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B2|2021-2022シーズン展望#5|香川ファイブアローズ

5回目は香川ファイブアローズです。昨シーズンはまずまずといった成績だったものの、昇格に向けての話は聞こえてこず。このへんがB2の難しいところで、勝利を目指さないわけはないけれど、昇格が現実的な目標ではない場合にどのように捉えればいいのか。そんな心配は単なる外野の愚痴で、選手たちは目の前の試合に集中するだけなのかもしれませんが。

■2020-2021シーズン

27勝30敗で西地区4位。かなり終盤まで山形とプレーオフ最後の椅子を争いました。香川といえば大エースのテレンス・ウッドベリーですが、アウトサイドシュートの確率を一気に上げた兒玉を筆頭に、藤岡や高比良らもオフェンスを牽引。チームに爆発力が加わりました。ケビン・コッツァーの着実なプレーや新加入のリース・ヴァーグも徐々に個性を発揮し、ワンマンチームからの脱却を志向していたように思います。

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平均得点27.0を稼ぎ出すウッドベリーは、攻撃の核としては申し分ない働きではあるものの、ディフェンス面では気分屋なところも。とはいえ、オフェンスでこれだけやってくれる選手にディフェンスも頑張れとは言いづらいよね。リバウンドもかなり取ってくれているし(RPG7.1)、パスだって上手い(APG4.1)。ウッドベリーだけではないとは言いながらも、やはり頼り過ぎなところはあって、このスタイルで行くならここが限界かなという順位と成績でした。

■オフの動き

つまり香川の課題は明確で、ウッドベリーのオフェンス面での負担を軽くするため、チームとしての攻撃のバリエーションを増やす必要がありました。昨季よりも上位を目指すならね。しかし、じゃあ熊本やFE名古屋のように昇格に向けて大補強を敢行するのかというと、そんな風には見えないし(お金もそんなになさそう…)。昨季の成績を考えれば弱いチームではまったくなく、上積みを期待したいところだけど、積み上げた先に見据えるものは何なのか。なんとももどかしいオフシーズンになるような気がしていたのです。

【IN】
伊集貴也  矢代雪次郎  アンガス・ブラント  
飯田遼  頓宮裕人  
■継続
筑波拓朗  森田雄次  谷口光貴  リース・ヴァーグ
安部瑞基  テレンス・ウッドベリー  兒玉貴通  上良潤起

【OUT】
ケビン・コッツァー  髙比良寛治  藤岡昂希
横尾達泰  金久保翔  石野渉生
※特別指定選手などは含まず

思いのほか形を変えずに済んだよね、というのが率直な感想。兒玉をはじめ個人成績を伸ばした選手も多く、他チームからのオファーも多かったのではないかと思うのですが。このチームでやれるという手応えを掴んだということなのかな。高比良・藤岡の2枚を失ったのは痛いけど、昨シーズン後半に滋賀から移籍してきた谷口をキープできたのはかなり大きい。これを受けてウィングを整理したとも考えられる。

外国籍選手は功労者のコッツァーに代えて同じく滋賀からアンガス・ブラントを獲得。ホットラインでもあるの? コッツァーのあの安定感は惜しいけれど、B1でも当たり負けしなかったエネルギッシュで頑張り屋のビッグマンは、確実にチームにとってプラスになりそうです。ウッドベリーとの相性も良さそうだし、リース・ヴァーグと被ることもない。

全体的に各ポジションを満遍なく補強していて、新しく加わった選手だけで1チーム組めそうじゃない? ミニッツがあればもっと伸びそうな飯田や頓宮を連れてくるあたりもナイス。もはやウッドベリーがアイソを繰り返していたチームの面影はありません。

■今シーズンのロスター

PG|兒玉貴通  伊集貴也  森田雄次
SG|安部瑞基  上良潤起  矢代雪次郎

SF|谷口光貴  飯田遼  筑波拓朗
PF|テレンス・ウッドベリー  リース・ヴァーグ  頓宮裕人
C|アンガス・ブラント
※順不同、ポジションは適当です

いやー、バランスいいわー。香川って実はペースの速いチームで(昨季は2位)、その路線を踏襲するのならアンガス・ブラントは適役でしょう。伊集や飯田あたりもそれにフィットしそう。ここ2シーズンでぐんぐんスリーを打つチームになってきている香川ですが、その流れに当てはめても納得できる編成です。

ウッドベリーには引き続き頑張ってもらいつつも、実力者を揃えたことでより周りの選手を活かすスタイルにシフトできそう。マブンガみたいな感じね。ウッドベリーのバスケットセンスを最大限に活かす方向性でもあり、実績ある選手がさらなら成長を遂げられるか見ものです。一人だけを止めればよかったチームよりも、こっちの方が断然強い。それを反映した補強であり編成である気がします。

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気になるのはポール・ヘナレHCがいなくなってしまったこと。石川裕一新HCは昨季のACからの昇格人事だから、その財産を受け継ぐことはできると思うものの、サポート役は選手を引退したばかりの上杉翔新ACで、経験という点ではやや不安も残るのでした。

■鍵を握る選手
谷口光貴

ウッドベリーを除けば、この選手の残留が香川の一番の安心材料。欲しかったチームいっぱいあっただろうな。自らシュートをクリエイトできる谷口が、日本人エースとして存在感を増せば増すほど香川のバスケットボールは面白くなるでしょう。

優勝できるかと言われたら難しいけれど、プレーオフは十分期待できるし、西地区の台風の目になりそう。昇格だけがすべてじゃないよ。派手さはないけど着実な進化を目指すチームもあって良いはずです。



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