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海の旨味に感謝 シーフードパスタ

どーも。都内一流ホテルで16年勤務した、フリーシェフ、僕です。

前回、ガーリックオイルを作りました。

せっかくだからパスタやるかね、と考えてやりました。

難易度ウルトラCの『 pasta aglio, olio e peperoncino』よりは形にできそうだし…。

僕はパスタ好きなんですわ。ロングパスタもショートパスタも。

しかし、わざわざ生パスタは選びませんねえ。

今回の具材は、アサリ、ホンビノス貝、エビ、シラスでしたが、下処理をした魚介類のソースにパスタを絡める手順は同じです。

ショートパスタ(マカロニとかペンネとか)とロングパスタ、(スパゲッティーニ、フェデリーニとか)、どちらでもおいしくできます。

今回はロングパスタの『リングイネ ピッコレ』を使います。

乾燥パスタの良しあしに関して話すとキリがないので後日。

有名メーカーのリンクを貼っておきます。このロゴ目指してスーパーで求めるといいでしょう。他社製のパスタでもおいしくできますよ。

重要なのは、楽しく食卓を作ることです。

とりあえず2社です。

乾燥パスタを機械から押し出すときに真鍮やブロンズの機械で押し出すと、表面にごく少量の穴が開くそうです。ここにソースが絡んで美味しくなると、イタリア人のシェフが言っていました。上記2社はそのような機械を使っているとも教えてくれました。

ただ、機械にテフロン加工されていたりする、ツルツルな機械で押し出したパスタの品質が低いわけではありません。真鍮の機械は摩耗するのが速いのです。製品の価格に差が出るのはここに限ります。

どちらのパスタを使った料理にも共にあるのが、

愛情です。

美味しけりゃいーのですよ。


THE材料)

☆今回の写真は別に仕込む魚介類も撮影されているので、分量よりも多く見えます。あらかじめご了承ください。

アサリ 300gほど

ホンビノス貝 3個

エビ 250gほど

釜揚げシラス 100gほど

アンチョビ 1.5尾

ケッパー 大匙2

オリーブスライス 大匙1

ガーリックオイル 大匙1

☆ニンニク2個でも可能。今回はみじん切りにしてください。

半割のニンニクで作る方法もあります。完全にお好みです。

イタリアンパセリ 1パック

パスタ 300g (1人前100gとします)


調味料)

〇塩 

(天然塩。精製塩ではなく、是非天然塩を使ってください。

伯方の塩でもいいですね。天然塩と精製塩の違いは今回は割愛)

〇白ワイン

〇ピュアオリーブオイル

〇鷹の爪

(今回は輪切りを使います。ホールを半分に割ってもいいですね)

〇エクストラバージンオリーブオイル


工程)

貝類の砂抜きをする、貝類を白ワインで蒸す、エビの下処理をする、シラスを炒って、貝類汁を入れて沸かし、エビを入れて火入れ、ザルで漉して汁と魚介に分ける、イタリアンパセリをみじん切りにする、アンチョビをみじん切りにする、フライパンにガーリックオイルと鷹の爪ピュアオイルを入れて加熱、沸いたらアンチョビ、ケッパー、オリーブを入れて沸かす、パスタを塩水(分量水の1パーセント)で茹で始める、フライパンに水分を入れて沸かしニンニクに火を入れて、貝+エビ汁を入れて沸かす。パセリを入れて、魚介を加えて一度沸かして待機、パスタが茹で上がったらソースと絡めて、皿に盛り、EXvオリーブオイルを回しかけて完成。


思ったより工程があることに驚きました。

これ出来ればシーフードパスタはなんだってできます。

下処理はゆっくりでいいので確実に、パスタ茹でてからはスピード勝負。


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アサリとホンビノス貝です。アサリだけでも十分美味しくできますので、アサリは欠かさずに買ってください。

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貝類の砂抜きをします。まずは真水で貝類を洗います。

貝についたぬめりを取るのが目的です。貝をこすり合わせると上手くぬめりが取れます。

貝類がしっかり隠れるくらいに新しい真水を入れて、塩を入れます。

いれる塩は海水の濃度(3%)。ただし、ボウルに入れてからかき混ぜないと塩が混ざりません。

味見するのが一番ですが、飲まずに吐いた方がいいです。

蓋をして、4時間か5時間放置。暗くすると貝類が夜だと勘違いして砂を吐きやすくなります。ふたが透明ならアルミホイルを使いましょう。

一晩砂抜きをしてもいいのですが、あまり長い時間やると身が小さくなりすぎます。

砂抜きができたら、また真水で洗って白ワインで蒸します。今回、アサリとホンビノス貝の大きさが違いすぎるので別々に蒸しました。

鍋の大きさにもよりますが、白ワインを貝類の3分の2くらいまで注ぎ、蓋をして蒸します。途中で液体が噴きこぼれそうになりますが、鍋をゆすれば収まります。ゆすることによって、中身が混ざり、貝が開きやすくなります。噴きこぼれそうになってから数分で全部のアサリが開くはずです。

大型の貝は結構時間がかかると考えてください。

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蒸されたらこんな感じでザルに上げます。冷めたら貝殻を外し、貝汁とは別に保存します。

この時点で開いていない貝は加熱不足か新鮮ではない貝です。処分しましょう。

作業の順番的にここでイタリアンパセリをカットしましょう。

まずは軽く水洗いをして、水けをきり、パセリの葉っぱと茎に分け、葉っぱの水を紙でとり、包丁で刻みます。器に取っておきましょう。

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他の魚介です。今回はエビに下処理をします。無頭エビを使いました。子のパスタは巨大なエビを使わない方がいいのですが、手に入ったエビで結構です。下処理は同じですね。先ずは殻をむきます。当然むきエビには不要の工程です。それを水が入ったボウルに入れます。流水を使いながら揉みます。そうすると…。

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こうなります。ピンボケではないのですが、全部汚れです。

そのあと、エビの背ワタを抜きます。

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これがエビの背ワタ、腸管です。無頭エビには頭部とともに抜けていることもあります。その後再度水洗いです。

基本、まな板には全くの汚染物質を乗せません。一度洗ったものを乗せると考えてください。皮つきの玉ねぎとか泥付きのポテトとかもです。

エビのワタ処理が終わったら、塩と白ワインを振って揉みます。覚えていてください。エビは揉むものです。10分くらい冷蔵庫で休ませたらまた黒い水分が出ます。これも汚れです。量が多かったら再度みず洗いしましょう。この塩はあくまでも汚れを取るためであって、下味ではないんです。

シラスとエビの火入れをします。

乾いた鍋にシラスを入れて炒ります。焦げるのでヘラでいじりましょう。余分な水分を飛ばし、うま味を凝縮するためです。ここに貝汁を加えて沸かします。沸いたところにエビを入れて蓋をして『火を止める』。エビはゆっくり火を入れると柔らかくなります。これをザルに漉して魚介類として皿に取っておきます。


ケッパーとオリーブを用意しましょう。

ケッパーは塩漬けか液体に使っているのがほとんどです。液体は不要です。塩漬けは一度洗ってください。オリーブも液体に漬かっていたりもしますので、液体から引き上げてスライスします。種付きのオリーブという商品も存在しますので、その場合は種を抜いてからスライスしてください。スライス済みのオリーブを使うという手もありますね。

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じゃーん。下処理した食材です。今回、魚介は別口で使うので多めにあります。料理ってほら、適切で妥当だし…。

ではソースを作ります。

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フライパンにガーリックオイル大匙1,ピュアオリーブオイル大匙1,鷹の爪大匙半分ほどを入れて強火にかける。鷹の爪は辛いのが好きであればもうちょっと入れましょう。

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強火にかけるとこのような状態になります。こうなったらフライパンをゆすって、弱火にします。この状態でニンニクに火を入れるのが何よりの目的です。大切なことなのでよく覚えてください。『絶対に焦がしてはいけません』。カリカリニンニクで仕上げる方法もあるのですが、まずはニンニクにしっかり入れる方法を覚えてください。

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見ずらいのですが刻んだアンチョビを入れました。油全体に回るように調整しながら、火を入れてください。アンチョビのいい香りがしたら、大匙2ほどの水かパスタのお湯を入れます。

水分を入れる前はただのオイルなんです。ですので、水分を入れてパスタのソースとしていくのです。この場合の水には塩分がないのですが、パスタ水と同じ役割です。水は100℃より上にはいきません。水分を入れてなお、ニンニクに火を入れたいのがこの時点での目的です。この時点のパスタ水だと塩分が加わって『しまう』ので僕は水の方がいいと考えますが、状況によりけりです。

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水を加えると、こんな状態になります。この時点でニンニクにもうちょい火を入れたいのです。水を入れると、蒸発するまで絶対に焦げません。

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パスタのお湯を沸かします。1パーセントの塩分と考えてもらっていいのですが、はじめだけは測りましょう。計量カップで100回水を計るのは大変なので、おすすめは2Lのペットボトルに水を入れて鍋に移す方法です。

100gのパスタを茹でるのに必要なお湯は10Lほどですが、鍋を新しくするのは大変なので、家にある鍋で一番大きい鍋で茹でてください。

火にかける前に塩を計って入れて混ぜてください。正直、僕は1%では塩が効いていないと考えますが、体調や好みを含めて増減してくださいね。

ここで深呼吸しましょう。

指さし確認です。

お湯は沸いていますか?

パスタのお湯の塩加減は問題ありませんか?

茹でるパスタの量は計量してありますか?

ソースに入れる材料は全て近くにありますか?

盛り付けるお皿は用意してありますか?

タイマーはボイルする数字になっていますか?

パスタを引き上げるザルは用意してありますか?


ここまで確認出来たらパスタを茹でましょう。

今回はディチェコNO.8 リングイーネピッコレ 8分を使っています。

これは僕の好みです。

巷には3分などで茹で上がるパスタもあります。

基本的に『パスタとソースが同時にできていることが目標』です。

3分のパスタであれば、ぜひソースを仕上げてから茹で始めてください。

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ていやっ。これで200g。

タイマーオン。この時点ではロングパスタの頭が出ています。

フライパンを火にかける。フルパワー。

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沸いてからケッパーとオリーブを入れる。

フライパンをゆすって、菜箸かトングで中身をしっかりかき混ぜる。

たまにパスタをかき混ぜましょう。

パスタ水を大匙2ほど加える。

この時点で一度パスタを混ぜてダマが出来ないようにロングパスタの頭までお湯に沈める。

お湯にパスタを沈めた時点でもしかしたらお湯の温度が下がって沸いていない可能性がありますが、お湯の火がフルパワーであればじきに沸きますので慌てなくて大丈夫です。

重要なのはお湯にしっかり沈めることです。

残り7分。

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イタリアンパセリと魚介類の順でフライパンに加えて一度沸かす。

葉物ハーブという食材は熱に弱いんです。ガンガンに煮てしますと何もなくなってしまいますが、ある程度熱を加えるといい香りが立ち上ります。

また、ソースは一度沸かさないと最後まで一体感が生まれません。

残り5分半。

意外に残り時間がありますが、パスタが茹で上がる時間にソースの濃度を調整します。今ならソースを味見する時間があります。

味見して状態を見て、

水分が足りなければパスタ水、

ただし、塩分を加えられなければ真水、

コクが足りなければガーリックオイルの上澄みオイルかピュアオイル、

辛みが欲しければペペロンチーノオイル、極端な話、ラー油でもいいです。

このソースには塩を振らずにパスタ水を使った方が仕上がりの一体感がうまくなります。ただし、塩分だけ足したいのであれば精製塩を振ったほうがいいと思います。

ソースの濃度が低く、水っぽい場合は煮詰めながらフライパンをゆすります。塩分には気を付けてくださいね。

パスタの乳化についてはまた今度。

この調整をして、残り4分。

ガーリックオイルを炒めるところから始めると割とうまくいきません。

料理は手順が全てです。そのうえで確実な方法を選びましょう。

調整したソースは一度火を消します。

パスタの時間は残り何分でしょうか。

お皿は用意してありますよね?

残り1分。

一度パスタを味見しましょう。

ちょっと硬いと思うんです。つまり、問題ない。

残り30秒。

ソースを弱火にかけます。

タイマーが鳴りましたね。重要なことです。

味見してください。

そのうえで、パスタをお湯から引き上げてください。

ラーメン屋さんのようにパスタ水を全部切ってはいけないんです。

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そして、フライパンのソースにパスタを入れます。強火。

『絶対に冷やしてはいけません』。

これをかき混ぜます。菜箸かトングを持っていると思いますが、ホイッパーを持っているつもりでガンガン混ぜてください。時間にして30秒もありません。繰り返しますが、ガンガン混ぜる。

この場合は決して、パスタをソースで煮るわけではないんです。パスタとソースを絡めるとか合わせるとか、そんなイメージです。

万が一、ソースが足りなくてドライになってしまったらオイルを少しだけ加えてください。パスタ水とオイルは状況によって使い分けますが、この分量とやりかたですと、オイルがいいと思います。

一本パスタを味見してから、盛り付けましょう。

仕上げにEXvオリーブオイルを回しかけます。

テーブルにオイルを置いて回しかけてもいいかもしれません。

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イエー。

写真は2人分。


☆おまけ。

冷凍のシーフードミックスを使う場合。

溶かして、水で洗って、塩と白ワインで揉んで、再度水で洗って汚れを取って、貝類と同じように白ワインで蒸す。これを下処理として、後は同じように作れば美味しくできますよ。


読んでいただいてありがとうございました。

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