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【王道とニッチの狭間(好きな映画について)】

僕は今まで映画をあまり見ませんでした。
何故なら見ている間、他に何もできないから。あと"今から2時間神経を研ぎ澄まし、全ての情報を受け取るんだ!"と身構えるせいか…
1回で読み取ろうとしてしまうので、疲れて何回も見られない。音楽みたいに1曲5分とかなら分かるのだけれど。

とまぁそんな僕でしたが、最近は少しづつ映画を見るのに慣れ、自分が好きな作品傾向も分かってきました。そこで気付いたのが"僕の好きな映画は、好きな音楽と共通点がある"ということです。どこが似ているのか?僕は王道とニッチの間を絶妙に縫っている作品が好きという点です。
坂本龍一氏だったかな?が言っていたけれど
「ポップな曲を書ける人は沢山いるし、振り切った曲も作り易いが、間を突くってのが1番難しい。」だっけな…僕もそう思う。
そういった点を踏まえて頂いた上で、僕が好きな映画を3つご紹介します。


■チャッピー

チャッピーはSF作品です。
リアリティー路線で非現実的要素が出てくると基本萎えるのですが、SFはハナから非現実モノとして見るので大丈夫という…
ざっくり内容をご説明すると

2016年、ヨハネスブルグ。犯罪多発都市で生まれたAI搭載ロボット・チャッピーは、子どものような状態だったが急速に成長していき、5日ばかりの寿命を燃やす。そして人を好きになり、逞しさや死を学び、生きたいと願い始める。(wikiより)

もう少し詳しく話すと、犯罪の鎮圧に人命を賭けたくない為、指示統制の警察ロボットが導入された時代に、テスト的にAIを載せた警察ロボット1台がギャングに奪われ、戦闘教育を受けるという話!
この作品はスピード感があるし飽きない。しかも予想できない展開、かつ伏線もちゃんとあった。笑いあり涙ありの秀逸な作品です。

あとギャング役で出たラップグループの"ダイ・アントワード"の2人が好演!俳優かと思った…


■ノーカントリー

前半〜中盤見ているときの感想は、正直"スピード感あってまぁ面白いかな"くらいでした。
しかし本当の面白さを感じたのは、映画が終わって解説サイトを見てからです…映画においての"観後高評価"って初でした!
ざっくり内容をご説明すると

メキシコ国境に近いテキサスの荒野。帰還兵の男が、麻薬取引中に銃撃戦が行われたと思しき現場に出くわす。複数の死体の近くには、200万ドルの大金が残されていた。彼は、危険と知りつつそれを持ち帰ってしまう。そしてそれがきっかけで、冷酷な謎の暗殺者に追われる身となる。(wikiより)

自分の場合、分からない作品はあくまで"分からない"という評価→つまりは"評価できない"のですが("分からないけれどよかった"って評価こそ分からない、高尚なものを理解できなかった恥じらいが反映された不正直な意見って感じ。でも分からないからって酷評するのも違うと思う。)
この作品は伏線の印象と違和感を頭に残しながら、えっ? って終わり方をして、後で解説読んだら綺麗に繋がるという…

例えば、あちこちに違和感を差し込んでおき、ファンにあれこれ考察させるような"観客に解釈を投げる作品"、悪く言うと"勝手に深掘りさせとけ系"は個人的に嫌いなのです。
そういった点でこの作品は、全てが計算されていたことを思い知らされる…無意味な違和感ではなく、全て意図して与えられた違和感で、それらがキーになり1つの物語を成しているのです。

あと、こういう構成って"削いで作るのかな?"と思いました。例えば楽曲アレンジで、まず合いそうな楽器フレーズを全てのせて、そこから今度はいろんなパターンで楽器を抜いてミニマルな洗練を与えるような作業。この映画の場合は"全てを筋が通るように作ってから、物語が崩れ過ぎない、視聴者に好き勝手に解釈する幅を与えないギリギリまで削った"ってイメージ。もっとシーンを差し込み、長く分かりやすくも作れるはずだが、この削り方が無二のスリルと整合性、スピード感を作っているのかもしれない。

悪役"シガー"のハビエル・バルデムの狂った演技も良い。


■ハウスジャックビルト

ダンサーインザダークで有名なラースフォントリアー監督の作品です。あちらは撮り方がインディー感強過ぎて、あまり受けつけなかったのですが、こちらは手ぶれ感も良い塩梅。(個人的には) 
ざっくり内容をご説明すると

建築家を目指す潔癖症の男が、ある日、車が故障して困っている女性を助けようとするが、衝動的に殺してしまう。これをきっかけに、まるで理想の家の建築を追求するかのように、その後12年にも渡って殺人を重ねていく。(wikiより)

…これは僕の趣味ゆえの高評価ですね。作品の完全度が高いというより、好き。
殺人鬼ジャックの犯行は大胆で、好奇心に満ち、一貫した哲学の元に遂行される。何も持っていなかった男が殺人を通し、社会への適応力も見せていくが、そんな男の最終的に行き着く先は?自分としてはそんな話に思えました。
ジャックの哲学は利己的・非人道的と前置きした上での話ですが、いつだって満たされない中で創作をし、作って失ってを繰り返しているクリエイターには共感するところもあるんじゃないだろうか?

デザイン、音楽のセンスもとても好き。



…以上です。またね!

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