鵲の羽、星空
「昨日ね、なかなか眠れなくて。最近ご飯もあんまり食べられなくてさ、帰ったらすぐぐったりしちゃうんだよね。」
「そっかそっか。最近忙しいもんね。チョコなら食べれる?あげよっか?」
当たり前のように、そう話を聞いてくれた人。
それを、当たり前だと思っていたこと。
当たり前のように、自分は人の話をそう受け止められないこと。
洗い物をし、洗濯物を畳み、メモ書きを残し、私を起こさないようにそっと働きに出る母のこと。
それを当たり前だと思っていたこと。自分はそう強くなれないこと。
自分がそうされたように、他者を許し、優しさを持つこと。それが決して容易くないこと。
許せる人は、強い。
きっと、強さは、目立たなくて小さいもの。
天の川に鵲の羽を重ねることが出来ない人には、きっと見えないもの。
どうかいつか、鵲のように羽をひとつずつ並べて、優しさと強さに満ちた、橋を架けられますように。
その日を願って、今日は星空を見ながら、おやすみ。
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