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渓畔林を守りたい。

 山を作る仕事(林業)に携わって8年になります。
 技術的にはまだまだですが、山への思いはずっと持ち続けています。
 子供の頃にうちの裏山で見たなんとも言えぬ美しい風景が頭の中に残っているからです。60年前の記憶ですが、その記憶の風景を求めて、僕は山の仕事をやっています。

 子供の頃、里山にはものすごくたくさんの虫や鳥がいました。小さな魚もたくさんいました。
 小川のせせらぎ、夕焼け空、きのこ採り、蚊帳、秋の紅葉、カブトムシ・・・
 そういうものが壊され、経済発展と引き換えに、自然環境の乏しい日本の国土になりました。 
 あれから60年経って、子供たちの世代は虫が嫌いになり、孫の世代はアレルギーも多くなっています。泥んこ遊びが好きではない世代では、バイキンに対抗する力が落ちているような気がします。

 「生き物が育たない環境では、人間も育たない」のではないでしょうか。
 大事なことは、生き物同士が「気持ちのつながり」を持つことではないかと。 
 親と子、動物と人、虫と虫、虫と人、植物と人が、つながる。
 動物や植物を食べるときにも「命をいただく」というつながりがある。
 気持ちのつながり=愛情と言っても良いでしょう。
 だから、そういうつながりを持ったモノに対して、人は粗末にしないし、大事にします。
 スーパーには農薬漬けの野菜が並んでいて、魚の切り身しか見たことがない人たちがる。いらない食品が山のように捨てられる・・・
 ありがたさがわからないから、粗末にするのかもしれません。

 つながりは、人と人の間では特に大事だと思います。
 幼児期の子供を思いっきり愛情を込めて育てると、その子が思春期を迎える頃になると、思いやりのできる人間性を持ってくれると言います。しかし、暴力やイジメの問題を起こす人たちは、幼少期に愛情がかけられていない、または、大きな声で怒られたりして、恐怖を感じたことがあるのだそうです。
 
 話がだいぶ横道にそれましたが、森は、人で言えば心臓です。
 ここで生まれた酸素が動物を育て、水蒸気が雲を作り、炭素が栄養源となり、虫を育て、小動物を育て、植物を育てる。
 森から流れる川は大動脈で、栄養を含んだ水が海に入って生き物を育みます。

 僕はその森を守りたい。
 人が利用し、壊してきた森を、できる限り再生したい。
 今よりももっと豊かな森に作り変えることによって、人が人として生きる道を知るべきだと思っています。
 そして、森の再生計画で、最も重要なポイントが「渓流」域であり、「渓畔林」の再生だろうと思います。続きはまた・・


参考:
https://www.agri-kanagawa.jp/sinrinken/tebiki/keihanrinseibishishin.pdf

https://www.ffpri.affrc.go.jp/thk/research/publication/ffpri/documents/20100228-8.pdf


 

 



 



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