見出し画像

 アイスのもと アングレーズソース

どーも。都内一流ホテルで16年勤務した、フリーシェフ、僕です。
今回4905字でした!
レシピ制作のポリシーを作りました。もし気に入ってもらえたらご覧になってくださいね。

今回はアングレーズソース、を作ります。
sauce a l'anglaise アングレーズソースとは、直訳でイギリス風のソースという意味です。日本語で言うパン粉付けを『イギリス風に粉をつける』。また、茹でる、揚げる、焼く、(だけ)といった手法もイギリス風に茹でる揚げる焼く、と言います。
ごくシンプルな手順を踏んだ料理をアングレーズと言います。
この中で今回はイギリス風の素晴らしいデザートソースを作って…
アイスクリームにしましょう!
今日は寒い?暖房ガンガンにかけて食べちゃいましょう!
作りたてで空気が含まれてなめらかなアングレーズは
最高ですよ。
特殊な器具であるアイスクリームメーカーがあった方がおいしくできます!
金属ボウルとホイッパーでもおいしくできます。

THE材料) 出来上がり300ccほど

牛乳 250cc
卵黄 3個
砂糖 60g
☆バニラ香料どれか☆
バニラビーンズ 半分
(今回半分に割いて種を取り出す作業の説明は短縮します。)
バニラペースト 小さじ1

バニラオイル 数滴
バニラエッセンス 数滴


そんなに材料の種類はありません。
香料のバニラに対しては補足します。
今回僕はリンクを貼ったバニラペーストを使いました。
これが一番使いやすと思います。
ソースにバニラのツブツブ食感が残るんです。ホールのバニラも同じです。
また、ペーストはちょっとだけ製品の嫌な匂いがします。加熱すれば飛ぶので加熱するソースに使いましょう。
スーパーに行けばバニラビーンズホール、バニラエッセンスはあると思います。
バニラエッセンスとバニラオイルの違いとして、
エッセンスは熱ですぐに香りが飛ぶ。オイルは生地に溶け込むと覚えてください。あと値段です。エッセンスの方が安いんです。
各特性と予算、手に入りやすさを考慮して
どれかを用意してください。また、バニラなしで残りの材料で作るとミルクアイスになります。

器具)
(今回はこの項目を作りました)


木ヘラ
計量カップ
ホイッパー
計り
氷水
アイスクリームメーカー
冷凍庫

アイスクリームメーカーを使うとき、事前準備として↑のようなもののボウル部分を1晩ほど冷凍庫に入れておきます。
そのボウルに出来上がって冷ましたソースを入れてプロペラで回し、空気を加えて20分ほど。ソースを角ポットに移して冷凍庫でもう少し固めます。同内容を後述しますが、以上の工程を踏みます。

工程)
砂糖牛乳計量、卵黄を分ける、砂糖を卵黄と牛乳に分ける、牛乳は完全に沸かす(後述補足)、卵黄はブランシール(後述)、牛乳を卵黄に移し、再度鍋に入れてアラナップ状態を確認する(後述)、漉して、氷水をあてて完全に冷やす、ソースだけの場合はここで終わり
冷えたソースをアイスクリームマシーンにかけて(20分ほど)、角ポットに移して冷凍庫で固める。
固まり具合が不安であれば10分ごとに確認してください。冷凍庫開けすぎると冷凍庫の温度が上がるので注意。

☆各バニラの入れるタイミングは後述します。



計量しました。砂糖60gを一か所で計量し、卵黄ボウルと牛乳鍋に半分に分けても『今回は』
OKです。行き先が同一ソースで砂糖の状態も(カラメル状態などではなく)
同一であるのが理由です。
例えばの例です。パティシエあるあるなのですが、
『今自分がアントルメのどの部分を作っているかわからなくなる』んです。
ケーキの土台なのか、クリームなのか、土台の何番目なのか、ソースなのか、ガルニなのか、
とかですね。
是非、料理デザート問わず作る前に一度最後までの工程を確認してから作業に入って下さい。
ミスが減りますし、完成度が間違いなく高まります。
さて、今回僕は、卵黄用ボウルに砂糖を全量計量して約半分を牛乳鍋に移しました。

牛乳+砂糖です。これを沸かします。
砂糖を入れることにより、牛乳の吹きこぼれを軽減することができるとされています。
全く吹きこぼれないわけだないので注意。
☆バニラペーストかビーンズ(さやごと)であればこの時点で沸かす前に入れます。
使用する牛乳にバニラビーンズの種とさやを一晩入れて香りを100パーセント移す方法もありますが、家庭では現実的ではありません。参考までに。

さあ沸かしましょう。今回は『完全に沸かす』としました。殺菌のためです。人によっては加熱温度を60℃程度、最後の仕上げに80℃周辺にする、という考えもあります。
高温であればあるほど、雑菌の繁殖を防ぐことができます。
今回はアイスクリームなのでしっかり殺菌したいのが私の考えです。
しかし、低温殺菌した牛乳の方が風味が豊かであり『おいしい』です。
参考までに低温殺菌牛乳は63~65℃で30分間加熱殺菌(引用元下記)する方法です。
低温殺菌牛乳は値段が張りますがおいしいですよ。
吹きこぼれないように沸いたらこれから作る卵黄に加えます。
グツグツに沸いている状態は加えません。この時点では『卵を入れずに殺菌した、バニラの風味を引き出した』と考えて結構です。

↑引用の参考です。


さて、卵黄と砂糖を混ぜましょう。この作業を『ブランシール』Blancher と言います。
今回は牛乳沸かす前にブランシールしてもいいですね。
直訳で白く仕上げる、といいます。野菜の下茹での方法、
魚介・肉類にも使われる技法ですが、使う食材により技法の方法が変わります。
今回は卵黄と砂糖をすり合わせて空気を含ませて白く仕上げます。この工程を踏むことにより、この後に混ぜる液体、粉類(今回は牛乳)が卵の油分に
影響されることがなく、なじみやすくなるとされています。
卵のブランシール、お菓子を作ると必ず突き当たる技法です。しっかりモノにしてくださいね。

どのくらい白くするの?という意見があると思います。こんな。
泡立った部分が白っぽくなっています。この状態にして下さい。
ホイップクリームを作るよりは時間がかかりません。5分間も泡立てればできます。
泡立てるとはいえ、砂糖と卵黄がすり合わされる目的です。

さて、作った生地2種類を合わせてから漉しますので漉し器とゴムベラを用意しておきましょう。
料理において、使う器具や材料は必要な時に必要な量を用意します。
全部広げちゃうとこんなこと先輩に言われてしまします。
『お店広げすぎんな』って。
同時に、必要な時に100パーセント確実に物事を用意できている事も
料理を作るうえで必要です。
僕なんて手順悪すぎて悪すぎて…。いきなりはできません。
でも、ちょっとずつやれることを増やしていけば、クオリティも上がりますし、
なにより、自分の成長になります。この手順の構築をオペレーションと言ったりもします。
どんな職種でも趣味でも、完成形をイメージして何がどのタイミングで必要か、
どこがポイントで何に注意するか、注力すべきか、
この辺が見えてきますしわかってきます。
僕なんかよりもこういうこと出来る人はたくさんいます。日々勉強ですね。
写真撮り忘れちゃった☆
生地2種を合わせます。
ブランシールした卵黄に沸いた牛乳を混ぜながら
(少しづつ4回ほどに分けるでもいいですね)加えます。
必ずこの工程で行ってください。でないと卵黄が一気に固まります。
生地がボウルで一つになったら鍋に移して火にかけます。
中火より下、位にかけます。
ガンガンにかけると卵黄部分が固まってスクランブルエッグになります。
ゆっくりでもフツフツ沸く、かな?位の火力で卵黄部分に火を入れて、
濃度を出して余分な水分を飛ばすのも目的です。
気を許すと焦げますよ。

アラナップ の状態を確認する、と言います。木べら(スプーンでもいいですよ)でソースをすくい上げ、指で線が書ければその濃度で正解。これは各種料理のソースでも同じ作業をします。他の方法はお皿に流してソースの濃度を見る、とかですね



ソースの濃度が良かったら、漉しましょう。
余談ですが、コックさん用語です。
濃度や塩分が良かったときは
『濃度(塩)決まってる』といいます。しれっと知らないコックもいますが
塩(の量)が決まっている、濃度(=ソースの火入れかコーンスターチなどの量)
が決まっているといいます。

氷水にあてて一気に冷ましましょう。こういうソースは一気に冷まさないと雑菌が繁殖します。
温いソースはすぐ腐ります。
冷ますのに一番なのは氷水にあてて、すぐさま冷ますことです。
アングレーズソースであればこの時点で容器に移して保存します。
ソースが冷めているかは指突っ込むのが一番ですが、
衛生的によくないので是非スプーンで味見してください。
☆バニラオイルとエッセンスであればこの時点で加えます。
ご家庭でやってるのがバレます。
冒頭に紹介したアイスクリームメーカーです。
下部が冷やすボウルになっていて、上部が電動モーターとプロペラで構成されています。
使い方は機種によって様々ですが、これ使うと滑らかなアイスが出来ます。

ソースが出来ました。冷え冷えのアイスクリームマシーンにかけましょう。取説は読みましたか?
機種にもよりますが、要は、
ボウルに入れてプロペラを回します。この機械は冷たい(=冷めている)状態のソースを充填することが前提です。熱いソースをプロペラで回しながら冷ますとどうなるか
。この場合、下手すると分離します。3時間回しても分離します。
回す時間は機種の取説にあるはずですが、
結果だけ言うと僕の機種だと30分ほどかけました。
このここでは、『柔らかいソフトクリーム』位まで固めます。この時点でおいしいですよ。

では、角ポットに移して冷凍庫で『もうちょっと』固めます。ここからは好みの問題です。
良い硬さになったら完成。一晩経つとガッチガチになるので
是非柔らかい状態で召し上がってください。

写真は金属のポットに移したソースです。可能であれば金属の容器に入れてくださいね。
アイスクリームメーカーがない場合、冷ましたソースを冷凍庫に入れて30分ごとにホイッパーで混ぜて空気を含ませ、固めていきます。ボウルは金属でないと熱伝導の問題で固まりずらいです。多分5、6時間かかります…。でも、上品に固められればアイスクリームメーカーに負けない柔らかいアイスになります。
アイス盛りました。この場合、アイスを『切る』といいます。なんででしょうかね。
まず、熱湯を用意してマグカップに入れて同じ大きさのスプーンを2本用意します。そこにスプーンを入れて温めます。水滴を拭き、固まったアイスを『練ります』。
ベロベロに溶かさないように。ある程度容器のハジに寄せて、スプーンを替える。
冷たいスプーンはマグカップに戻す。
2本目のスプーンでアイスをすくいあげて、もりつける。
正直、動画の方がわかりやすいかもしれない…。

これで完成です。
酸味のあるフルーツピュレ、バルサミコ酢、など添えるといいバニラアイスですね。
例えば、クレープ、パンケーキなどの温かいデザートにアイスを添えても良いですし、
ソースとして使うのなら、ミルフィーユ、フルーツタルトもいいと思います。お菓子屋さんで買ってきたケーキに自家製アングレーズ添えて盛り付け、紅茶やコーヒーと頂けば日常が上品になりますね。


おまけ。
 フランスのお菓子屋さんは、生卵BOXや砂糖壺にバニラビーンズを一緒に入れてバニラのほんのりとした香りを付けてから使用するところがあると聞きました。バニラを多量に使う調理場では、例えとして食材の骨の髄まで使用できる代々使われている由緒正しき手法です。
 この方法で、トリュフの香りをまとった卵を作ったりもします。
食材を最後まで使いたいという、彼らなりの感謝の気持ちですね。
 余計なことをお伝えします。細菌学の先生から教わった話です。低温殺菌牛乳のおいしさは雑菌だよ。でも、所謂良い作用をする菌を美味しく感じるのも人間だよ、とのことです。現代の食材から段々『滋味』(ジミと読みます)が失われていったのは時代でしょう。なーんて☆

読んでいただいてありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?