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40代主婦がSUPに初挑戦した話

今年の夏休みを利用して、長野県の青木湖でSUPをしてきた。もちろん生まれて初めての体験だ。

運動神経は母の胎内に忘れてきたのかと思うくらい、昔から私にはない。さらにこの歳になって体幹や筋力も衰えた私が、本当にSUPなんてできるのかと不安だらけだった。
しかし、そうそう経験できるものではないということで、思い切って挑戦してみることに。

というわけで、今回は40代主婦によるSUP初体験談を紹介します。

SUPツアーに参加する

今回、ライジングフィールド白馬というキャンプ場で2泊した。青木湖に隣接しており、多くの人でにぎわう人気のキャンプ場だ。

ライジングフィールド白馬はキャンプサイトの他にホテルもあるので、キャンプが苦手な人でも気軽に宿泊できる。

SUPはツアーで体験可能だ。今回は家族4人での参加だったので、タンデム(2人乗り)×2を利用した。
ガイド付きなので、私たちのような初心者でも安心して参加できる。

時間は1時間30分。SUPボードもパドルもライフジャケットもついてくるので、手ぶらで参加できるのがうれしい。

私たちが体験したコースは、キャンプ2日目の朝6時から始まる。
眠い目をこすりながら、5時起きでパンを1切れかじって参加。コーヒーを淹れる時間はなかったので、とりあえず牛乳で流し込んだ。

6時にセンターハウスに集合し、ガイドのお兄さんと他の参加者と合流。早速ライフジャケットに着替えて湖へGO!

青木湖に浮かぶ

まず最初に、陸上でパドル使い方のレクチャーを受ける。
準備ができたら湖に入り、SUPの上に乗って、そのまま湖の中央あたりを目指した。

川のように冷たくないので、冷え性の40代でも安心安心。

私は中学生の息子と一つのSUPに乗った。
まさに運命共同体である。どちらかがバランスを崩せば、二人とも湖へドボンする仕組みだ。

まずはSUPの上に座ってみるものの、左右にプルプル震える。
神よ、この震えは武者奮いでしょうか。私に筋力がないからでしょうか、それとも体幹がないからでしょうか。

なんとか慣れてきたところで、パドルを使って漕ぎだしてみる。

うん。悪くないぞ。

前に子ども、後ろに初老(私)。このままずっと座っていればいいじゃない、そう思っていたらガイドのお兄さんがこんな言葉を発した。

「さあ、ここから立ってみましょう!」

お、お兄さん⁉️

優しそうな顔をして、実は鬼畜か……。
いやいや、そんなことを言ってはいけない。お兄さんだってお仕事なのだから。

しかし、ワレワレはやっと湖に慣れてきたばかりのところ。まだ立つなんて無r……と思って前を向くと、すでに子どもは立ち上がって漕いでいるではありませんか。

ひえー。
やはり、立たねばならないのか。
「まずはヒザをついてパドルをSUPの真ん中あたりに立て、ゆっくりと立ち上がりましょう」

お兄さんの声は優しいはずなのに、なぜか怖くてたまらない。
恐怖に打ちのめされまいと、勇気を振り絞って「フン」と立ち上がる私。
するとSUPがユラユラ揺れ出す。

「wれsdtfyぐひうじょkp!」

人間とは思えない、奇妙な声が漏れ出てしまう始末。

膝の下あたりにグッと力を入れ、バランスを保とうとするもゆらゆら揺れがおさまらない。

「力を抜いた方がバランスを取りやすいですよ〜(^_^;)」

落ち着きのない動きをしている私を見かねたのか、お兄さんがアドバイスをくれた。
そのとおりに従うと、あら不思議。揺れが収まったではありませんか!

お兄さん、神!さっきは鬼畜なんて言ってごめん。取り消すわ。

私は心の中で「立った!立った!初老が立った!」と一人で大喜び。今なら、クララが立った瞬間のハイジの喜ぶ気持ちがわかる。

そこからはゆらゆら揺れながらもバランスが取れるようになり、方向転換もしやすくなった。
優しい風を全身で受け止め、穏やかな湖を優雅に進む。
今まで経験したことがないほどの開放感があり(出費は痛いけど)参加して良かったなあと心から感じたのだった。

しばらくあそんだあとはSUPボードに座り、参加者全員でコーヒーを飲んだ。もちろん青木湖の上で。

ガイドのお兄さんが熱々のお湯とスティックコーヒーを用意してくれていたのだ。
ぜいたくな、最高のロケーション。

穏やかな朝に湖の上でおいしい(実際には甘すぎた)コーヒー。ふふふ。これで私も(エセ)セレブの仲間入りね。そんなことを考えていたら……

「SUPは湖に落ちてからが始まりですよ」

とガイドのお兄さんはニコニコしながら言っていた。やはり鬼畜なのかもしれない……。

コーヒーを飲み終えた私たちは、再びSUPで移動。
ライフジャケットを着ているので落ちてもまず大丈夫だとはわかっている。
でもね、怖いものは怖いの。
泳ぐのがもともと苦手だし、足がつかないところで泳いだこともない。

何がなんでも湖に落ちてなるものかと気張っていたので、きっと鬼のような形相でバランスを保っていたに違いない。目の前に鏡がなくてよかった。

そうして湖岸近くに到着した。
するとガイドのお兄さんが「お兄ちゃん(長男のこと)、一人用に乗ってみる?お母さんはそのまま二人用に乗っててもいいですよ」と提案してくださった。
長男は大喜び。

お兄さんは岸にある、もう一台のSUPを用意してくれた。
ここからは長男も私も、一人でSUPを体験することに。

1人SUPは相手に合わせる必要がないので、バランスが取りやすくなった。
恐らく、初心者は2人乗りよりも1人乗りの方がやりやすいと思う。

長男の方を見ると、あっという間に遠くまで進んでいき、お兄さんたちと談笑している。「あらあら、長男ったらすっかりSUPに慣れちゃって……(クスクス)」なんて温かく見守っていたら、長男はバランスを崩して湖にドボン!

「えっえっえっ!!」
SUP から落ちた長男は、エメラルドグリーン色の青木湖に浮いていた。
私は親だというのに、戸惑うことしかできななかった。
もちろんライフジャケットを着ているので、常にプカプカ浮いているし、本人は楽しそうにしているので、一刻を争う危険性はないだろう。

お兄さんも慌てている様子はないので、安全は確保できているはず。
何もできない初老だけが一人でパニックになっているカオスな状態を、おわかりいただけるだろうか。

パドルを漕ぎつづけ、亀のペースで長男の元へ近づき、恐る恐る「大丈夫?」と聞いてみたい。
「足がつかないからこえー」と言いながら、ケラケラ笑っていたので、初老はやっとホッとできたのだった。

ツアーの時間を少しオーバーして、初のSUP体験は終了。子どもたちは「またやりたい!」「もう一回やりたい!」と、名残惜しそうにしていました。

SUP体験を振り返って

SUPは思ったよりも初老に優しいスポーツだった。
スポーツというよりも、湖をゆっくりお散歩するようなかんじで楽しめた。
若い人はもっとアクティブに楽しめるだろうし、人それぞれのペースで進めるのがうれしい。
冒頭にも書いたが、年齢や身体のことを考えたら、行く前は不安しかなかった。でも思い切ってやってみてよかった。

天気に恵まれたのもよかった。前日は大雨で、バケツどころかタライをひっくり返したような雨が降っていたのだ。
夜中のうちに雨は上がり、朝には眩しい太陽が山の間からおはようしていた。
きっと私の日頃の行いがよいおかげだろう。

次に長野へ行けるのはいつになるかな。
また行ける機会があれば、今度は湖に落ちてみよう。

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