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彼女は今どこにいるんだろう

前回の投稿に書いた学校に行かなくなったきっかけの女子と、成績トップを争っていたのは、友人のAちゃんだった。
彼女とは、高校3年頃に共通の友人の紹介で話すようになった。
父親が心臓にペースメーカーを入れており、家族で収入を補うために、部活にも入らず、アルバイトをしているということだった。高校卒業後は、看護学校に入って1日も早く収入を得られる仕事に就きたいと。

「発展途上国の援助にも興味ある?」とパンフレットをもらったこともある。勧誘ということでもなく、世界の貧困についても真剣に考えている様子に、まだ10代なのに偉いなと思った記憶がある。
自由にして良いお金が少しはあったのだろう。高校3年の時に、一緒に隣の県で行われた音楽フェスに行った写真が今でも実家に残っている。

結局、看護学校は学費が高いということで、鍼灸院の専門学校に行くと聞いていたけれど、高校卒業後予備校に通うために地元を離れた私は、その年に一度も地元に帰ることはなく、Aちゃんとは疎遠になっていた。
大学に入った年の夏だったと思う。再会した彼女は、付き合っている大学生の間に子どもができたと少し大きくなったお腹を見せてくれた。しかし半年後、再会したときは流産して体調が悪く、冷たいコップも持てないと震えていたことを覚えている。
その後、先方の両親のいる千葉に引っ越したと聞いたのが30年ぐらい前。
今はどうしているんだろう。

高校時代なんて自分のことばかり考えて、他人や世界のことなんて、考えられる余裕すらなかった。自分が不幸で辛いと悩んでばかりいた気がする。
いま思えば、かなり恵まれていたのだと感じる。

同い年の彼女。もうきっと子供を育てあげて、孫がいたりするのかもしれないなって。いつか会えたら良いな。



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