松本修『演出家の独り言』

松本修『演出家の独り言』

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【独り言】

 毎日、楽しく、たまあに難しい顔をして、稽古を進めています。日々ワークショップを積み重ねてきて、場面によってはそろそろ固めていこうか、という段階に差し掛かってきましたが、ここからが難しいところです。  セリフや動きを決めてこうとすると、途端に演技が硬直化してしまい、「それじゃあ、戯曲を使って稽古している普通の芝居作りと同じじゃねえか!」と声を荒げたくなったりします。ま、ご時世柄、優しく「もっと共演者の顔や体や自分のいる空間を見て、感じて、演じましょう。その中でセリフをまるで

    • 演出家の独り言

      『さようなら、シュルツ先生』の稽古は9月1日から始まるのだが、その前に数回ワークショップをやる。昨日がその第1回目で出演者の約三分の二が参加。蒸し暑い夕方、稽古場に向って歩いていると、ピカッと稲光、ゴロゴロと遠くに低音の響き。1時間前に埼玉からやって来る役者から「ゲリラ豪雨で今、電車停まってて、遅れます」とのLINE。それが新宿にもやって来たんだな。稽古場に入ろうとすると、ピカッ、ドッカーン、ザーッ!とまさにゲリラ。ただ、稽古場の中に入ると雨音も雷鳴もさほど気にならない。良い

      • 演出家の独り言

        「独り言」久しぶりの再開です。次回、公演のチラシが出来ました。紙媒体は印刷屋さんのお盆休み明けに上がりますが、SNS上では今日から公開です。どうぞご覧下さい! 昨年の11月に「MODE再起動」と称して、7年振りの東京公演をやりました。その時に取り上げたポーランドの小説家で画家のブルーノ・シュルツの作品を再び取り上げます。単なる再演ではありません。配役を変えます。演出を変えます。取り上げる原作(小説)も幾つか新規の作品を加えてみます。今回の公演のためのオーディションで出会った

        • 演出家の独り言

            昨秋の『さようなら、シュルツ先生』は、小説を基にワークショップを重ねて物語を舞台化してゆく作業で、いわばMODEの芝居作りの原点であった。MODEとしての創作を開始して最初の三年間はそういうやり方を続け、初めて戯曲通りの上演をしたのが1992年の『魚の祭』(作/柳美里)だった。ま、厳密に言うと「ほぼ戯曲通り」であったのだが。その後は1995年に『窓からあなたが見える―わが町・池袋―』(作/平田オリザ)、1998年『孤独な惑星』(作/スティーブン・ディーツ)、1999年『ガ

          今年もMODEをよろしくお願いします

             昨秋のMODE再起動公演『さようなら、シュルツ先生』は無事終了いたしました。ご来場いただきました皆様には心より感謝いたします。7年ぶりの東京での公演、果たしてお客様が来て下さるのか、ドキドキハラハラしておりましたが、お陰様で連日、客席はほぼ埋まり、ひと安心いたしました。とても嬉しかったです。  久々のMODE公演でしたので、せっかくですから題材も新たに挑戦する作家のものを取り上げてみました。ブルーノ・シュルツの作品はかつて何度も取り上げましたフランツ・カフカ作品と共通

          今年もMODEをよろしくお願いします

          「当日パンフレットより」

          稽古および公演初日を迎えるにあたりやることがこんなに多かったのかと久しぶりのMODE公演にいささか忙殺されている。昨年、大阪の小劇場で2つ公演をやったのだが、こんなに大変ではなかった。ひとつには作品が新作ではなく、かつて手掛けたことのある「戯曲」の再演だったということがあるだろう。「MODEの原点に還り、戯曲をそのまま上演するのではなく、ゼロからワークショップで立ち上げる……」と銘打ち、稽古を開始した今回、やはり「戯曲」があって上演を目指すのとは全然違うことに今更ながら気付い

          「当日パンフレットより」

          「いよいよ作品作りに着手」

           9月は『さようなら、シュルツ先生』の出演者計18人で五回にわたって「事前ワークショップ」をやってきた。どの回も10人~12人くらいの参加者で、俳優たちの方から「演じてみたい作品」や「観てみたい場面」を提出してもらい、私が適当にグループ分けして、シーン作りをやってもらった。最終日の24日だけは17人とほぼ全員が揃い、女性10人、男性7人が並ぶとなかなかの壮観だった。うん、この俳優たちがあの決して広くはない上野ストアハウスの空間に現れると、迫力あるだろうなあ、と想像する。静かな

          「いよいよ作品作りに着手」

          「ウォームアップ中」

           11月公演『さようなら、シュルツ先生』の出演者オーディションのC日程にはなんと22名!もの応募があった。直前になって急きょ、時間帯や会場を2つに分けたりして対応した。やはり、オーディション情報を流布するのが遅すぎたのかもしれない。しかし、参加者の年齢の高さをみるとやはり若い世代にとっては、MODEも松本修もカフカ・シリーズも「知りませーん」なんだろうな。  さて、例の如く緩(ゆる)いワークショップ形式で初日は1人の場面、2日目は数人の場面を演じてもらった。どちらもシュルツ

          「ウォームアップ中」

          「オーディション進行中」

          現在、11月公演『さようなら、シュルツ先生』の出演者を募るオーディションをやっている。すでにA日程、B日程を済ませ、残るはC日程。7年ぶりの東京での公演、この6年間の活動休止期間にMODEというカンパニーの名前はすっかり忘れられてしまったのか?それとも約三年間に及んだコロナ禍で東京の演劇状況が変わってしまったのか?はたまたオーディション情報の発信の仕方が今の東京の演劇スタイルに合っていなかったのか?少なくともA日程、B日程共にてんで人が集まらなくって、こんなこと以前はなかった

          「オーディション進行中」