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11.21 vs熊本1|時間がたてば

ようやく連敗をストップした西宮ストークス。前試合がいい内容だっただけに、それを継続できるかどうかがポイントになります。対戦相手は同じ西地区の上位を走る熊本ヴォルターズ。ホームを守って、差を縮めることができるでしょうか。

【前半】
注目のスタートは渡邉・道原・今野・デクワン・ムボジ。道原選手の攻撃力やハンドラー能力を残しつつ、今野選手を先発に戻したのは、熊本の強力なアタッカー陣を封じるためでしょうか。徐々に西宮のセットに馴染んできた渡邉選手のゲームメイクにも注目です。

その効果がまず現れたのはディフェンス。B2得点ランキングで8位、日本人選手トップの木田選手を今野先輩がシャットアウト。木田選手の得点力は高いのですが、自らハンドルしてプレーを生み出すタイプではないため、いい形でボールが持てなければその力は発揮できません。オフボールでそこを封じた今野先輩(あるいは谷さん)の勝ちで、前半はなんとまさかの無得点に終わります。

好調の木田選手にはボールを渡せず、佐々木選手がファウルトラブルでベンチへ下がったこともあり、熊本はイバン・ラバネルや新加入のマーベル・ハリスも含めて外国籍選手中心のオフェンスになります。もちろん彼らのオフェンスは脅威なわけですが、個々のアタックが続くとなかなか攻撃に厚みが生まれない。肝心の石川海斗選手は1Qこそクラッチスリーやエンドワンをもぎ取るものの、あまり長くボールを持つことはなく、周りを見守るような感じ。渡邉選手のディフェンスもよかったけれど。

そんな熊本を尻目に、西宮は途中出場のルオフ選手が周りをリードして攻撃にスピードと連動をもたらします。広い視野から長いパスをビシバシと通し、時には味方をも驚かせるような創造性で会場を沸かせます。いや声出せないけど、たぶん沸いてたと思う。

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ただ、完全に連係できているわけではなく、ちょいちょいパスがズレる。というか、周りがまだルオフさんのパスのクセを把握できておらず、準備ができていない。これは仕方がない。遠慮せずにどんどん周りの選手を使って覚えさせてあげてほしい。OJTだね。

デクワン・ジョーンズ選手は前の試合に続いてシュートが好調。「使われ方」が本人もわかってきたのだと思う。ボールムーブの流れの中でパスを受けられているので、長所である1 on 1やミドルジャンパーを楽に打てています。一方、シェイク・ムボジ選手も攻守に無理なプレーが減った。自分のシュートと周りへパスを捌く選択がきちんとできており、ゆえにシュートタッチもいいよ。

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1Qこそ熊本にリードを許しましたが、2Qに一気にまくって7点リードで前半終了。それぞれの選手の個性が輝きながら、チームとしても連動する。ようやく今季の形が見えてきたのかな。時間をかけないと解決しない問題がバスケットには多いことを実感します。

【後半】
3Qも西宮の流れ。序盤から素晴らしいパスワークでリードを広げます。目立ったのは道原-ムボジのPNRによる2メンゲーム。どんどん良くなってきている。道原選手のクリエイティビティとムボジさんの機動性が連動して、狭いスペースでもすぽすぽパスが通る。相手はボールがどこにあるか見えてないんじゃないかな。

ところでそれが可能になっているのは、PGである渡邉選手が道原選手に預けてコーナーへ流れ、プレーメイクを任せているからでもあって。西宮のオフェンスはPGよりもウィングプレーヤーがハンドルすることが多く、昨季の松崎選手はすんなりこの役割をこなしていました。

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鋭いドライブで自ら突破できるのが渡邉選手の魅力ですが、そのエゴを一旦置いて、チームのシステムに馴染みつつあるのも、西宮のオフェンスが上手く昨日している理由でしょう。もちろんオフェンスに参加しないわけではなく、シュート力も高い渡邉選手がコーナーや外に開いているおかげでスペースができ、キックアウト先としても有効。ある意味、贅沢な使い方。

10点差前後で落ち着きつつあったゲーム。いい試合をしているものの20点差には決してならなさそうなのが西宮らしい。このままあっさり終わる相手ではなかろうと思ってはいたけど、案の定、熊本の追い上げを許すのもまた西宮らしいというか。

役所広司みたいなドブラスのエンドワンで5点差になって始まった4Q。熊本がジリジリと追い上げ、西宮がなんとか食い止める時間帯が続きます。こういう展開になるとアタックを仕掛けられる選手の多い熊本は強いね。西宮は取り立てて何が悪いというわけではないものの、オンボールであっさり抜かれ過ぎだったり、攻撃のミスをイージーな得点に繋げられていました。残り7分で3点のリードはないに等しい。だから普通に決めていたら、もっと楽な展開だったと思う。攻撃は最大の防御。

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オフィシャルタイムアウト明け、この日の鬱憤を晴らすように木田選手がスリーを決めて熊本が逆転。その後はしばらく同点と熊本2点リードが続きます。どちらに転ぶかまったくわからない展開の中、西宮はデクワンが素晴らしい個人技からミドルジャンパーを連続でヒット。最後はそれを囮にするかのように、空いたレーンを渡邉選手が駆け抜けてレイアップを成功。2桁リードを逆転されはしたものの、西宮が個人技で勝利を掴みました。こんな試合もあるんだね。

【試合のターニングポイント】
4Q|フィッシャーHCの選手起用

最後までもつれた試合でしたが、フィッシャーHCの采配には巧みな点がありました。同点の残り2分、ルオフに代えてデクワンを投入。そのデクワンが試合を決めたわけですが、その背景には熊本の事情もありました。

ドブラスがファウルアウトしてサイズで劣ることになった熊本でしたが、最終盤ではファイ・サンバを下げて攻撃力を重視してハリスとラバネルを同時起用していました。どちらがマッチアップしても、デクワンとの勝負なら高さで勝てると考えたのでしょう。また、創造的ではあるものの、まだ確実性には欠けるルオフより、この日シュートタッチのいいデクワンのシュートを選択したのは1点を争う場面なら納得。それに応えたデクワンももちろん見事でした。

この日のフィッシャーHCの起用は冴えていて、3Qから4Qにかけての追い上げられている時間帯にはPGを松崎選手にして流れを安定させることに成功していたように思います。ルオフ選手と同時に劉選手を入れて、相手のマッチアップを難しくさせるなどの工夫も観ていて面白かった。

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