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多目的トイレは、欲望を果たすところではない

コロナのニュースばかりで疲れていた時、多目的トイレでいかがわしいことを行ったということが芸能ニュースで騒がれていた。

私は最近多目的トイレについて札幌市と語り合い、どんなトイレが良いのかを一緒に考えていた。

一番重要なことは「多目的トイレだけを独立させてはいけない」ということだ。

一般のトイレと同じようにドアの上と下を開け、一般のトイレと同じ並びに設置することが大切だと思っている。

障がい者トイレとの戦いの始まり

私が20歳の時、母がハワイに連れていってくれた。
その理由は脳性まひ者は35歳までしか生きられない時代であり、はやく楽しい所に連れていかなければならないという母の思いからであった。

20歳前後の時は年上の脳性まひ者の人たちと会議のようなことを行っていた。年上の人が次々と来なくなる。「なぜあの人、最近来ないの?」と聞くと、みんな下を向き黙ってしまった。本当に脳性まひは長生きできない時代があったのである。

この時私は、世界中を回りたくさんの国の多目的トイレを見ることになるとは思ってもいなかった。

ハワイのトイレに行った時、どのトイレも幅が広く手すりがあった。車椅子で使えるようになっていた。
(あ~このようなトイレが良いのだな、どのトイレも障がい者も障がいのない人も使える。何か危険なことがあったなら、叫んだら誰かがやってくる。分けてはいけない。)と思った。

ハワイのトイレを見たことが生かされた時

1977年に札幌に道立近代美術館ができた。
当時、私は絵を習っていた。この絵で生活できないかなと真剣に足指で描いていた。

絵の先生が、「美智子ちゃんに聞きたいことがあるの。すばらしい美術館ができるのだけど、何か障がい者の人たちが使いやすくできることはない?」と聞いてくださった。

私はまだその時は障がい者運動などを行ってはいなかったので、ちょっと困った。
でもハワイのトイレが目に浮かび、「一般のトイレの中に障がい者トイレをはめ込んでほしい、分けてしまうのは良くないことだと思うの。」と言うと、先生は私の意見を伝えてくださった。

そして、一般のトイレの間に障がい者トイレができた。

私はこのような良いトイレができたのだから、北海道中このようなトイレができると信じていた。ところが、お役所の仕事は横のつながりがなく、良いものを作っても情報を共有しないのだろうか。
このようなトイレは後に北海道にできることはなかった。言い続けなかった私が悪かったのか…。

多目的トイレは犯罪の穴場

世界中の障がい者トイレは天井から床まで壁を作ってしまい、入ってしまうと中で何が起こっているか分からない。私は世界中を回り、多目的トイレの失敗を何度も見てきた。

ヨーロッパやアメリカなどでは、公園などに多目的トイレがあるのに鍵をかけてチェーンでトイレを巻き付けている。そういうトイレを何個見てきただろうか。なぜトイレを高いお金を使い作ったのに、鍵をかけてしまうのか。不思議だった。

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写真はニューヨークの地下鉄の多目的トイレです。鍵がかかっています。


通訳の人に聞くと、「障がい者のトイレは広いからね。女性を無理やって引っ張って強姦する事件が多いのよね。残念だわ。」と言った。

世界で私が見たものは、多目的トイレの形は失敗だったということを物語っている。1980年代障がい者の世界会議などがたくさん行われていた時、トイレの問題を誰も言わなかったことが失敗だったと思う。

トイレで愛は生まれない

芸能界の不倫騒動で、私は最初はコロナニュースよか良いかなと面白く見ていたが、だんだん辛くなってきた。あそこまで事細かに不倫のことを暴くことは、誰にできるだろうか。

人間として生まれたなら性欲はある。私も若いときにはいつも誰か抱きしめてくれないかなという気持ちはあった。障がい者が本当の恋愛をし、性を求めていくには障がいのない人の何倍ものエネルギーがいる。常に男性を口説くために女優を演じていたような気がする。

不倫はもちろんいけないことだが、誰しも心の中に潜んでいるものだと思う。人の不幸は蜜より甘いという言葉通り、週刊誌が売れる。

トイレの問題はいつ解決するのか

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上の写真は札幌市生涯学習センターちえりあの多目的トイレです。
手すりがつかみにくく、車いすのステップが入っていかないので転んだ人が何人もいます。使いやすいと言う人がいるのかどうか…

とにかく、多目的トイレでセックスはしてほしくない。最近では障がい者トイレではなく、多目的トイレと名前が付いてしまった。本当に使いたい人が使えない時がある。

高齢者は増えてきているので、お年寄りも使う。ベビーカーの人も使う。時折普通の男性がトイレから出て来て私に頭を下げる人がいる。その人は内部障がいかもしれない、障がいがないかもしれない。これからは、多目的トイレの設計を変えていかなければ、同じ事件が起きる。

障がい者施設では、男性職員も女性障がい者のトイレ介助をする。そこで男性職員は女性障がい者をレイプする事件が起こることもある。私の知っている人は被害に遭い、そのことに傷つき施設を出た。障がいが重い人なので家に帰っても大変だっただろう。

ともかく、多目的トイレには語りつくせない色々な問題があるということを障がい者自身が訴えなければいけない。不倫がどうのこうのと言っている時間が長すぎる。


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