなんでもない、あくまでも私個人の話です。全ての重複子宮持ちの方に当てはまることではありません。気になる方は医療機関の受診を推奨します。

私は自然妊娠・出産が結果として出来たとはいえ、検査の時に言われたのは、「右の子宮では妊娠できないかもしれない」という悲しい現実でした。

一応左右どちらも正常に機能はしており、排卵もしています。ちなみに排卵は、「今月は左」「今月は右」といったカタチで、左右のどちらかがランダムに排卵するスタイルだそうです。

ここまでは特別問題はなかったのですが、卵管造影検査をしたところ、右の子宮口がどう頑張ってみ見つからないと言われました。

生理が問題なく来ている以上、入口は間違いなくあるはずなのに、どう探しても見つからない。
結局先生が造影剤をダバダバと流し、結構な時間をかけて調査してくれましたが、右の入口は見つけられず。つまり、子宮はあるが卵管が通っているかは不明。「右側の子宮での妊娠は期待薄」という事実が伝えられました。

余談ですが、出産時は担当してくださった先生が、それぞれ処置と合わせ右の子宮口を探してくれましたが、同じく見つからないと言われました。
多分小さな入口すぎて、生理前など子宮が張った時でないと見えないのかもしれないそうです。もし今後治療を考えるなら、入口探しから始めなくてはいけないんだとか…うーん、長い旅になりそうです。

「子宮口が見つからないなんてことがあるんだなー」と、今でこそ呑気に構えられますが、妊活中は「てことは、右の排卵時は妊活しても意味ないってことじゃん!可能性が半減じゃん!」とショックだったものです。

重複子宮の妊婦生活

子宮のカタチが普通と違うという点において、不育や流産、早産リスクはある程度高いとは言われています。でもその高さについても検索すると諸説あるようで、私は当時検索魔になっていましたが、個人的には病むので検索しすぎないことをオススメします。

ちなみに私は1人目の時、妊娠が分かってからも、流れるんじゃないかとヒヤヒヤのヒヤヒヤで、9週をすぎたらエンジェルサウンズ(自宅で心音確認ができるグッズ)を毎日お腹に当てまくっていたのを覚えています。つまり、それくらいしか個人で出来る対策はないです。

重複子宮での妊娠で普通と違ったなと私が感じることとしては、左側の子宮で妊娠したので、当然左側のお腹が出ます。右も引っ張られて一緒に出ますが、左右でお腹の張り(?)が全然違うのは興味深いです。
左は中が詰まってるなーって感じだけど、右はブヨブヨ(肉)という感じ。
また赤ちゃんも左にいるので、胎動は左側のお腹から聞こえます。

あと、2人目のときは後期から今も、左側のみ腰痛になりました。整体で見てもらったところ、体の左右のバランスが崩れていると言われました。まあ左にのみ重たいものを抱えた状態なわけですから、当然ですね。そんな重複子宮あるあるなマイナートラブルもあります。

重複子宮の出産


重複子宮の出産はリスク要因があるとみなされますので、基本帝王切開です。経膣分娩は出来ません(と私は説明を受けた)。
予定帝王切開と言って、大体38週目に手術の予定が組まれるのですが、1人目は予定通りその日に産み、2人目は予定日の3日前におしるし(陣痛前に来る少量の出血)が来たため、そのまま入院し翌日に予定より2日早い出産となりました。

余談だけど大事な、医療保険の話

帝王切開は医療行為なので医療保険の対象となるのですが、重複子宮の場合、重複子宮が分かってから民間の医療保険に入ろうとすると、そもそも入れないor子宮系の疾病はサポートが除外される、という問題が発生します。

私は30歳頃に掛け捨ての医療保険に入ったのですが、すでに重複子宮であることを知っていたため、多くの保険でカバーがなされないと言われ、検討対象から外れました。

今入っているのは、「加入から5年(だったかな)は、子宮系の疾病が対象外」という特別ルールつきのもので、出産時にはこの期間をすぎていたため、事なきを得ました。
当時思わぬ問題があるもんだと驚いたものです。医療保険にこれから入ろうかなと思う女性は、ぜひ妊活でもろもろの検査をする前に、医療保険に加入しておくことをオススメします。

重複子宮の産後


一般的な帝王切開後の産後とそう変わらないのですが、使わなかった右側の子宮も、状態としては妊娠しているのと同じくらい内膜が厚くなっているそうです。産後の悪露は手術時に処置が出来なかった分、しっかり出ると言われました。

個人的な感覚として、後陣痛は右(妊娠してない子宮)の方が左(妊娠・出産した子宮)よりもキツく感じる時期が数日ありました。
これは特に言われていることではないので、気のせいかもですが、とはいえ薬を飲めば乗り越えられるほどです。

また私の場合は、産後のケアとして何か特別なことは言われていません。もし今後重複子宮の治療(2つの子宮の壁を切って縫合するらしい)を考えるなら、生理の前(子宮が張っているときに診たいそう)に一度内診などをして、入口や状態の確認から始めると言われました。必要であればという話だったので、特に今は考えていません。

ちなみに3人目も、普通に1年経ったら授かれると言われています。(帝王切開での出産は、産後1年間は子宮の回復を優先するため妊娠が禁忌です)
作るかどうかは別として、片方の子宮しか使えないから1回しか妊娠できないとか、回数制限があるわけではないようです。
また重複子宮の場合、一般的な子宮より2つに分かれている分元のサイズは小さいわけですが、問題なく子どもは育ちます。我が家は2人とも38週で出産しましたが、平均的な重さで生まれてきてくれました。

ここまで、少し長いですが私の知っている限りの子宮奇形のお話をまとめてみました。
当事者の方はこれから妊活となったら不安感でいっぱいだと思います。
2人無事に妊娠・出産できた事例がここにいるという事実が、あなたの励みになれば嬉しいです。

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