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ちよだニャンとなるcafe神田神保町

その2 ちよだニャンとなる会について

 千代田区は2011年に全国初の「猫の殺処分ゼロ」を実現したのをご存じで
しょうか?
そして殺処分ゼロを10年継続しているということも。
 
そのために日々奔走しているのが「ちよだニャンとなるcafe神田神保町(以下ニャンとなるcafe)を運営している、一般財団法人ちよだニャンとなる会(以下ニャンとなる会)です。
 今回はニャンとなる会副代表古川尚美(ふるかわなおみ)さんに、ニャンとなる会設立と、ニャンとなるcafeオープンに至った経緯についてお伺いしました。
 
 
ニャンとなる会設立について
「千代田区も、いわゆる野良猫がいっぱいいた時代がありました。すると他のお家のお庭に入り込んで「汚い、臭い」などの苦情や、車に轢かれる等の事故も後を絶たず。そこで環境の改善を目的に、千代田区で「飼い主のいない猫の去勢・不妊手術費助成事業」がスタートしました。ただ、猫はたくさんいますし、飼い猫と野良猫の識別も難しく。保健所だけでは対応しきれないので千代田区がボランティアを集めました。そこが元々の始まりです」と、古川さん。
 
初代の代表は栗原環(くりはらたまき)さん。現在は香取章子(かとりあきこ)さんが代表を務めています。
ボランティアの方々は、開始当時はやはり昼間活動できる、主婦の皆さんが中心で集まっていたそうです。
 
そして千代田区がボランティアを募集した1年後には、登録ボランティア達がネットワーク力を活かし、現在の前身であるボランティア・グループ
ちよだニャンとなる会」を発足。驚きの早さです。
「立ち上げたというより自然発生的に皆さん『ニャンとかなるだろう』って。会の名前も誰がつけたかわからない状況なんですよ」と笑う古川さん。
 
その後、ボランティアの皆さんの善意による懸命なTNR(Trap、Neuter、Return = 一時保護/去勢・不妊手術/元の場所に戻す取り組み)活動のおかげで、手術を施された猫が増え、それとともに新たに生まれて亡くなってしまう猫も目に見えて減っていったそうです。
 
「他の区でもこういった取り組みはありますが、千代田区では行政が声をかけ、区から発生したという点がすごく大きな違いで。だからうまくいっている部分もあると思います。また千代田区は人口が約6万人と少ないので、つながりやすいというのもあるのでは」と古川さんは分析します。

古川さんが会に関わる事になったのは2010年。勤務先の麹町で昼の休憩時間に、車にはねられて瀕死の状態の猫を見つけます。見過ごすことが出来ず、とっさにコピー用紙の空き箱に入れ、千代田保健所に電話しました。するとまもなく保健所職員とやってきたのが、今の代表香取章子さん。これが代表との初めての出会いでした。
 
「本当にすばらしい。千代田区にこういう活動があるんだと思いました」
IT会社を経営している古川さん。当時はまだあまり盛んではなかったSNSで発信する事を思いつきます。
「Facebookだったら無料で開設できるので。ちよだニャンとなる会のFacebookを作って皆さんで運営していただいてと、当初はお礼のつもりで作りました」
しかし、いざ作ってみると皆さんそれぞれにお忙しく、お手伝いをしているうちに気付けば副代表として今日に至っていると話す古川さん。今では常に猫とボランティアの方々に寄り添う日々を過ごされています。

 
老猫ホスピス併用の保護猫カフェオープンへ
初代の代表の頃は手術をして元の場所に戻すという活動が主だったそうですが、時を経て、長生きしたその猫たちが今度は具合が悪くなり倒れているのを目の当たりにするようになったといいます。
「そういう子達は、やはりもう一度保護して具合が悪ければちゃんとケアをしてやるのが私たちの役目だろうと。活動が進むうちにフェーズが変わってきましたね」


2018年に先にオープンした秋葉原の1号店も、基本的には大人の猫しかいないそうです。
「あちらの店にも看取りの子が2頭います。看取りの子がいるということは、その子が亡くなるまで枠が空かないということです。瀕死の状態で保護した子も、病院でちゃんとケアすると元気になって3年生きている子もいます。なので、もう一店舗ないと厳しいなと。高齢の猫を保護することの方が多いので」
高齢の猫を保護することの方が多くなったのは、今まで継続してきたTNR活動により、新しい赤ちゃんが生まれなくなったため。それは、保護活動が新たな段階に進んでいる事を示していました。その進化が新たに神保町店をオープンさせることに繋がりました。
 
物件探しは1店目と2店目ではかなり状況が違ったそうです。
「以前はこういう事をやりたいと言っても、不動産屋さんに鼻にもかけてもらえなくて。「猫カフェなんてとんでもない」って感じで。秋葉原店は元々あずま旅館という70年ぐらい前の古民家なのですが、オーナーがやはり猫の活動をされていて。それで頼み込んで一部を借りて運営しています」
 
そんな苦労を伴う物件探しも、コロナ禍で状況が一変したといいます。
「コロナ禍でテナントが空いちゃうじゃないですか。なので、私たちにとっては逆にチャンスだったわけです」
そうして誕生したのが「ニャンとなるcafe神田神保町」なのです。
 
神保町を選んだ理由をうかがうと、
「やはり神保町は千代田区の中でも本屋街もあり雰囲気もいいので」
確かに。本屋街と猫。絶妙な組み合わせですよね♪
 

「うちは、子猫は全くいなくて。手前の子は10才、奥の子は15才」
ケージの中ですやすや眠っている猫たちをやさしく見守りながら、
「この子たちは譲渡が難しいと思うので、今後も元気にここで過ごしてくれればと思っています」と語る古川さん。
 
過酷な環境を生き抜いて、ようやく終の棲家にたどり着いた猫たち。
飼い主のいない猫たちが、より良い一生を送ることが出来るよう、ニャンとなる会の活動は続いていきます。
(いしい)
 
ちよだニャンとなる会HP↓
https://www.chiyoda-nyan.org/


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