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人ではなく関係性を見つめ直す

誰かと問題が起こったとき「あの人って問題だよね」と考えがちです。でも、人の問題ではなく関係性の問題として捉えた方が、より本質的で、解決策を見つけやすくなるのではないでしょうか。

関係性の問題とはどういうことか

僕がある人のことを「あいつ嫌な奴だな」と思っているとします。仮にその人をAさんとしましょう。Aさんにしてみれば、僕のことを「感じの悪い奴だ」と思っているかもしれません。

僕が「嫌な人」としているAさんのことを、Aさんの周囲の人はどう思っているでしょうか。

例えばAさんに50人の知り合いがいたとして、50人中50人が僕と同じように「Aは嫌な人」と考えているかといえば、まったく違うはず。もちろん中には「嫌な人」と思っている人もいるかもしれませんが、「大好き」という人だっているはずですし、「信頼できる」とか「楽しい人」とかいう風に感じている人もいるはずです。

ということは、「Aさん=嫌な人」ではないわけですから、問題はAさん単体ではなく、Aさんと僕の「関係性」にあると考えることが出来ます。

アルコール依存症を関係性の病としてとらえる

精神医学における共依存の問題で明らかにされたように、「この人の病」だと考えられていても、それを「関係性の病」だととらえることが出来ます。

例えば、アルコール依存症で暴力をふるう配偶者と、やっと別れた人がいたとします。やっと別れて、今度は違う人と付き合い始めたのに、その相手もまたアルコール依存や暴力の傾向がある──こんな「不可解な繰り返し」が、米国のソーシャルワーカーの間で認知されたことが、こうした関係性の病の理解を進めたと言われています。

普通に考えれば、「アルコールに依存して配偶者に暴力をふるう人」が問題ですが、それに「支え手」としてかかわる“被害者”の側にも問題が隠れている。そうした病的な関係性を維持・継続する必要が、両者の間にある。それが、関係性の病です。

関係性の問題は至るところにある

こうして考えてくると、「関係性の問題」は至るところにあることが分かります。例えば、学校に行きたくないという子どもがいれば、すぐに「子どもの問題」と考えられますが、「子どもと学校の関係性の問題」だと言えます。

「学校」の部分は「会社」とか「お店」とか「地域社会」とか「サークルやコミュニティ」に置き換えられます。
「子ども」の部分は、「私」にも「周囲の人」にも置き換えられます。

関係性の問題は、片方だけががんばっても、なかなか解決しません。片方が問題から本当に解放されると、もう片方もそうなると言えるほど、強く関係し合っているからです。

問題に直面して、「自分が悪い」と簡単に話を終わらせず、自分が関与しているかもしれない「関係性の問題」を疑ってみることも、必要な視点だと言えるのではないでしょうか。

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