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B2|2021-22シーズン展望#10|山形ワイヴァンズ

ついに10回目に突入。今回は山形ワイヴァンズです。昨シーズンは初のプレーオフ進出を果たし、ライジングチームとして上り調子で迎えたオフ。苦しむ時期も多かっただけに、こういうシーズンをきっかけにどんどん浮上していってほしいものです。

■2020-2021シーズン

開幕から6連敗。今シーズンもやっぱり…と思ったのは私だけではないでしょう。しかし、アンドリュー・ランダルの加入後は徐々に調子を上げ、同一カードの連敗も少なくなり、大型連敗もなし。これが大きかった。越谷、茨城、西宮といったプレーオフチームからも勝ち星をあげ、ワイルドカード争いに踏みとどまり続けます。最後は4連勝でシーズンを締めて、見事に自力でプレーオフ最後の椅子を勝ち取りました。

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開幕前に山形のプレーオフ進出をどのくらいの人が予想できたでしょうか。少なくとも私にはこの躍進を予想できませんでした(正直)。その要因としてはやはりアンドリュー・ランダルを中心に、全員でボールをシェアしながら勝機を見出すスタイルにあったと思います。河野や中島がゲームコントロールしながら積極的に攻めてきて、うまくいかないときはランダルに渡せばなんとかしてくれる。やりたいことがはっきりしていて、かつ大黒柱がいるチームって強いんだよね。こちらにも書きました。

■オフの動き

山形にとって今オフの最大の焦点は、個人的に昨シーズンのCOYに挙げたライコビッチ HCの去就でした。その続投が早々に発表されたことで、来シーズンへの期待はさらに高まっていました。

【IN】
田原隆徳  眞庭城聖  村上駿斗  五十嵐貴志  
髙橋浩平
ジャワッド・ウィリアムズ  オーランド・サンチェス
ケニー・ローソン
■継続
中島良史  河野誠司  柳川龍之介  川邉亮平

【OUT】
飯田遼  新号健  和田保彦  秋山熙  上杉翔(引退)
鶴田美勇士  栗原貴宏(引退) アンドリュー・ランダル
キース・クラントン  ランス・グルボーン
※シーズン途中の退団などは含まず

その上で選手の動向を整理すると、案外動いてるんだなこれが。中島・河野らとの再契約がすぐに発表されたためその印象は薄かったのですが、新しいチームに生まれ変わったと言えるのかもしれません。

補強の方針をまとめてみましょう。

 1.小兵でも強気で攻められるガード

 2.ストレッチできる外国籍選手
 3.それを補う日本人ビッグマン

1はこれまでもチームを引っ張ってきた山形のDNAを継承しつつ強化したものであり、こういう動きを見ると胸が熱くなります。バランス的にはどうなんだとも思うけどさ。

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2も、昨季はランダルやグルボーンが担っていた部分であり、外がまったくなかったクラントンの代役をスリーも打てるケニー・ローソンが務められるのは純粋にグレードアップ。そう言えば前に「クラントンがスリー打てたら」ってツイートしたような記憶がある。

外国籍選手も外寄りにポジショニングするのは昨季からの特徴ですが、それを補う意図なのか眞庭・高橋・五十嵐らサイズのある日本人選手を揃えたのも興味深い点。全員がボールに絡みつつ中と外が自在に入れ替わる、昨シーズンの進化系のようなバスケットボールを目指しているのでしょうか。

動きだけを見ると、田原・眞庭・村上といった編成方針で仕方なく前チームを離れることになった選手に目を付けたのがいいよね。一生懸命やる選手ばかりなので、山形でも愛されそう。

■今シーズンのロスター

楽しみな選手がたくさん加わったロスターですが、俯瞰してみるとどうでしょうか。

PG|田原隆徳  中島良史  村上駿斗
SG|柳川龍之介  河野誠司   
SF|川邉亮平  眞庭城聖  オーランド・サンチェス
PF|ジャワッド・ウィリアムズ  髙橋浩平  五十嵐貴志
C|ケニー・ローソン
※順不同、ポジションは適当です

うーん、やっぱりちょっとポジションや得意なプレーが被りすぎている気がする。ただ、ライコビッチHCの采配を観ていると、40分間を通してコートに立っているメンバーの力を落とさず、同じシステムでやりたいと考えていそうなので、あえて同じタイプを揃えたとも言える。特にガードはね。そう考えると、バックコートはかなりバージョンアップした気がします。中島・河野・田原・村上のうち1人か2人を常にコートに送れるわけだから。みんなフルパワーでいけるよ。とは言え、平均年齢は若いチームではないので、ハーフコートでのオフェンスが中心になるのでしょう。ちなみに、昨シーズンの山形はB2で最も試合のペースが遅いチームでした。

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外国籍選手は全員が外寄りでプレー可能。インサイドでもアウトサイドでも力を発揮できるタイプで、コートを広く使いたい山形のニーズには適っています。ウィングからドライブでリングまで行けるオーランド・サンチェス、スクリーンからポップしてスリーも打てるケニー・ローソン、そして守備やリバウンドも含めてなんでも任せて安心のジャワッド・ウィリアムスと、個性の異なる3選手を展開によって使い分けられる。全員が日本でのプレー経験があることも、規律を好むライコビッチ HCの意向が反映されているような気がします。

ただ、だからと言って一気に激戦区と化した東地区で昨シーズンより勝てるのかというとそんなに簡単な話ではない。シードでプレーオフに進むのは至難の業でしょう。現実的にはワイルドカード争いに食い込んで、プレーオフに定着することが次なる目標となりそうです。

■鍵を握る選手
眞庭城聖

スリーを決めて相手の守備を広げないと、せっかくのボールシェアもコンボガードも外国籍選手の器用さも活きてこない。その意味では、シュートが苦手ではない選手ばかりだけど、シューターは見当たらないロスターにあって、唯一のシュータータイプと言える眞庭選手のシューティングは、今シーズンの山形の浮沈の鍵を握る要素になりそうです。




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