27になっちゃう

10月11日。わたしの誕生日。

母親が自宅のベッドでテトリスをしているときに寝返りをうったら、股の間から突如わたしが顔を出した日。声を出さない赤ん坊に焦った父親がわたしの足を掴んで逆さ吊りに振り回した日。朝方の騒ぎの間眠りこけていた姉が「今朝おうちに小鳥さんが来たみたいね」という言葉を残して学校に行った日。

わたしは誕生日がだいすきだ。デジタル時計が10:11をさすとどきっとしてしまうくらい。朝から晩までどんなわがままをいうことも許されている、と実家では言われていた。正月より夏休みよりクリスマスより、誕生日は特別だ。

誕生日翌日の今日。27歳の日常の、第1日目。曇り空が広がり、キッチンは昨晩のホームパーティーの残骸で溢れかえっていた。エプロンをして、食器を一つ一つ、洗っていく。部屋中に散らばったものをあるべき場所に置いていく。母親が買っておいてくれたチョコケーキをきいろい皿に載せて整ったちゃぶ台に運んだら、ストレートの紅茶を傍に添えた。ゆっくりと、ケーキにスプーンを入れていく。

しあわせだな、と、今日も思った。

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