この世には2つの悲しみがある、花粉と花粉だ

花粉症にはつらくて悲しい出来事が二つある。

一つは単純に症状の苦しさ。何をしても手つかずで落ち着かない。著しい集中力の低下。頭がぼーっとして常に風邪っぽい。くしゃみしまくったせいで赤い鼻たまに鼻血。目が痒くて痒くて指先でアイホールをクリクリ押すだけでは辛抱たまらず、家に着いた途端に思い切り掻いて掻いて掻きまくったときのいっときの開放感そして悔恨。五分で崩れ落ちる化粧。湯水のように減っていくボックスティッシュ。ゴミ箱いっぱいに散乱したティッシュの残骸。朝目覚めた瞬間から鼻を突き抜けるむず痒さからのモーニングアタック。出先で薬が切れはじめたときの絶望。ハァスッスハァスッスと一秒おきに鼻水をすすっていないと永遠に垂れ下がってくる妙にサラッとした透明の液体が憎らしい。

コロナ禍で義務付けられた(職場)マスクに何度救われたことか。

本当につらい、つらくて悲しい。
しかし、現代は花粉症患者が全国の多くを占めており、けしてマイノリティではない。つらさをわかってもらえるのは想像以上に支えになるものだ。花粉症?つらいよね〜と言い合うだけでなんだかんだイライラは軽減される。仲間がいるって素敵。

二つ目の悲しみ。それは、猛威を奮っていたスギちゃんもそろそろワイルドからマイルドになるぜぇ?という四月の頭頃。

「あれ? ヒノキも? そっか〜私はスギだけだから😅」

花粉症患者内部から離脱者が現れはじめる。昨日まで一緒に鼻から透明の液垂らしてたくせに、妙にすました顔してお大事に〜とか言う。

この裏切り者が!!!!!!!!!!


嘘。
言いません。言いませんそんなこと。
2月3月を共に乗り切った同志ですもの。幸せになって。一緒に婚活してた友達の結婚を祝福するときってこんな気持ちなんだろうか。婚活、したことないが。

ヒノキもというか、黄砂もPMナントカも併発しているが、私は私なりに頑張って抜け出すから風切って先へ行ってほしい。
が、まあ、この分断が起こり始めると気分的に悲しいのだ。仲間が減るってつまんない。

私の花粉症が終わるのはだいたいGWの終わり頃だ。長いとなぜか6月まで引っ張るが、それでも今ほど症状が酷いということはない。
5月になったら生き生きと飛び出す。激しい雷雨のあとの、差し昇った強い太陽に手をかざす。ついに自由だ、と。

ブタクサ「こんにちは〜😆」

おや?鼻がムズムズとしはじめて……。

────完────

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