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4.28|山形@東京Z|ランダル・シェア

久しぶりのnoteです。久しぶり過ぎてもう書き方を忘れてしまった。一旦、観戦するだけでアウトプットしなくなると、ポイントの見つけ方がわからなくなるというか、単に疲れていてボーッと観戦していただけなのか。ともかく、ずっと書きたいと思っていた山形ワイヴァンズについて、なんとかシーズン終了前に書く機会を得ることができました。

山形に注目するようになったのはシーズン中盤から。6連敗だったっけ? スタートに失敗して今季も低空飛行を続けるのかと思いきや、あれよあれよという間にワイルドカード争いに加わり、一時は仙台にも肉薄する勢いを見せました。怪我人やコロナの影響で終盤は香川や福島に詰め寄られたものの、めでたくプレーオフ進出確定。おめでとうございます。

そんな山形のバスケットボールのキーワードは「シェア」。主にスリーラインの外側にポジショニングし、外国籍選手のスクリーンやハンドオフを多用して全員でボールを回しながら得点機会を伺います。アンドリュー・ランダルという確固たる得点源はいるものの、輝いて見えるのはむしろ河野・中島の両ベテランガード。思い切りのいいドライブからのレイアップや精度の高いジャンプシュートでチームを引っ張ります。その動きに合わせ、空いているスペースに飛び込むカッティングがとにかく上手いイケメン・河邉。それらのムーブが上手くいかなくても、最後はエースのランダルがなんとかしてくれるよ。センターのキース・クラントンとシューターのランス・グルボーンも、スペシャルではないけれど、自分の得点パターンを確立した強みの選手たちです。

この試合でも、山形のチームバスケットの良さは存分に発揮されており、アスフレの守備を置いてけぼりにするシーンが何度も観られました。ランダルにボールを預け、ハンドオフで河野や中島がもらってリムへアタックしたり、スペースに飛び込んだ選手にランダルがアシストしたり。この試合は特にアスフレのディフェンスの悪さもあり、ランダルのスクリーナーやパサーとしての能力が存分に発揮されていました。アンセルフィッシュなエースはシェアを旗印に掲げる(いや勝手に言ってるだけだけどさ)山形にはぴったりの存在。グルボーンを怪我で欠くなど苦しい時期は、ボールシェアが上手くいかず停滞していました。

そんな印象をスタッツでも裏付けられないかと思って眺めていたものの、なかなか数字には現れないね。というかプレーオフチームとは思えないほど数字では目立たないんだ。FG%をはじめオフェンシブスタッツは軒並み下位。ディフェンスは頑張っていて失点は少ない(4位)ものの、スティールやブロックが取り立てて多いわけでもなく、リバウンド数は最下位。ファウルもかなり多いしね。

もう少し見てみよう。対戦相手のFG%を見ると昨シーズンよりも改善されていて、特に3FG%は34.5%→31.6%とかなりいい数字。これは群馬や仙台や西宮といった守備がいいとされるチームを上回っています。ひょっとするとB2で1位かも。誰か調べてみてください。また、フリースロー%では健闘していてリーグ4位(14.3/18.9=75.6%)。ターンオーバーも少なく(11.8本)こちらも4位です。

ポイントになりそうなのはペースの遅さ。76.3はB2で最も遅い数字です。これは「シェア」の山形ならば納得で、ボールを回す分、1回の攻撃に時間がかかるのは自明です。そうしてパスを回しながらもターンオーバーが少ないというのは、チームに戦術が浸透している証でしょうか。シュート機会が少ないだけにフリースローが貴重な得点源にもなるわけで、その確率がちゃんと高い点も同じことが言えるのかもしれません。なんだ、数字にも現れてるじゃないか(個人的感想)。ライコビッチ HCの指向でもありますが、ペースを落とすことで攻撃される機会を減らす、つまり失点を少なくすることで勝機を見出そうとする狙いもあるでしょう。決してタレントが揃っているわけではない山形のロスターを見れば、その戦略はふさわしいものなのではないかと思えます。

ボールシェアを大事にしつつ、自らの得点機会は逃すことなく、ペースは落としても着実に取れる点を取っていく。そんな山形のスタイルの中心にいるのはやはりアンドリュー・ランダルです。1試合の平均アシストは4.1でリーグ19位。リーグ2位の平均得点(23.8点)を稼ぎ、8.0本のリバウンドを取りながらのこの数字は見事というほ他はありません。アンセルフィッシュな点取り屋の存在は、今季の山形のシェアリングスタイルを象徴しているかのようでいて、ランダルが加わったからこそ実現できたカラーでもあるように思います。言い換えれば、ランダル自身のスキルセットをチームでシェアしているような感じ。

プレーオフを前に言及するのは勇み足とはわかりつつ、オフシーズンの動向が気になる今日この頃。果たして山形は、初めてのプレーオフを勝ち取った「シェア」というスタイルを、チームカルチャーとして浸透させていくことになるのでしょうか。


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