B2|2021-2022シーズン展望#7|仙台89ERS
第7回目は仙台89ERSです。B2は来シーズンは14チームなのでこれで折り返し。ようやく半分と言うべきか、もう半分と言うべきか。
■2020-2021シーズン
ワイルドカード上位で進出した仙台のプレーオフでの戦いぶりは衝撃的でした。アウェーで西地区1位の西宮ストークスを漫画みたいな劇的ブザービーターで葬り去ると、セミファイナルでも茨城ロボッツをあと一歩のところまで追い詰めました。
しかし、勝負強さをこれでもかと印象づけたプレーオフとは裏腹に、レギュラーシーズンはそう簡単ではありませんでした。開幕時、6thマン的にベンチからの得点源を担うはずだったジョシュ・ペッパーズとは早々に契約を解除。代わりにやって来たのは誰だったか覚えてる? そう、Bリーグの流れ板ことジャマール・ソープでした。
そのソープもチームのシステムの中で機能させることができず、ルブライアン・ナッシュに白羽の矢を立てるも、最後の最後で怪我。とにかく「3人目の外国籍」枠で苦労した昨シーズンの仙台なのでした。
とはいえ、それでも35勝24敗ときっちりまとめてくるのはさすが。それは言わずもがなダニエル・ミラーとエリック・ジェイコブセンのビッグマンコンビの頑丈で献身的なプレーのおかげ。チームカルチャーである「grind」を体現し、チームの大黒柱として屋台骨として、あるいは縁の下までとにかくなんでも支えてくれる心強さ。100人乗っても大丈夫。
きちんと統率のとれたオフェンスを展開する一方で、上手くいかないと停滞気味になる悪い癖もしばしば観られましたが、試合を重ねる中で笹倉&渡辺のルーキーコンビがプレーメイクの質を向上させてチームを牽引。それが花開いたのがプレーオフなのだとしたら、レギュラーシーズンの苦労が報われたということになるのでしょうか。
■オフの動き
昇格には手が届かなかったものの、終わりよければすべて良し、とはならなかったのが仙台の今オフ。
【IN】
デビン・オリバー ジャスティン・バーレル
ジェロウム・メインセ 田中成也(B1広島から期限付移籍)
荒尾岳 神里和
■継続
澤邉圭太 月野雅人 寒竹隼人 渡辺翔太 片岡大晴
【OUT】
ダニエル・ミラー エリック・ジェイコブセン 笹倉怜寿
金城茂之 ルブライアン・ナッシュ 鎌田裕也 臼井弘樹
矢代雪次郎
※シーズン途中の退団などは含まず
日本人選手の主力どころは変わってないとも言えるかもしれないけれど、おいおいえらいことじゃないか。外国籍選手3人がごっそり入れ替わり、頭角を表してきた若きエースはアルバルクへ帰還。さらにはHCまで交代。おいおいえらいことじゃないか。
ところが、選手を役割ごとに分解してみると実は昨シーズンとほぼ同じ構成であることがわかります。
・インサイドで強さを発揮する外国籍ビッグマンを2枚置く
・もう一人の外国籍はウィングからのアタッカーにしよう
・でも保険としての日本人ビッグマンは必要よね
・小柄でもドライブの得意なガッツあるPGがほしい
・引退した金城の穴(ベテランSG枠)を埋めないと
こんな感じかな。選手の動きは激しいもののチームの骨格は変わらず。ミラーとジェイコブセンが一気にいなくなった時はどうなることかと思ったけど、あっという間に引けを取らないロスターを作り上げたフロントの手腕が光ります。チームカルチャーがはっきりしているからこそ編成にも迷いがない。これができるチームはBリーグを見渡しても多くはありません。
■今シーズンのロスター
PG|渡辺翔太 月野雅人 神里和
SG|澤邉圭太 田中成也 片岡大晴
SF|寒竹隼人 デビン・オリバー
PF|荒尾岳
C|ジャスティン・バーレル ジェロウム・メインエーズ
※順不同、ポジションは適当です
昨季から大きくシステムを変更する必要はない構成。プレーオフで大ブレイクした渡辺選手がさらなる飛躍を期待したいところです。まだ11人なので、アジア枠とかでインサイドを補強してきそうな気も。
とはい、もちろん進化している部分もあって、似たタイプの神里を取ったということは、渡辺がスターティングPGに格上げされる可能性が高く、笹倉がハンドルすることも多かった昨季よりはスピードが上がりそう。金城→田中の部分では単純にシューターのバージョンアップで、これは仙台にとっての積年の課題。デビン・オリバーはまんまナッシュのポジションに収まるけれど、アウトサイドシュートはナッシュよりも得意ぽい。
センターのメインセはハイライトを見る限りは小器用なインサイド職人といった感じでチームのニーズにぴったりだし、バーレルは言わずと知れた実力者。怪我なく過ごせればB2のインサイドを席巻してくれるでしょう。特にウィングに外国籍選手を置き、スモールボールを志向するチームにとっては脅威です。
インサイドの強さを武器に粘り強い守備で相手を削り、ボール喰らいつく姿勢で相手を凌駕する仙台の「grind」が今年も見られるはずです。そこに藤田新HCがどんな味付けを加えてくるのか楽しみ。
■鍵を握る選手
渡辺翔太
やっぱりこの人でしょう。攻撃の起点だった笹倉がいなくなったことで、ボールをコントロールする機会は増えるはず。鋭いドライブや土壇場での勝負強さは証明済みなので、ゲームコントロールを学びチームのエンジンになってほしい。コートビジョンを広げ、スクリーンプレーのバリエーションも増やしたいところ。ぜひスターターを勝ち取り、フランチャイズプレーヤーへの期待がかかります。
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