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「みんなが一緒につくっていく、それこそがものづくり。」- ゲスト編 #01 伊藤祐輝さん

こんにちは、小布施短編映画祭広報です。

「わたしと映画祭」ゲスト編では、小布施短編映画祭に過去に関わってくださった方や応援してくださっている方をご紹介していきます!

第一弾では、俳優の伊藤祐輝さんにお越しいただきました!昨年の1月、外山文治監督と石橋夕帆監督を講師に迎えた、映像演技ワークショップに参加してくださいました。ワークショップへの熱い思いや、役者人生についてじっくりお話を伺いました。

インタビュアーは、木口幸祐(以下、愛称「きろ」)、高橋郷(以下、ごう)、石山咲(以下、さき)の3名が務めました。

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まずは、映像演技ワークショップの振り返り。

さき ワークショップで、伊藤さんご自身の目標はありましたか?

伊藤さん この職業だと、撮影現場では失敗できないんです。ある程度完成させた演技を持ってって、OKが出るというのが俳優部の仕事なので。そうすると、保守的になりやすいんですよ。守りに入りやすい。だから、その場で失敗して、その場で学ぶっていうのはちょっとできません。それとは違って、ワークショップでは、思い切り失敗しに行こうというか、絶対うまくやらないって思ってました。

だから最初の夜に外山監督に、「この台本、こういう解釈も思い浮かんでるんですけど、どうでしょう?」て言ったんです。そしたら、「それをやってよ。それをやって失敗するのが、年上の役割でしょ」って言ってくださいました。

さき そうした心意気で臨んで、実際はどんな学びがありましたか?

伊藤さん ワークショップの3日目は、石橋監督の指導の元、作品を作ったんですけど。みんな朝からトポスっていうすごい雰囲気のある場所で話し合って、夜から撮影がクライマックスに向かって行きました。石橋監督は、「私が引っ張っていく」っていうより、「みんなで作っていく」っていう感じだったので、こんなに撮影現場って楽しいんだって思いました。それこそ木口くんも、「この人はプロデューサー経験があるのかな」っていうぐらい、映画人の動きをしながら運んでくれたりとか。一つになってるなって感じました。これがものづくりか、と。
僕が仕事としていく現場でも、すごいプラスになりましたね。「俳優部は一番遅く入って、早く出ていくから誰とも仲良くなれない」って、勝手に自分が思い込んでただけなんだ、って思いました。

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                                                                                                               ©︎植田陽

きろ 嬉しいですね〜、そういってくださるのは。

さき 小布施という、ふだんと違う場所にいくからこそ新しい気づきがあるという部分もあるんでしょうね。

伊藤さん そうですね。もし東京で3日間だったら、1回家帰っちゃうからね。

さき ワークショップでは、自分より若い人が多かったというお話でしたが、自分が役者を始めた頃のことを思い出しましたか?

伊藤さん 僕の若い時よりは、みなさんしっかりしてたな。僕と同じ過ちは繰り返してないと思った。でも、みんな悩んではいますよね。その悩みのベクトルは違えど、日本で役者をやっていくっていうことは、そうそう簡単なルートではない気がするので。
最初の自己紹介で、参加者の一人が、今ちょっと悩んでてって言って、のっけから泣いたんですよね。僕としてはあそこで完全にスイッチが入りました。彼の涙によって、俺も絶対にさらけ出そうと。「みんな悩んでるよね。絶対答え見つけて帰ろうね。」って思いました。
大丈夫ですか、僕こんな熱くなっちゃって笑

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きろ 来年もぜひきてください笑

ここから、伊藤さんがご自身の役者人生について語ってくださいます。

さき 日本は役者をやるのは大変だとおっしゃっていましたが、それでもなお、伊藤さんが役者を目指したいと思ったきっかけは何だったんですか?

伊藤さん 高校3年生の時に、ダンスとか歌とかで、ステージの上で拍手されたい!と漠然と思って、スタジオとか行ってみたんですけど、やっぱ札幌だったんで、少ないんですよ。今からやってみるのは大変だな、才能溢れる人多いし、と思って。でも、芝居だったら、高3でも間に合うかなってほんと下心で始めました。
劇団の団長さんが、本当にちっちゃいスタジオで教えてくださったんです。生徒は3人。「3時間くらい木になってみましょう」と言われたんですね。
部屋を暗くして、寝そべって、「あなたは土の中に埋まっている種です」と言われました。そのうち、発芽して、手を伸ばしてみたりするんですよ。まあそれは恥ずかしいですよ。高3ですから。モテたい時期ですから。なんで俺がこんなとこでこんなことやってるんだろうって。
秋を迎えて、葉っぱが落ちて、また春になって、小鳥がやってくる。始めてから、2時間くらい経った時ですね。小鳥がちゅんちゅんとやってきて、僕の葉っぱにとまった気がしたんですよ。もうゾワゾワゾワってなって。18歳のそのときまで感じたことのない、「見えないものが見える感覚」を知って、芝居おもしろ!ってなったんです。

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さき お芝居面白いなっていうのは、今日々お仕事をする中でも感じますか?

伊藤さん 全然感じないですね。感じたいけど、もう雑念とか、ここうまくやんなきゃとか、失敗できないとか。もうそんなのが入って、あの無垢な感覚は、ぜんぜん味わってないですけど。
でもたまにあります。ワークショップの撮影で、自分の愛するパートナーに真実を伝えなきゃいけないっていうシーンがありました。あのとき、「NG出してもなんでもいいから、彼女を安心させよう、その目的のためだけにやってる」って感じたんです。その濃密な感覚を感じさせてくれる。それがやっぱり、芝居の醍醐味だなと思いますね。

映画の話もやっぱりしなきゃ!

さき いま一押しの映画はありますか?

伊藤さん ソワレですね。(即答)

きろ 僕、ソワレ2回観ました。
こないだテアトル新宿行ったら、道中でもシアターでも、ワークショップに参加してくださった俳優の方にたくさん会って。

伊藤さん テアトルあたりは小布施密度が高いんだね。

いやあ本気を観ましたよ、外山監督の。本当に、誰かを救う気で作ってるなって思ったし。もう信じてますよね、作品に何ができるか、すごい信じて作ってるって。役者のことももちろん信じてるし。
やっぱり政治とか、世の中の動向見てるとね、映画でできることなんて少ないって考えやすいけど、外山さんは、全然諦めてない。そりゃあ小布施のワークショップもみんな泣くよなあって思って。すごい方ですね。

あと、おすすめの映画でいうとわたくしが出演した映画が、9月18日からでですね。Daughtersっていう。

さき 私この間予告編見ました!

伊藤さん あ、ほんとに?
ほぼ全編中目黒ロケっていう、とってもおしゃれな映画です。
東京ガールズコレクションなどの総合演出もされてる、津田肇さんの初長編映画で。三好彩花さんと阿部純子さんが、すごい素敵な演技です。

きろ 阿部純子さんいいですよね。

伊藤さん 今回阿部純子さんとがっつり絡む役だったけど、ただのファンになりましたね笑
予告の感じが好きなら、見てみてください。
急に僕出てくるので驚かないでね。

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最後に、カメラマンに徹していたごうくんから、こんな質問が!

ごう 夢はあるけど、不安はある。そんな役者を目指す人たちに、どんなメッセージを伝えたいですか。

伊藤さん うーん、メッセージかあ。本当は、「ぜひやりましょう!」って言いたいんですけど、自分が辿ってきた道を見ると、そう易々と言えないというか。おこがましいですし。
それに、けっこう役者ってそれぞれで違う悩みを持ってるんですね。100m走で言えば決まったやり方があるけど、芝居は台本の覚え方一つでそれぞれ違う。
でも、芝居とか役者に興味がある人がいるっていうことは嬉しいし、ありがたいですよね。それこそ、3日間寝食を共にして、芝居するっていう狂気じみた小布施ワークショップを楽しいって思う人たちがいる、そんな変な世界ですから。
一つ言えることは、現場でお会いしたいってことです。現場で一緒に芝居させていただきたいと思います。それしか言えないし、それが俳優部は全てだと思ってしまいますね。

ごう 言葉というより、現場で肌で感じるものが大きいんですね。貴重なお話ありがとうございました!

映像演技ワークショップへの熱々の思いを語ってくださった伊藤さん、ありがとうございました!今年もみなさん奮ってご応募くださいね。

9月18日公開!伊藤さん出演の映画:
Daughters 』(2020) 脚本・監督:津田肇

伊藤さん・きろさんの激推し作品:
ソワレ』(2020)監督 外山文治


伊藤祐輝さん プロフィール
1987年生まれ。北海道出身。2009年、映画『ぼくはうみがみたくなりました』で主演デビュー。
主な作品に映画『武士の家計簿』『シン・ゴジラ』ドラマ「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-3rd season 」
9月18日から公開予定の映画『Daughters』に出演。
Twitter @yi0124 






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