「インフルの早期収束は新型コロナとのウイルス干渉」は誤り
[2024/3/9更新]
「インフルの早期収束は新型コロナとのウイルス干渉」は誤り。2024年1月の新型コロナとインフルの同時流行を見てもウイルス干渉説は否定される。新型コロナ発生当初の2020年は、記録的な暖冬とマスク手洗いうがい等の公衆衛生意識の高まりが、インフル感染抑制にも功を奏したと思われる。
【解説】
一般にウイルス干渉とは、ヒトの個体内の話なので、集団の環境下では異なるヒトに異なる感染症の同時発生は起こり得る。そもそも新型コロナとインフルエンザが干渉するかも明らかではない。豪州のツインデミック(2022/6)、米国トリプルデミック(2022/12)、日本の同時流行(2023/5〜,2024/1〜)を見ても、ウイルス干渉説は否定される。
2020年の新型コロナ感染初期においてインフル感染が抑制された原因をウイルス干渉とするのも誤りである。2020年6月の東京の抗体検査が0.1%しかないのに、その4ヶ月前から全国規模でウイルス干渉が起きていたとは考え難い。暖冬と公衆衛生意識の高まりが功を奏したと考える方が妥当である。また、例年は南半球から流入するウイルスが、先行した海外の感染対策で激減したことも要因と思われる。
「まだその頃は感染対策など誰もしていなかった」という意見があるが、2月初旬には衛生商品の不足が騒がれ、公衆衛生意識が高まっていた。
「新型コロナとインフルエンザは同じ地域で同じ時期に同じ規模では流行していない」とする論文があるが、これは感染のピークが同時に来ないということで、一方が消滅したわけではない。当研究の論文の結論でも、オミクロン株とインフルがウイルス干渉を起こすかは不明としている。
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