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01.23|西宮@越谷|アンダーサイズの限界

バイウィークを挟んでB2もいよいよ後半戦。それを機に、外国籍選手を入れ替えてきたチームが結構あります。今節はその選手やチームへのフィットを中心に観ていこうと思います。

まずは西宮ストークス。起用法に不満を唱えていたアレクサンダー・ルオフとの契約を解除し、しばらく音沙汰がなくてどうするんだろうと思っていたら、シーズン序盤の佐賀で大活躍し、B1川崎との契約を勝ち取ったマット・ボンズが加入。さすがにバッツとブラッキンズのいる越谷相手に丸腰ではキツいよね。PFを補強してきました。だけど、ポジション登録はPFとはいえ身長は196cm。ほんとにアンダーサイズのPF好きね。と言うか、ほんとにPFなのか。また不満になったりしない?

ともあれ、25歳のボンズはいい選手です。西地区首位を走る佐賀バルーナーズの好スタートの立役者と言ってもいいくらい。佐賀では得点とリバウンドで平均ダブルダブルでしたが、ポイントゲッターというより味方の動きに合わせるのが上手いタイプ。自分でプレーをクリエイトする選手ではないため、優等生揃いの西宮のニーズにマッチしているのか微妙です。西宮はボールムーブとそれに合わせた人の動きによる軽快なパッシング・バスケットを目指していたわけですが、その核であったはずのルオフが退団。ボンズのプレーうんぬんではなく、何らかの方針転換が迫られているわけですが、それはフィッシャーHCにとっては不本意なものなのかどうなのか。

さて、ボンズはベンチスタート。西宮の戦術変更に注目していたのですが、何のことはなく、デクワン・ジョーンズにエースをやらせるのでした。日本人選手のシューティングが一向に改善しないため、仕方がないのかもしれないけれど、それでいいのか。良く言えば狙いどころがはっきりしているし、悪く言えば外国籍選手頼み。そのジョーンズと交代でボンズが登場。いきなりスティールから得点するなど、上々のデビューです。さらにオフェンスリバウンドから得点したり、リバウンドからそのままボールプッシュしてファウルドローするなど、エネルギッシュなプレーを見せます。セットオフェンスでも無難にスクリーン役をこなしています。

これをどのように評価するかは人それぞれでしょうが、私には「アクション」への反応が速いと映りました。オフェンスリバウンドなど50-50のボールに対する動き出しや、空いたスペースに走り込む動きなど、ハードワークで貢献できる。ただ、言い換えればそれは何かが起こった状況に対する「リアクション」であって、やっぱり自分で何かを始められるタイプではない。なので、自分でショットメイクできるジョーンズがいない代わりに道原や渡邉がプレーメイクしていて、そういう選手がいないとボンズもまた生きてこないのです。

ただ、2Qに入るとだんだんプレーの幅が広がってきて、スクリーンからポップしてボールをもらって仕掛けたりするように。これが得意なのかどうかわからないけれど、そうせざるを得ないのが西宮の現状なのかも。で、パスが上手いんだよね。ディフェンスを引っ張っておいて外側に開いた選手にいいパスを送るシーンが何度もありました。でも、そのパスを受けた選手のスリーがまったく決まらないんだよね。今シーズンはひたすら低空飛行を続ける西宮のシューティング。ワイドオープンがこれだけ決まらなければ、そりゃジョーンズに1on1をさせたくなるフィッシャーHCの気持ちもわからないではない。

対する越谷は正反対にスリーが恐ろしい確率で決まります。2Q後半に畳み掛けて、前半は越谷が18点リード。ボンズに限ってみればとてもいいプレーをしていましたが、まったく関係ない部分で大きな差がつきましたとさ。

さて、後半。シェイク・ムボジがファウルトラブルということもあり、ボンズが先発します。しかもバッツをマークさせるんだ。さすがはドゥレイロン・バーンズに長らく4番をやらせていたチームだけある。三つ子の魂百まで。ただ、オフェンスではむしろいい感じで、ゾーンを敷いてきた越谷に対して、ボンズとジョーンズが自在に動き回ってポジションを変え、隙を突いて決めていきます。ノーセンターだからそもそもゾーンが機能しないし、バッツやブラッキンズの運動量の問題でもある。

しかし、相変わらずスリーの落ちない越谷。バッツにボールが入ればボンズ一人に任せるわけにはいかない西宮はダブルチームに行かざるを得ず、裏にボールを通されて簡単に失点。まるで三河時代を彷彿とさせるバッツの使い方で、3Q残り5分で24点差。お疲れ様でしたと観るのを止めようとしたら、そこからなんと西宮が14−0のラン。ジョーンズのスリー2発&エンドワンに、越谷のミスからの得点も絡めて土俵際で踏みとどまります。その後、4Qに入って西宮は7点差くらいまでは縮めますが、バッツに入ればほぼ2点という越谷の確実性を上回るまでには至らず。越谷が逃げ切り勝ち。

いきなり26分ものプレータイムを得たボンズですが、西宮の粘りの一要素にはなっていて、これからも安定してプレータイムを得られるでしょう。けれど、ファウルトラブルもあったとはいえ、インサイドの守備が手薄という根本的な問題は改善されず。アンダーサイズをハードワークで補うには、やはり限界もある。後半はオフェンスでもそれほど目立ちませんでした。それも含めてちょっとがっかりしたのは、特に西宮の戦術や起用法に変更がなかったこと。ボンズを使うにはやっぱり高さが足りないため(4Qの追い上げ時も越谷にORBを許していた)、劉を使ったり何かしらの工夫があるかとも想像していたのですが。ジョーンズのスリーが7本(12本中)も決まったから良かったものの、シュートタッチが悪ければ試合になっていなかったでしょう。道原が積極的なドライブを見せていた以外には、気を吐く選手も見られず、ボンズの加入がカンフル剤になることはなさそうです。





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