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11.15 @FE名古屋|きっかけは突然

GAME1では不甲斐ない大敗を喫し、名古屋ブースターにまで気を遣われる始末だった西宮ストークス。正直、観ないでおこうかと思っていたのですが、Twitterフォロワーの方から「改善されていました」と教えていただき、ならばということで観てみたのでした。

さすがに何かしてくると思っていたら、やはりスターターを2枚代えしてきました。渡邉・今野に代えて松崎・道原をバックコートに据えます。その成果は序盤から攻守に現れていて、特にディフェンス面ではマークマンの受け渡しがとてもスムーズで、名古屋のオフェンスを楽にはさせませんでした。これまでの西宮は守り方に関するルールがほぼないような状態で(※個人の感想です)、特にPNRに対しては全員がバラバラな動きで自己流に動いていたような印象すら。何かルールがあったのなら教えてほしい。

この試合の西宮は、名古屋がローポストにボールを入れるとハイポスト付近の選手がダブルチームに行く守り方をしていました。ダブルに行けば当然、空いてくる選手がいるわけですが、ウィークサイド(ボールがある方とは反対のサイド)の選手が少しずつポジションをボール寄りに調整してパスコースを消していました。

面白かったのは、ローポストからボールがトップへ戻ると、ディフェンスがスライドして、ダブルチームに行った選手はそのまま戻るのではなく、ウィークサイドの一番遠いところ(対角のコーナーなど)にいる選手の方へ走っていくこと。ダブルチームでポストプレーを封じ、ボールを戻されてもスライドして、逆サイドへ走るための時間を稼ぎ、オープンをつくらせないようにする。戦術面の約束事がちゃんとあり、それを選手がきちんと遂行できていました。

このシーンはダブルチームではないけれど、ハイピックからドライブで侵入しようとする過程で、渡邉選手やムボジ選手がスペースを埋めながら上手く守っていることがわかります。

オフェンスでは特にデクワン選手を上手く使えるようになっていました。道原選手や渡邉選手がハンドラーの際に、ピックの背後=トップ付近にデクワンがいて、ピック(劉たんとか)を飛び越すようなパスを通すことで、ディフェンスが遅れた状態でボールを渡せます。

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こうなるとデクワンの突破力が十二分に活きてくる。これまではディフェンダーと向かい合った状態で1 on 1を仕掛けることが多く、確率が上がりませんでした。それはDJ個人のせいというより、外側でボールを回すだけのオフェンスが続いたためでもあって、ここでもやはり連係がレベルアップしていることが感じられました。

ハイライトの最後のプレーとかですかね。全体的に45°あたりからのPNRに連動して、逆サイドの選手がトップへ上がったりインサイドを狙ったりしています。ボールサイドでもハンドラーと入れ替わる形の動きが見られるなど、一つのプレーに対して複数のアクションが生まれています。

まるでGAME1とは別のチームのようですが、確かに別のチームといってもいいのかもしれません。スターターを変更したことによって生じたGAME2との違いは何でしょうか。

GAME1=渡邉・今野・谷・デクワン・ムボジ
GAME2=松崎・道原・谷・デクワン・ムボジ

こうして見るとあまり変わらないとも言えるわけですが、GAME1の先発は谷選手以外は全員が新加入選手です。その4人に囲まれるわけですから、谷さんだって真っさらな状態でプレーするのと同じこと。全員知らない人同士のメンバーから、松崎・道原・谷という互いをよく知り合った3人を並べるようになったことで、「こうしよう」と意識しなくてもそれができるオートマティックな要素が増えたであろうことは容易に想像できます。昨季から西宮が取り組んでいるスイッチングディフェンスは、スキルはもちろん連係を高めるためのに時間を要するもので、スムーズなディフェンスにはその影響も大きいはずです。変わったのは2人。でも知り合いが3人になったことで、安定感やコミュニケーションなどの連係面では大きな違いを生み出しました。

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男子日本代表のラマスHCは行き詰まるとよく田中・馬場・竹内のアルバルクトリオを同時に出し、田中大貴にPGをやらせていましたが、「自分がこうすればああしてくれる」という理解がある状態だと、やはり余裕や自信が生まれるのでしょう。それが安定感やのびのびとしたプレーに繋がるのでしょう。コミュニケーションって大事。

この変更にはもちろん前日の大敗も影響していたことでしょうが、その背景を考えると、ここまでのストークスが抱えている問題点が見えてきます。タレントは一気に向上しても連係や戦術の浸透、選手間の意思統一はそうはいきません。新加入選手が多く、外国籍選手の入国遅れの問題が重なった西宮にとって、それはより大きな問題ではありました。ただ、いつまでもそれを言い訳にはしていられない。しかし、そんなグズグズした状況を吹き飛ばし、選手たちの目の色が変わったのなら、GAME1の大敗にも意味はあったのでしょう。大敗の後に修正して勝ち切ったこの2試合は、浮上のきっかけになりそう。というか、しないといけない。

ただ、一夜にして変わることがあるのならば、一夜にしてまた元に戻ることもあるでしょう。次節は石川海斗選手を中心に好調をキープする熊本をホームに迎えます。2連勝しないといよいよプレーオフすら怪しくなるけれど、さてどうでしょうか。

【試合のターニングポイント】
3Q 5:31|劉選手のナイスディフェンス

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試合展開については全然触れていませんでしたが、この試合のMVPは劉選手だと思います。攻守にわたって献身的に働き、それが得点などの結果にきちんと繋がっていました。この場面ではブラッド選手のアタックを封じ、福田選手へのファウルドローンを引き出しました。これで3ファウルとなったブラッドはベンチへ。これを起点に西宮はリードを広げていきました。



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