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夜歩く

学生時代、飲食店でバイトをしていた時、同じバイト先の友人と深夜歩いて帰ることが好きだった。

その友人はお店の最寄り駅から3駅ほど先に住んでいて、時折バイトが終わってから歩いて帰っていた。それによくついていったのだ。
彼女と話しながら歩くことは楽しかったし、そういう誰かとの思い出ってすごく大事だった。決して虚しくはなかった。

「夜歩く」のは社会人になってからもハマった。
ある会社を転職した後のことだった。
夜中に2駅先まで行ってみたり、1時間半ぐらい歩き続けたりしたこともあった。

最初はワクワクした。開拓してるみたいだったから。
でも途中でできなくなった。虚しくなるからだ。
「こんな歩いててもどこにも行けない、何にもならない」という気持ちになった。

その出来事の前、前職では営業をしていた。徒歩で出勤していた。
その時は毎日目標を達成できるか緊張感を感じながら出社して、達成できそうだったり大型の受注ができたりした日の帰り道は本当にドキドキしながら帰った。
朝、人混みの中を歩く時は大きな波が目の前にあるような気持ちになって、今日もこの波を越えられるだろうかとハラハラした。
それまでにないほどの受注額を達成できそうだった日の夜、大通り沿いを車のライトにチカチカ照らされて帰りながら、戦ってるみたいだって思った。
あの時の感覚はただひたすら歩いている時とは正反対のものだった。

散歩自体は悪いことじゃないけれど、ほどほどにしようと思う。

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