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「変異株ワクチンはマウスの治験しかやってないから薬機法違反」は誤り

[2023/11/11作成]
「変異株ワクチンはマウスの治験しかやってないから薬機法違反」は誤り。合法的に一部変更承認申請で申請され承認されたもので、国際的にも非臨床で問題ないと確認されている。

【解説】
二価ワクチン(BA.1用)の承認時に、「成分に内容変更があるので新規の特例承認でなけれはならない。マウスの動物実験しかやっていない一部変更承認では薬機法違法である」と宝塚の医師が主張して署名を集めたことが発端。その後、有志医師の団体がチラシにして拡散した。
実際は「一部変更承認申請」で申請され、合法的に承認されている。ICMRAのCOVID-19変異株ワークショップ(2023/5/8)でも非臨床で問題ないと確認されており、欧米各国でも品質と非臨床のみで承認されている。

以下は、薬機法の承認に関する条文。
第1項で承認されたものに対し、一部変更や軽微な変更がある場合は、一部変更承認申請を申請、または軽微変更届を届け出る手続きをしなければならないと第15,16項に定められている。

◾️薬機法14条
医薬品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品を除く)、医薬部外品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。)又は厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。
◾️[緊急承認]14条2項2 (2022年改正にて追加)
第14条の承認の申請者が製造販売をしようとする物が、次の各号のいずれにも該当する医薬品として政令で定めるものである場合には、厚生労働大臣は、同条第2項(第3号ハに係る部分を除く)、第3項、第7項及び第11項の規定にかかわらず、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、その適正な使用の確保のために必要な条件及び二年を超えない範囲内の期限を付してその品目に係る同条の承認を与えることができる。
◾️[特例承認]14条3項
第14条の承認の申請者が製造販売をしようとする物が、次の各号のいずれにも該当する医薬品として政令で定めるものである場合には、厚生労働大臣は、同条第2項、第6項、第7項及び第11項の規定にかかわらず、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、その品目に係る同条の承認を与えることができる。
◾️薬機法14条15項
第1項の承認を受けた者は、当該品目について承認された事項の一部を変更しようとするとき(当該変更が厚生労働省令で定める軽微な変更であるときを除く)は、その変更について厚生労働大臣の承認を受けなければならない。この場合においては、第2項から第7項まで及び第10項から前項までの規定を準用する。
◾️薬機法14条16項
第1項の承認を受けた者は、前項の厚生労働省令で定める軽微な変更について、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣にその旨を届け出なければならない。

以下は、新変異株対応ワクチンの評価について、非臨床で問題ないとするICMRAの見解を示した「薬事・食品衛生審議会」の資料。

◾️薬事・食品衛生審議会(2023/7/31)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001128890.pdf 
「ICMRAのCOVID-19変異株ワークショップにおいて、現在承認されているワクチンについてはプラットフォームの対応が適応可能であり、そのような場合は、株変更に際して、確認的な品質及び非臨床データのみの資料提出でよいとの見解がある」
ICMRAから抜粋
There was consensus that a platform approach can be envisaged for the approval of strain changes for currently authorized or approved COVID-19 vaccines. Such approach would only require confirmatory quality and pre-clinical data at time of authorization or approval, provided post-authorization commitments regarding quality, vaccine effectiveness, immunogenicity, and safety data are put in place.

【追記】
ワクチンや治療薬の有効性・安全性については自己でご判断ください。当方は、皆さんが正しい情報を基に判断できるよう、デマの指摘に努めます。