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10.28 @福岡|激しさと向き合うには

今季初めての平日開催。土・日も試合のあったストークスは、中2日で福岡へ遠征。一方、対戦相手のライジングゼファー福岡は前週の木・金曜日に試合があったため中4日。全盛期の桑田真澄なら余裕だね。

前提として確認しておきたい点があります。それは福岡は「激しい」チームであるということです。ボール運びから相手にプレッシャーを与え、自陣ではダブルチーム、トリプルチームを駆使してボールを奪いに来ます。そうして相手のパスコースを限定した上でスティールからの速攻に繋げ、イージーな得点を重ねていく。ここまでがセットです。覚えておきましょう。

逆に言えば、トランジションを起こしたいからプレスをかける。5秒バイオレーションやショットクロックバイオレーションをもらっても、相手の守備が整った状態でハーフコートオフェンスをやらないといけないわけで、それじゃ体力的に割に合わない(だって疲れるから)。事実、福岡はそれほどオフェンスのいいチームではありません。特にハーフコートオフェンスに明確な強みはなく、だからこそ相手が崩れているうちにレイアップに行きたい。

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激しいディフェンスにファウルは付きもの。だから、福岡にとってファウルが嵩むのはOK。それを「込み」で試合をしている。この試合もおそらくぶつかり合いの多い消耗戦になるでしょう。これが福岡の事情。で、それに付き合いたくないのが西宮の事情。パスを回して相手を崩したい西宮と、ファウルを厭わない激しいプレーが信条の福岡。うん、噛み合わなさそうだね。

前半
福岡の激しいディフェンスがハマった1Qと、西宮が少し慣れて命からがら抜け出した2Q。雑にまとめるとそんな感じ。ボール扱いは巧みな西宮のガード陣のボール運びに対しては無理せず、自陣にボールが移動してから一気にプレッシャーを強める福岡。西宮のセットオフェンスは、選手同士が一定の距離を保った上で、高い位置でのパス交換やハンドオフから始まることが多いのですが、そこを見事に突かれていました。一方のサイドにボールが動くとそこに対して一気に人数をかけて囲い込む。パスコースは限定されているため相手に読まれやすく、簡単に奪われて速攻へ。福岡がやりたいことをやっていました。

ハイピックを使おうとすると、そのまま相手の外国籍選手がダブルチームに来るからね。日本人ガードにとってそれはかなり苦しい。そして、意外にデクワン・ジョーンズ選手が苦しんでいた。日本人選手のプレッシャーにもたじたじで、それは福岡の守り方のせいなのか、本人の準備の問題なのか。

まともに攻められていない西宮。そもそもこの守備が来るのはわかっていたはずで、何か違うことをやってくるかなとも思っていたけれど、これまで通りの攻め方をまずはしてきました。このへんは難しくて、戦力的にも目標とするもののステージに関しても西宮の方がおそらくは「格上」なはずで、相手のやりたいことを正面から受けた上で、さらに自分たちが上回らなければいいけないという横綱相撲を求められる。実際、B1へ行くのならそうでないといけないしね。そして、西宮のフィッシャーHCは相手の戦術をかわすのではなく、自分たちの強みを押し出して勝つのが好きなのだと思う。このあたりの勝負の「機微」みたいなものは、こちらにも書かれています。

激しい福岡のプレスディフェンスはですが、穴がないはずはもちろんなくて、ボールマンが素早くゴールへ向かえばレーンが空くし、裏に走り込んで合わせることもできる。2Qは渡邉選手やDJがドライブをしてこじ開けようとしていました。ディフェンスの人数の少ないウィークサイドへボールを回したいんだけど、スペーシングを意識し過ぎたのか選手の距離が離れていて思うようにパスが繋がらない。打開する方法は見えてきたけれども、決して西宮の得意な戦い方ではない。後半どう修正してくるでしょう。

後半
開始早々、西宮がテンポよく得点し、同点に追い付きます。この時間帯は渡邉選手が上手くゲームメイクをしていて、コーナーにいる選手に早めにボールを通して福岡のプレッシャーを機能させないようにするなど工夫が見られました。渡邉選手自身も積極的に仕掛けていて、ゴールに近いところでプレーする意識が生んだ同点とも言える。

ただ、上回るには至らず。フリスローミスも災いはしたけれど、この日は終始ディフェンスがよくない。特にPNRに対する守り方が選手間で統一されておらず、ある選手はショウ気味にハンドラーに詰めて裏がガラ空きになったり、ハンドラーのドライブにマークマンとスクリーナーのディフェンダーが両方追いかけたり、あるいはどっちが追うのか中途半端だったり。丹野選手にいいようにやられていました。

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このあたりは時間が解決する問題なのかもしれないけれど、もう少し守り方のルールがあってもよかったかな。オフェンスもまた同じで、1線目のディフェンスを抜けてもそれに対して合わせる選手がいなかったり、単純にパスミスになったり。3Qはスリーのシチュエーションも多くつくれていましたが、決まらないものは仕方がない。ちなみに、この試合を終えて西宮は3FG%でB2の最下位。1試合平均18.6本打って4.8本しか決まらず25.7%は酷い。

4Qになると単純なハンドリングミスも増えて、追い上げるものの勢いは生まれず。これにはやっぱり疲れもあったかな。自滅したようなところもあったけど、それを生んだのは前半から続けた福岡の激しい守備。中2日と中4日との違いは大きいと思わざるを得ないし、削り合い・消耗戦を戦い慣れている福岡とそうでない西宮の差もある。「激しくプレーしよう」と言っても、そう簡単にできるものではない。そのためにちゃんと「ファイター」ばかりを集めたからこその結果でもあります。谷口選手はいい移籍をしましたね。

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ファウルゲームに付き合わされてしまった感のある西宮。マージナルと言われるファウルにはならない接触プレーも多く、削られ、体力を消耗させられ、イライラさせられて、福岡のペースに飲み込まれていきました。少なくとも激しさを跳ね返す余裕はなかった。審判のジャッジに不可解な点がなかったわけではないものの、それもファウルギリギリのプレーを繰り返す強度があればこそ。それも含めてペースはやっぱり福岡にあった。

ところで、デクワンさんはゴートゥーガイではあるけれど、マークマンとのズレをつくってからでないとその良さを発揮できないんじゃないかな。思い切りはいいけれどハンドリングが上手いわけではないので、ウィングあたりで「はい、どうぞ」と1on1をさせてもなかなか自分一人で突破するのは難しい。かと言ってポストアップをさせても、身長はそこまで高くないので苦しい。それぞれの選手の使い方も今後また変わってくるのでしょう。

試合のターニングポイント
→3Q 7:14|渡邉選手の3つ目のファウル

同点に追い付いてさあこれからというタイミングで、渡邉選手がベンチに下がらざるを得なかったのが勝負の分かれ目だった気がします。福岡のプレッシャーにもようやく慣れてきて、楽に抜いてゴールまで行けるようになってたからね。

代わって出てきた松崎選手が直後に丹野選手にエンドワンをお見舞いされたのを観て、「渡邉選手ならどうだったかな」と思ってしまったのでした。このファウル自体、得点に直結するような場面では決してなかったので、余計にもったいなく感じられてしまった。



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